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ネタバレ「東の海神西の滄海」+「漂舶」

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記事「ネタバレいっぱい海神再読」をまとめました! 「十二国記」の「東の海神西の滄海」の感想文、全章に渡って全伏線を拾ったつもり。クライマックス八章2と続編「漂舶」の謎を解け!
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#白沢

ネタバレいっぱい海神再読 海神の謎に挑戦!

はじめまして。樹狐と申します。よろしくお願いします。 早速ですが、これから十二国記「東の海神西の滄海」(以下「海神」とする)のネタバレ再読感想文を始めます。 感想文といってもすごい長いです。各章の各区切りごと、ところによってはかなり長くなっています。あと海神の他の章のこととか、シリーズの他の話のこともでてきたりします。 なんでそうなるかというと、海神を綿密に伏線を張った精密機械みたいな物語と思ってるからです。ネタバレありありなんで、初読の方はシリーズを出来たら全部、最低「月

ネタバレいっぱい海神再読第二十一回 五章1.白沢登場

あらすじ:元州州宰の白沢が宣戦布告にやってきた。 ●白沢 六太誘拐の十日後。王宮。元州州宰、院白沢登場。さくさく上帝計画を説明する白沢。会話のテンポが良くて楽しい。 「では冢宰をやろうか」と尚隆が言ったのは斡由に向けてだけど、五百年後は白沢が冢宰してるんだよね。この三人の関係性、好き。 白沢)百花の競うをお目にかけまする 貴方は女遊びをしてりゃいいと愚弄して挑発する台詞。真面目な白沢じゃなくて斡由がシナリオ書いたんかな(更夜のもそうだったりして…)。稽古とかもしたんか

ネタバレいっぱい海神再読第二十二回 五章2.尚隆は何故、宣戦布告に来た白沢を引き止めて時間を稼ごうとしなかったのか。

あらすじ:尚隆は三官吏に自分の策を説明する。 ●尚隆は何故、漉水の治水の裁可を下さなかったのか。 王宮。白沢を返した後、三官吏に怒鳴られる尚隆。 帷湍の策はこう。 ①使者をできるだけ引き留めて時間を稼ぐ。 ②その間に軍の準備をする。頑朴城を攻めるには元州師の二倍から三倍の兵力が必要だから、兵をそれだけ掻き集めてちゃんと戦えるよう訓練するにはかなり時間がかかるから使者を引き留めとけばよかったのにー! ③用意ができたら全軍で元州へ進撃だ!出発から到着まで一ヶ月! …他の二

ネタバレいっぱい海神再読第二十八回 六章2. 斡由は何故光州を信用したのか。

あらすじ:舞台、頑朴城。露台から元州を見下ろす斡由と警護する更夜(と大きいの)。そこへやってきた白沢。王師が民を加え続けていると報せる。更に同盟州光州の裏切り。 白沢は言う、自分たちは天命の威信をあまりに軽んじていたのかもしれない、と。 梟王を持ち出し反論する斡由。 しかし「民はそれを信じているのです」 その時更夜の懐で赤索条が切れる。 ●下界を見やる斡由 こうして元州を、頑朴を雲海を通して見るのが好きだったんだろうなあ。 ●斡由と白沢と更夜 更夜はこうして二人を警護

ネタバレいっぱい海神再読 第二十九回 六章3. 斡由の信じたもの

あらすじ:牢屋に駆け込む更夜。赤索条から解放され、しかし驪媚の血を浴びて意識不明に陥る六太。 更夜の報告を受けた斡由と白沢の問答。斡由はまだ信じていた、民も説明すれば解ってくれる、と。 ●麒麟と血の穢れ 大きいのの警告にもかかわらず六太に駆け寄ろうとし、使令に襲われかけたにもかかわらず六太に呼ばれたら迷わず駆け寄る更夜はいい奴だ。 六太は血に弱い。血に触れたわけでなくても、近くで怨みをもって流血して死んだ者がいたら亦信の時のように熱を出して寝込むんだから、自分の身に血を浴

ネタバレいっぱい海神再読第三十九回 八章2前半 追い詰められた斡由は何をしようとしたのか

(これまでの変わった解釈の大元がでます。できたら原作と併せて読んでください。) あらすじ:六太は諸官の前で斡由を告発する。そこへ白沢が頑朴城下の州師の暴走を報じる。斡由は白沢、諸官、六太、王に罪を擦り付けようとする。白沢は斡由を捕えるよう小臣らに命じる。 ●六太の告発 斡由を訪ねた六太。なんで訪ねたのかというと、七章で知ったことを元州諸官の前で突きつけて、斡由を追い詰めるためだったんだろうな。城外では漉水作戦が予定通り進行中、しかし城内はまだ斡由の指揮下にある。六太は使令

ネタバレいっぱい海神再読第四十回 八章2中盤 尚隆は何故、なんのためにあの時点で斡由の前に現れたのか?

☆「中盤」て何だよ…いや、あまりに長いんで三分割しました。どんだけ海神好きなんだよ>自分。 あらすじ:尚隆が進み出て斡由に剣をつきつける。尚隆は斡由にも剣を渡し、斡由は降伏する。 ●海神=ミステリ? さて、再読八章2前半を読んで、こんなこと書いてない、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かにこの解釈は普通と違う。しかし台詞と動作は原作そのままです。それに…いわゆる普通の解釈だと幾つか納得できないところがあって。 尚隆は民のためを思ってるはずなのに民の望む堤を造ら

ネタバレいっぱい海神再読第四十四回 終章 尚隆は何故、斡由の乱の後で元号を白雉に変えたのか。その次の元号を大元としたのか。

あらすじ:斡由の乱から十年後。王宮から抜け出す六太・尚隆に余裕な官吏たち。見降ろす下界には一面の緑野が広がっている。 ●八章と終章の間 …というか、八章終わりのすぐ後で、尚隆・六太はそれまで知らなかった唯一のことを知っただろうと思う。そう、斡由と更夜が囚人を始末していたことを。 七章6・八章2後半でも書きましたが、きっかけはおそらく六太を逃した女官。六太が恩人である女官を探したら(探さないのは不自然だからきっと探した)、斡由が連れていけと命じて更夜が連れて行ってから行方が