外来をしない獣医師


小動物臨床で求められている獣医師像について僕なりの考えがあります。

それは、
外来を回せる
避妊、去勢ができる

ではないでしょうか?

この二つが一つの価値基準になっているように感じます。

ですけど、個人的にはこの評価軸だとなかなか人は集まらないのではないでしょうか?
そして、せっかく雇った新人獣医師がいきなり外来ができることなんて稀だと思います。
病院ごとのやり方だったり、飼い主さんのことを聞きたかったり、普通に治療などの相談をしたいことも多々あると思います。

そうなると、忙しくて人員増やしたのに、院長先生の仕事は増えてしまいます。

慣れるまでの辛抱といえばそうですね。

外来を回すことについて少し深掘りします。
外来を回すとは、件数をこなすことですが、外来でやっていることを考えます。
飼い主さんから問診を聞いて、身体診察をして、検査するか処置するか決めます。

そして、検査や処置をして

お返しをして、内服の準備をして
お会計

それで次の外来ですね。

めっちゃ大変じゃないです??これを毎日何十件もこなす先生たちにはまじで頭が上がりません。

ただ、この一連の流れって全部一人でやらないとダメですか?
問診の一部や、内服の準備、お返し、お会計は担当の獣医師以外がやれることもありますよね?

じゃあ、検査や処置も他の獣医師にお願いしましょう!
特に、検査は解釈までやってもらいましょう。

これには

メリット

があります!
楽になる以外でですよ?笑笑

検査とその解釈を別の獣医師が関わることで、外来で忙しすぎて、思いもよらなかったアイデアを助言してもらえたり、自分の考えを支持してもらえたり、別の視点で意見をもらえたり、
何かしらの病気で困っている動物に対して、複数の獣医師が関わることでより深くその動物に起こっているものを理解するきっかけになるのではないでしょうか?

そして、機械に関して、検査担当の獣医師は深い理解をもつ余裕が出るのではないでしょうか?

処置に関してもそうですよね?

処置の時に、最初の身体診察では気がつかなった異変に気がつけることがあるかもしれないですよね?

また、手術に関しても外来が押していても、先にもう寝かせて、毛刈りを先にしておくことが可能になります。
外来が終わったら麻酔は安定していて、オペをしたら終わり!とできます。覚醒はその獣医さんにお願いしたら自分は外来に戻れます。

さらに、入院している動物たちの処置もこの獣医師が一人いるだけで格段に質が上がるわけです。

それだけじゃなく、検査処置担当が後ろに控えているメリットは

緊急対応をする余裕のある獣医師がいることです。
外来を回しながら、緊急対応することが可能になります。

加えて、たとえば
院長がこの検査処置担当をして、新人の方に外来を、任せると
新人さんへの指導も同時に行えます。
もっというと、若手は外来、裏に院長とすると、院長先生はほとんどの症例を裏で確認しながら進めることができ、全ての症例に関わるということが可能になると思います。

新人さんにも相談相手がいるので、安心して外来ができます。
そして、必要に応じて院長が外来へ出ればいいのです。

とはいえ、院長先生のファンも当然いて、院長先生じゃないと嫌だ!!
って飼い主さんは数多くいらっしゃるでしょう。
もっというと、院長先生以外にはものすごく横柄な態度をしてきて、トラブルの種になりかねなかったり(実体験笑)
することもあり得るので、その病院ごとでやり方は工夫が必要ですね。

ただし、この検査、処置担当を作るにあたっての注意点とデメリットがあります。

注意点

としては、この検査処置担当の人がその日に自分の外来を入れたり、受け入れると、結局外来中心になり同じことになります。
その日の専任にするのか、その人を完全に選任にするのか、シフトの調整だってありますよね?
なので、施設ごとでフィットさせる必要はあると思います。

俺だって超音波したい!という外来の先生の不満につながったりする可能性もありますよね。。。

デメリット

は、責任の所在が曖昧になることと指示が違ってしまうこと、そして、もう一つです。

責任の所在に関しては、外来の獣医師は検査中のことは検査の獣医師の責任だ!
検査担当の獣医師は、外来の獣医師が総じた責任を持つべきだ!
と責任の所在がバラけ、無責任なことが発生する可能性があることがデメリットです。
これに関しては、ひょっとすると獣医師全員が責任を持つで解決できるかもしれませんが、正直、人のせいにできる状況があれば、人のせいにしたくなるのが人の性です。もうこれは、人とはそういう生き物なのでしょうがないですね。
外来は担当医の責任としてしまうのは確かにシンプルで合理的です。ただ、これを新人に強いてしまうのはちょっと荷が重すぎるかと。。。
じゃあどうしたらいいのか!
それは、その施設ごとで決めてもらう必要があると思います。ただ、個人的には、飼い主さんと一緒に診察室にいる時は外来担当医の責任、裏に連れてきて、引き継いだらそこからは検査処置担当の責任
入院中の重篤な動物に関しては、担当医と検査処置獣医師が話し合い責任の所在を明らかにすること
なのかなと思います。

獣医師たるもの全て自分の責任とできるのが理想ですけど、先ほども言ったようにそんな簡単にはできないと思ってます。。。

次に、指示が間違うことですが、これは伝言ゲームだからそうなりますよね。
これは仕方ない部分はあるものの、ミスを最小限にする努力は必要です。

検査処置オーダーシートを作る
ってのが1番でしょうね。
そこに依頼と実施のサインを持って会計にする

のが1番いいのでしょう。
ただ、こんなの書くより、口で
ってなったり、急いでるからひとまず口でそして後から
ってなあなあにいつかなっていくと思います。。。

だからこそ、検査処置担当がここを死守できる人材なのではないでしょうか?

そうすることで費用のもらい忘れが減り、経営的にも安定するのではないでしょうか?

最後にもう一つ


この検査処置担当を専任化すると
最初にお伝えしたように、動物病院で現状求められる人材は、外来を回せて、手術ができる人材にあると思っています。

そんな業界に置いて、外来をしないということはその獣医師のキャリアにとってリスクになる可能性があると思っています。

ただ、診察室の裏に
検査、処置、診療フォローをする経験のある獣医師がいることでものすごく病院は安定すると思っています。

愛玩動物看護師さんにお願いするのも一つだと思いますが、こちらに関しては一部法律の壁があるので、あえて入れていないです。

ぜひご一考いただければと

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