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アーサー王伝説 フィナーレ編 感想

さて、どんなに暗い話の後でも、安心安全・楽しいフィナーレが待ってるのが宝塚の良いところ。


【アーサー王伝説 フィナーレ 感想】


大胆なカットの赤いドレスにソフト帽を被って、キャンディーズのような三人娘(愛希れいか・早乙女わかば・海乃美月)が、グィネヴィア姫のナンバーでキュートに歌い踊る。

美しい魔女モーガンを演じた美弥るりかさんも、フィナーレでは妖艶な男性として登場。
ファン卒倒の1公演で2度美味しい美弥様である。

その後の男役群舞では、珠城りょう筆頭に男役の皆々様が、これでもかと腰をグイグイしてくださる。(言い方すみません)
セクシーな動作が多いのに、曲のアレンジや掛け声は雄々しくてギャップにドキドキしてしまう。

デュエットダンスは何度も何度も見返してしまったほど、今も大好きなデュエダンのひとつだ。
背中を向けていた珠城さんが前を向いた瞬間、グィネヴィア姫と恋に落ちたアーサーそのままの顔をして立っているのだ。

派手な振り付けはないけれど、慈しみながら会話をするような珠城さんとちゃぴちゃんの幸せそうなダンスは、アーサーとグィネヴィアの
"if"
…もしもモーガン達に歯車を狂わされる事なく、二人がずっと幸せに暮らしていたら…
を見ているようで、少しほろ苦くも、心温まる。

いつまでも見ていたい、
浸っていたいと思ってしまう。

ダンスを終えた後にもう一度照明がついて、拍手に応える二人。
一足先に去って行くちゃぴちゃんを、幸せそうに見つめ続ける珠城さん…ふっと気が付いたように客席に視線を戻し、微笑みながら自分も退場する。
そんなところも、優しいアーサー王のようでもあり、素の珠城さんそのもののようでもあって、その温かいオーラに多幸感でいっぱいになる。

思い出しレポという事で振り返りながら書いているけれど、少しだけ時を現在に戻すと、先日の珠城りょう 3DaysSpecialLIVE『Eternità』のMCで「珠城さんの演じた中で一番好きなお役は?」というコーナーがあり、まゆぽん(輝月ゆうま)が迷わずアーサー王をセレクト。

まず第一に甲冑が似合いすぎる』で、すかさず客席から大拍手(笑)
珠城りょう甲冑似合いすぎ問題でひとしきり盛り上がる出演者一同。※わかる

続いて中身について『すごいいい人!』と。
『そのいい人が、裏切られてズタズタに傷つけられて…悲しい孤独な歌をいっぱい歌うところ(がいい)』と解説。※わかる

ズタズタにされる珠城りょうは、良い(笑) ←変な意味ではない
当時珠城さんについて全く勉強不足だった私が、一番の衝撃だったのがこれ。

それもヘナチョコな男ではなく、いかにも屈強で、敵王の前に平然と首を差し出すような男が、たかだか女の愛情ひとつに振り回され、恐れ、傷つけられていくのだ。

二幕からラストにかけて容赦なくボロボロのズタボロにされて、そんな姿がこんなに色っぽくハマる人だったなんて!
しかも最後までいい人、寛容の精神を忘れない。

芝居のレポで「こんなお披露目があるか」と書いたけれど、同時に「よくぞこの役を珠城りょうに!」という思い。

欲を言えば、いっそもうド・シリアスに振り切った脚本で観たかったかな…
(アリアンロッドを魔法中華少女みたいにしたり、合間合間のおふざけ台詞みたいなの必要あったんですかね…ねぇ、石田先生…←どの石田作品でも思うやつ)

話がそれてしまいましたが、最後に研9の若き新トップとして舞台挨拶をする珠城さんの、とても実直で「しっかり」務めようとしている様子。
それを愛希さん、美弥さん始めとする組子全員が優しい表情で愛おしそうに見守っているのが印象的で。

彼女は若きアーサー王。新生月組が彼女の城で。

-恐れられる王でなく 愛される王に-
-統治すれど 君臨せず-
 ※『アーサー王伝説』アーサー王賛歌より引用

そんな風に、これからの月組を率いていこうとしているのだろうなと感じて、
胸が熱くなった。


『アーサー王伝説』フィナーレ感想 完

次回 『雨に唄えば』 感想


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