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Dragged into the Beehive.雑記

お手に取っていただけた方、ありがとうございます。

それはもう、やりたいことをてんこ盛りにした本になったため、ここは補足が必要かも! と思った箇所について記述したり、書きながら何を考えていたかなどを書きます。
物語としてはノイズになりそう&ネタバレたくさんなので、読後を推奨します。

全体について

この本は、サンフランシスコに『Beehive』を見つけたことと、ひとりのセクシュアルマイノリティとしてのニキと燐音をそのコミュニティの中で描写してみたい、という気持ちからスタートしました。
スキンシップや好意を伝えること、のテーマは11月に入ってから生えてきたもので、プロット段階ではもうちょっと浮かれたトーンがあった気がします。
結婚できるアメリカ/できない日本、は絶対に書きたいテーマだったためそれは組み込みつつ、様々な背景を持つ人たちと関わって、ニキや燐音が何を考えるのだろうか、と想像するのはとても楽しかったです。
あとは、三年経って立場も安定していて、それなりに将来を考えるようになって、という状況なので燐音をなるべく穏やかに描写することにも気持ちを割きました。気を抜くと悪辣なこと言わせちゃいがち。クリスマスイベの時のあの感じを…と。

ひとりのセクシュアルマイノリティとして彼らを描写することは、同人誌だからこそできることだとそれはもう好きに書き散らかしたと思います。
ただ好きなだけでは普通に過ごせない状態であるうえ、世の中で強い立場を持つ人間なわけでも、世界を変える力を持っているわけでもないふたりが、悲観的にならず極めてハッピーに、そして現実的に未来を見据えてみてほしいなとずっと考えていました。
pixivにあげている「俺たち付き合ってます!」などでも細々とは書いていましたが、一回ガッツリ取り組んで自分の中のそういったニキ燐に対する想いを昇華しておきたいなと思い、Dragged into the Beehive.が出来上がりました。

もうひとつ、今回は恋愛に主軸を置いたのでアセクシャルやアロマンティックの話は組み込めませんでしたが、なるべくたくさんの、いろんなクィア(セクシュアルマイノリティのことを指す言葉です。元は侮蔑を伴った言葉――オカマ野郎みたいなニュアンス――でしたが、当事者間で使われることが増え、現在は学術的にも使われたりもするセクシュアルマイノリティ全体を指す言葉になっています)を出すことを意図して執筆しました。
これは、ニキと燐音がどんなこと考えるだろうか、どう接するだろうかとクィアコミュニティを愛する私が考える楽しみが80くらいを占めていました。が、誰かがたとえ同人誌でも物語を読んだ時に、なんとなく自分の存在が想定されていると感じる感覚を持ってもらえたらいいなという思いも込められています。
たかが同人誌ですが、同人誌だからこそやれることだと感じています。
燐音およびクレビの主張に救われたタイプのオタクなので、推しカプを現実に持ち込みがちでごめんなさい…。それが癖なんです…。

サブタイトルについて

サブタイトルは最後の8章以外、燐音視点はRから、ニキ視点はNからはじまる熟語や単語、スラングなどからつけています。
1→再会
2→もちろん、お安い御用
3→受け入れる意思(そういう考えなど)
4→ナイトクラブ
5→rear endはスラングで尻って意味です。
”Then here I am.”はニッキー・ミナージュのスターシップスより引用。
直訳だと「私はここにいるから」という意味です。
6→リナ・サワヤマのThis hell より引用。
直訳は「彼でさえ私を傷つけられない」で、歌詞の意味をさらうとここでいう「彼」はサタンのことを指しています。ニキ燐イメソン。
7→P!nkのRaise Your Glassのタイトルまんまです。めちゃくちゃクレビっぽい曲なので和訳も見てみてほしい。
8→カーリー・レイ・ジェプセンのCut to the feelingより。
自分の気持ちに素直になる、という歌で、恋するキラキラみたいなものがふんだんにちりばめられています。
”Show me devotion.”は「愛情を見せて」です。

1章 reunion 

再会&物語のスタートパート。
正樹さんはわりとするするっとキャラができあがりました。燐音くんが昔それなりにお世話になった、みたいな設定上向こうからグイグイ来る人でないと厳しいため。
設定について、二週間は期間が欲しかったためいろいろこねくり回していますね……。

正樹さんは後半でタチだということが明かされましたが、実は当初、最後まで正樹×ダニエルのセックスポジションは明かさない方向でいました。
ただ、恋バナさせてえ~となった結果、わりと擦れたゲイとして生きてきたという正樹さんのキャラ性を鑑みて明かすことになったという。

アイドルだった男/佐藤正樹 27 
燐音が干された時期に事務所を辞めている。ソロアイドルでまあまあ売れていたが、コズプロの騒動で干され、辞める。わりかしあった金で海外を放浪していたところ、サンフランシスコで夫と出会う。今は夫の店を手伝いつつ、デザインや音楽関係の仕事を少ししている。
人懐っこく、分け隔てのない性格。だが、王道で売り出されていた燐音と違い、小悪魔的なキャラ付けをされていた。じっさい、人を揶揄うことも好きでやるので、問題はなかったが、セクシーな小悪魔で「かわいい」と言われることはストレスでもあった。セクシュアリティはゲイで、バリタチ。身長は175で、アメリカに定住するようになって鍛えているので、細身ながら引き締まった身体。顔はめちゃくちゃかわいい弟系。だけどタチだから、万年タチ不足でもちょっとかわいすぎると振られることがままあった。

プロットにあるキャラ設定はこんな感じです。
正樹さんに関してはだいぶ本編で出せたので満足。

この章、本当はクレビをもっとわちゃわちゃさせたいと思っていたのですが、全体のバランスと作業ペース的に入りきらず……。
HiMERUとこはくちゃんが温泉でも行こうって言ってるシーンにすべてを詰め込みました。まったりのんびりしてほしい。

P8にある、「恋をすると、もしくは愛されていると人は綺麗になる」は、「お前だってそうだろ!」と思いながら書いていました。
「りんね、どんどんかっこよくなってるけどそれ以上に綺麗になったよね~」みたいなオタクのコメントで溢れてるイメージです。

この場における正樹さんの役割はサンフランシスコへの勧誘のみですが、一応種まきとして、オタクがアイドルを組み合わせてキャッキャする行為と当人のセクシュアリティについては入れてみました。
クレビはいい意味でも悪い意味でもこういう行為をどうでもいいと思っていそう。関心がない、というか。それどころじゃないと思うので。
こはくちゃんはこの本においてゴリゴリのヘテロの若者なんですが、「そういうのもあるんやね」以外の感情を抱いてない感じです。これは別にいいことではない。でも、こはくちゃんなら割りきるような気もしています。

英語の勉強について余談ですが、二年近く勉強を継続していたことになるので、まあわりと真剣にやってればそれなりにはなってるんじゃないかな、という想定です。
高校生組とかに交じって期末解かせてもらったり、ちょっと英語教えたりしてたりするとかわいいな~って思っています。
作中英語話してるところはニキはひらがな多めで拙さを、燐音は口調とかが出にくいと思うので(カナカナのあの喋り、スラングとかを沢山使う喋りを英語でするなら表現できるけどそうでないなら無理)、普段の口調を消す形で描写を試みました。

あと、まおとりつに関しては、ニキ燐同様あんスタ公式スト内で「結婚」に言及してるふたりなのでつき合っているものとして描きました。

ちなみに、この章で一番好きなセリフは「HiMERUが天城とつき合う品性の人間だとは思われたくないですが」です。

2章 no sweat

私のアメリカのダイナーへの憧れが漏れ出しているスタートですが、いいですよねああいうところ。モチーフとかはないのですが、各種海外ドラマで見た光景を脳内で組み合わせて描写をくみ上げました。
正樹さんにつき合ってることを知られ、揶揄われるふたりが書きたくて…。HiMERUは知ってもあまり揶揄ったりしなさそう。こはくも然り。なので、正樹さんというオリキャラに担ってもらいました。

ダニエルの登場は当初、家で集合(ニキが料理しているところに帰ってきて、すごいきざなセリフを言う)を想定してましたが、ダニエルの登場シーンが少ないのと、ご飯の時までに人柄を把握してもらいたく、こうなりました。

ダニエル 32 サンフランシスコで飲食店をいくつか経営している。パンセク。カストロのバーで正樹と出会い、かわいいな~ってワンナイトしたらめっちゃ丁寧に抱いてきたギャップで惚れた。リバなのでどっちでも良かった。アメリカ滞在の途中から正樹はダニエルの家でほぼ同棲になり、そのころには惚れていたので、放浪を断念。ビザが切れるころ、二人で一度日本へ行き、アメリカへ戻って数ヶ月後結婚した。生まれたのはニューヨークで、母親がキューバ系、父親は白人。大学生の頃友人たちと旅行できたサンフランシスコの風土が気に入り、卒業後引っ越してきた。
185センチでくりくりの赤毛、均整のとれた身体つきだが、不規則な生活と仕事柄、お腹はちょっと出てる。母親と物凄く仲が良かったこともあり、ラテン系文化の影響を強く受けている。

ダニエルはこういう人です。
ラテン系文化の影響を受けているキャラをですね、出したくて…。私がこよなく愛するドラマに「ワンデイ 家族のうた」という作品があり、その影響を受けています。(ネットフリックスで配信しているのでぜひ! 一話30分もないコメディドラマです。フルハウスみたいな感じのやつ)

ご飯食べながら会話するシーンは、最初は正樹さんが燐音くんをたくさん照れさせる、みたいな内容だったのがどうもしっくりこなくて、なぜかダイナーで撒いてしまった「いつから好き」「どっちが先に」の論争にある種の答えを出してもらう展開になりました。
燐音はニキとつき合うとなったらきっと、自分にニキをつき合わせていると感じてしまうだろうなと常日頃から考えていて、それはきっと、「ニキには俺といない未来が掴める」と燐音が思っているからなのかなと。
もちろん自分ではなくもっと別の素敵な人(性別問わず)みたいな考えでもありますが、結婚という制度をたびたび口に出し、「お嫁さん」とニキに呼びかける燐音の価値観を考えた時に、旧態依然としたものの見方を無意識にしている可能性もあるのかな、と思いまして…。
そこから、内在するホモフォビアを指摘される展開に繋がりました。「ニキをその道に引きずり込んでしまった」という感覚の話です。
ただこれは、一般的なBLではよく見かける葛藤で、それでホモフォビアに言及されることは(商業ラインに乗せたり、世に発表することを考えると)ほとんどありません。なので、私が同人誌で書くならこういう結論付けにしたいな、と思い書きました。
それにアメリカでのお話なので、こういった指摘を受けることが日本よりも不自然でないし、今やらないでいつやるか、と…。

キスするしないの話はマジでかわいく書けたと思う。かわいいニキ燐…かわいい…と呟きながら執筆していました。
感情が高ぶるとキスしていいか訊くニキ、が公式なのでそれを回収するかたちで、セックスは平気なのになぜかキスは照れてしまう燐音とその理由というニキ燐かわいいかわいいエピソードでした。
でも話の都合上終盤まで挿入アリのえっちはあおずけという。書いている途中、本当にごめんと思ってました。

3章 receptiveness

カストロ地区訪問パート。カストロ地区のみではないですが、サンフランシスコとクィアのイメージとして参考にした作品として、『メリーアンシングルトンの物語』があります。(ネットフリックスで配信中のはず)

異性愛者がもはやマイノリティというクィア主体のドラマです。めちゃくちゃ面白いのでぜひ…!

最初はアダルトグッズの店でまおとりつに大人の玩具のお土産選ぶニキ燐とかのシーンがあったのですが、カストロ地区がどういうところなのかとか、どういう意図の店が集まっているのかとかを書きたくて雑貨屋さんになりました。サンキュー、グーグルマップ。
燐音は別に特段こういったクィア文化にこの時点で思い入れがあるわけでもなく(ニキも然り)完全に観光気分だし、「ふーんこういう意図でこういう店になってるわけね」って感じなんですが、嵐ちゃんや斎宮のいるあんスタでここを投げ出したくないな、とちょっとだけこだわって書き加えたりもしました。
同じマイノリティだとしても重なるところのない他者への燐音の姿勢は寄り添うとかではなく、「存在を認める」なのかなと思っているので。「こういうやつがいる。俺はそれを否定しない。好きにしろ」なのかなと。でもそれって理解を拒んでいるわけでもなく、わかりたいとは思う心根はあるんじゃないかなという解釈です。

あと途中言及のあった博物館は実際に「GLBT博物館」というものがカストロ地区にありますし、そこで展示されていたという議員はハーヴェイ・ミルクのことです。
ぼかそうかどうしようか迷いつつ、二次創作と現実の境界をくっきりさせてみたくて、史実は史実として入れ込みました。
二丁目はけっこう特殊なので夜の街が落ち着くタイプの人でないと馴染めないことも多いのですが、ゲイタウンやゲイバー、ビアンバー、もしくはそういった人のみが集まる環境ならではの「今の自分はここで浮くことがないのか」という安心感は実際に体感しないとわからないものがあると思っています。
日本ではクレビとしてバチバチ世間やESとやり合って、プライベートでもニキとの関係は隠さなくてはいけなくて、という状況のふたりがすべてを隠さなくていい環境に身を置いた時にどう感じ、どう動くのかなと考えながら書きました。
「普通」なんかになったことのないニキと燐音が、「普通」であると体感した時に得られる自己肯定にも似た何かがあったらいいなという私の願いが込められています。

4章 night club

ここにたどり着いた時「やっと書ける~!」って騒いだ記憶。ここまで書くのに数か月かけて、ここからは二週間くらいで執筆しているので(アホ?)
ビーナのパフォーマンスはCherのBelieveとかかな~って思っています。ここは決めていません。

メリッサにナンパされる燐音、それを退けるニキの構図は絶対にかわいいと思って入れちゃいました。ナンパされる燐音を見たニキ、絶対瞬発力はないのでぽかんとするし、慣れてしまえばやっぱすべての物事において燐音のほうが余裕あるのはそうなのかなあと思っているため。
そして彼女のドラァグマザー、ビーナも軽めにいい人として登場させました。

クイーン ママ・ビーナ(Mama・Biene)
ビーナはドイツ語で蜂。別にドイツ系とかじゃないけど女王蜂の概念に憧れて、Beeじゃださいなと思ってドイツ語を使った。ブラック。南部なまりの喋り方をする。両親からは勘当されている。めちゃくちゃ仲のいいパートナーがいる。身長190のビッグクイーン。

ビーナは南部出身で厳格なキリスト教徒の家庭に産まれ、実は牧師の資格を持っているとか、同性愛者であることを両親に明かしたら勘当されていろいろあって今に至るとか、そういうことを全部乗り越えて幸せな今があるというキャラクターです。
多分作中キャラで一番幸せの絶頂にある。
「選んだ家族」はChosen familyのことで、日本のアーティストはリナ・サワヤマのことを指しています。
ニキも燐音も、なんならあんスタの人たちってわりと疑似家族を形成しがちというか、Chosen family的な概念を漂わせているところがあると思っています。この話が同人誌で出せて満足した~!

作中のメリッサのパフォーマンスおよび見た目のイメージはここのカイリー・ソニーク・ラブを見ていただけるとわかりやすいかもしれません。
トランスジェンダー女性のドラァグクイーンです。
ドラァグレース(これもネットフリックスでS12.13は見れます)はS1-13完走勢でめちゃくちゃ好きなので、この本に詰まった謎のドラァグ熱はこのリアリティーショーからきています。
マジですごいんだこのリップシンク…!
(あと戦っている相手のマニラさんはドラァグレース出場クイーンの中で私がトップ3くらいで好きな方です)
ここのメリッサのパフォーマンスはニッキー・ミナージュのスターシップスが曲としてかかっている想定です。

メリッサ Melissa 
ギリシャ語でミツバチだけど由来は本編には出さないし本人も知らん。二十代の若いクイーンでサンフランシスコ産まれサンフランシスコ育ち。トランスジェンダー女性で、パフォーマンスを通して自己表現をする傍ら、性転換手術の資金を貯めている。基本明るく前向きな性格で、ドラァグではない姿で給仕もやる。彼氏募集中で、自分を「ホットでセクシーなビッチ」と自称していることもあり、好みの男にはすぐモーションをかける。金髪青い目で見た目もかわいい系、身長170で小柄。トランスジェンダーとしてはいわゆる「勝ち組」と称されることも多いが、本人の勝気な性格やビーナをメンターにしていることもあり、やられることなく生きている。

あと、ドラァグクイーン的な愛されギャルっぽさはadoreちゃんをめちゃくちゃ参考にしています。

作業中、何回見たかこの動画…。

5章 rear end/Then here I am.

ドラァグしてもらうことは最初から決まってましたが、ヒールを履くかどうかはここを書き始める時まで悩んでました。
いくら燐音でも、経験がなければ数日そこらでダンスパフォーマンスができるくらいヒールを履きこなすのは現実的ではないと思っていたので。
なので、ヒールで生活したことがあって、その時ニキはすごい興奮してた、というエピソード付けによってなんとかしてみました。私が燐音にヒール履いてほしかっただけです。
さらっとですが、文化の盗用的なお話にも触れています。こんな面白半分の人らがやることではなくね? と何より私が思ってしまったため。
すべてにおいて必要なのは敬意と尊重だよね、という結論に今回はしていますが、人によって意見分かれそうなところでもある。

リア&キャシーはほんと、ここでいきなり生まれたキャラクターです。書いてて「あれ、今キャラクターゲイばっかじゃね?」と思い、レズビアンも出したいよお、と、もそもそ執筆しました。
リアはいわゆるブッチレズビアンと呼ばれる男性的な格好、振る舞いを好むレズビアンの女性です。キャシーはゆるふわかわいい系のふくよかな白人のレズビアン。めちゃくちゃかわいいお似合いのカップルとして出せて満足。
ここでさせた「ゲイだし」「ゲイだもんな」の会話がけっこうお気に入りです。セクシュアルマイノリティ的なことをわりと広く「ゲイ」と形容したりするので、ヒール履いている燐音なんて「ゲイ」そのものなわけで。
そういう視線みたいなものを面白がって受け止められていることが、そのコミュニティに馴染んだということを示すよなと。
スキンシップを当たり前にとるようになった状態のふたりの穏やかさ、自分で書いててあまりにも幸せそうで…。
好きだと伝え、キスがしたい、あなたに触れたいと臆せず言うことができるようになれば、不安なんて消し飛ばされてしまうわけで。そういう刹那的な幸せや快楽を存分に楽しむのはクレビ、天城燐音的な在り方としても正しいかな~と。
「ヒール、脱がせてくれよ」がこの本の大サビだと思っています。下手なセックスよりエロい。

メリッサの独白パートは入れようか迷って、結局入れました。ドラァグ文化的な話と、彼女のパーソナリティゆえに疎外されてしまうお話は、燐音やニキにも通ずるところがあると思って。
アメリカでも日本でも、いろいろと世の中の流れ的にどうだろうかと思ったのですが、ここは私の譲れないところでもありました。
まーじでメリッサ、早く望む自分になって超イケメンのメリッサを溺愛する金持ち捕まえて玉の輿に乗ってほしい。「暇になったから行くわ!」っていきなり連絡いれて日本に遊びにきてESのひとら巻き込んで大暴れとかしてくれ。司とかを…大困惑させるみたいな…。

6章 Not even he can hurt me.

パフォーマンス一曲目はリナ・サワヤマのThis hell です。

喧嘩オンリーでも投票した(私情!)くらい、ニキ燐イメソンだと思っています。世の中への姿勢、中指を立てる感じ、それでいて「あなたとなら地獄でも悪くない」と歌い上げる曲なので。
ニキと燐音は167.168話のイメージもあって、どちらかが地獄に落ちるなら一緒に歩いていくCPだと思っています。
片方だけが幸せになる未来って訪れなさそうなんですよね。
パフォーマンス途中の絡みはドラァグレースS4に実在するやつです。
(下の映像、そのシーンを頭出しにしてますのでそこだけ見てみてください笑)

燐音のドラァグの方向性としてもラジャはわりと参考にしています。男性の身体で特に補正とかをガンガンしないでドラァグをする人なので。
衣装やメイクもイメージはこんな感じですね。

二曲目はP!nkのRaise Your Glassです。

これ、本当にクレビの曲みたいな歌詞なんですよね。
負け犬や馬鹿な仲間たちに乾杯を呼びかける曲です。ぴったりじゃん! と二曲目にしました。
ここの後半のスプリットですが、参考シーンもあげておきます。(これもリンク内頭出しにしてます)

この技、できる人できない人は分かれるので燐音にはできてほしい! って願望です(笑)
身体が柔らかい燐音のことを性的に見てしまうところがある。

ニキが燐音を好きだと思った時のことにも触れて、「女の子」の燐音くんなど性別の揺らぎ的な、セクシュアリティのわかりにくさと、それでもただ目の前にいる「君」が好き、という話をピークでしてみました。
こと今回の話において、ニキと燐音はセクシュアリティが先だって互いを好きになったわけではなく、「ニキだから」「燐音くんだから」好きなので。

ちなみに、荒く描いたニキ燐音のドラァグイメージイラストがあるのですが、ここで着ているものとかなり異なっているのでお蔵入りしました。

7章 Raise your glass.

私、ここのメイクしたニキとキスする燐音、めちゃくちゃよく書けたと思ってえ(自画自賛)
HiMERUとこはくちゃんの話もあまりにも触れていなかったので触れました。滞在中、結構マメに自撮りとか送ってたと思います。
向こうも仕事の連絡とかしてきたりしているし、三年も経過しているので、それなりにめちゃくちゃ仲がいいです。
こはくちゃんは18とかのはずで、夜中にいきなり化粧の濃い美人の胸とか尻を強調してる写真が送られてきて最初「うお」ってビビったと思う。かわいい…。

正樹さんについて回収しないわけにいかないし、元アイドルで先輩の人が燐音に対してほの暗い気持ちがないわけないだろと思ったので、軽く会話ベースで入れています。
男性とつき合っている男性として、友人として、いろいろとお話できることがあるよねえと思っての恋バナシーン。
ニキはこれより前にちらっと結婚とかってどうするんすか? みたいに正樹さんに質問していて、ダニエルにもキッチンでいろいろ話を聞いているはず。なのであの思わせぶりな発言が飛び出したわけです。

チップの使い方マジで迷ったけどその場でぱっと消し去らないとグレーな金すぎたのでああいう結末にしました。結果的にBeehiveも潤ったし良かったんじゃないでしょうか。
ちなみに、牧師の資格を持っているビーナによる疑似結婚式を行う、というのが当初のプロットでした。が、それはまた今度になりました。
本当はそれに感動したダニエルが会計全部奢ってくれる、という話でした。チップ稼いでホテルで豪遊、みたいな。
サンフランシスコで結婚式をするのなら、牧師役は買って出てくれそう。

8章 Show me devotion.

章タイトルで引用したカーリー・リー・ジェプセンのCut to the feeling
8章全体のイメージソングでもありました。
ただひたすらに愛して、求めて、って感じの曲です。かわいい恋愛をニキ燐にしてほしくて。

8章は基本的に書いてあることがすべてなんですが、謎にこだわったタックによる毛の描写とかは頑張りました。
ニキ、わりと毛が濃そうというか、毛量がそこそこありそうで、尻の方まで毛が生えているタイプだったらいいなと思っていて…。
余談ですが、無配でつけていたローションのお話の時に買ったローションのおまけとしてついてきた携帯用ローションを持ってきた、みたいな裏話があります。
チョコもちゃんと買ったし、楽しくなってオイルとシリコンタイプ以外にも温感とか色ついてるやつとか買ったし使ったと思う。

サンフランシスコに来る前と帰る時で何かが変わったかといえば、いろいろ変化がありそうで、ないという。別にパートナーシップも、この旅行がなかったとていずれたどり着いたかと思います。
回答を出すのが少し早まったとか、ただそれだけです。
でも、自分が確かに属していると感じられるコミュニティって、適切な時に適切な情報をもらえたりして、正しく使うと本当に人生助けられることがあるため、今回のニキと燐音はわりとそれにあたるのかなと思っています。

まとめ

書いているときも、今も、「私による私のための同人誌だ…本当に大丈夫なんだろうか」と不安に駆られていました。
現代日本において、同性カップルとして生きていてセクシュアルマイノリティのコミュニティにいっさい触れないというのはわりと珍しさがあるくらいだと思っている(もちろんそういう人もいます。異性愛前提の社会で隠しつつ同性カップルとして生きる難しさとかそういう話です)ため、ニキと燐音もつき合っているのならどこかでそういったクィア的なものと関わりを持つのかなとぼんやり考えていた結論をここで出せて良かったです。
これで心置きなくバリバリのエロを書ける。楽しみだ…。

私個人の考えもふんだんに入っているため、もしかしたら「なんか違うな」と思ったところもあるかと思います。
そこがすごく不安だったのですが、同人誌だし、と好き勝手やってみました。ニキと燐音への解釈とかも、私個人の考えなわけだし。
本当に書くのが楽しかったし、これが初めての同人誌で良かったです。

最後に、マジで不安が和らぐことがないので、「ここは私はこういう風に思いました」みたいな議論しかけとかでもいいので、何かありましたら感想などいただけると嬉しいです。
人の意見もらうの大好きオタクです。

5月のスパコミは出ようと思っているので、それまでもたくさんニキ燐に向き合おうと思います。
もしここまで読んでくださった方がいたら、ありがとうございました!


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