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たった140の視界

140
不定期に約140文字で散文のようなものを。推敲ほぼなし。ネタ帳的な。ちょうど140となりましたので一旦完了。佐久イヌ140をお楽しみくださいませ。
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#BL小説

嬉しい の感覚が同じっていうのは
それだけで人生得した気になる
朝起きて顔見て嬉しい
一緒にご飯食べて嬉しい
ライムシリーズの新作が嬉しい

そのうちに
同じ世界にいるだけで嬉しい
いてくれるだけで嬉しい に
そう まるで
お互いが空気みたいな
当たり前の存在が
実は奇跡だと知る

得意料理は焼売だって
初対面での挨拶
皆で宅飲みした時に
あいつは振る舞ってくれた

家で作れるんだね そう言ったら
すごく嬉しそうに 得意そうに
「他にも色々出来るんだ」
何故かそこだけ声張らずに

結局色んなもの手作りしてくれたのって
俺限定だったって
付き合って初めて知った

どこにいても何してても
うっかり電車乗り過ごしても
間違えない
右でも左でもどっちでも
行き先は同じ
何やってんだよ 困った笑顔で
待っててくれるお前がいる

広い海に沈んで 踠いて
忘れ去られそうな場所でも
力強い腕に引き上げられる

どんなことがあっても
そこが俺の 帰る場所

二人でいる時の視界ったら
尋常じゃないくらいキラキラした
フィルターがかかってて
どんな景色もどんな会話も
いままでで最高の輝きでもって
心の中に溢れて

その状態がずっと続くと
どんな人も怖いワンちゃんも
皆大好きで大切に思えて

世界は好きしか存在しない
そう確信するんだ

頭で答えの出ない事を
常に巡らせるのがヒトであって
勝手な自動思考なのはわかってても
その分ピンポイントなダメージを食らう

考えるな 感じるんだ
あのヒーローが言ってたように
内側に湧き上がる力を
導にたどり着いた場所で

全ての反が覆る
そんな奇跡までもが

お前のお陰なんだ

俺の毎日が
明るく光ったり
暗く沈んだりはあるんだろうが
底の見えない暗い洞の中
お前の手を取って
ひたすらに進んで
その先に在れと願う光を
欠けて満ちる月の輝きに重ねて

光を目にして思い出すのは

月は只そこにあって
太陽の光を照り返して
自ら光ってるように見えるだけなんだ

行きたいとこ やってみたいこと 作ってみたいもの 食べたいもの こいつと付き合ってから 倍に増えた 見た事ない 聞いた事もない 知らないものが沢山で 重いものは半分ずつ 抱えきれない夢や望みは 溢れた分を分け合える 二人で丁度イーブンな世界で 生きてける 今までもこれからも

土産何がいい そしたら
美味しいもの

それで 出先では
仕事よりそっち優先で
時間が空いたら美味いもの探し
その時間がすごく楽しいんだ

家に帰って山ほどの収穫を
並べて比べて喜んで
ありがとうありがとう
一つ一つに礼を言う
その度俺も幸せになれる

その顔 見せてくれるから

甘いものは苦手だった だけど
そういうアンチ寄りのやつって
一気に覆された時がすごい笑える
全てがそれ一色に変わるんだから

ワンちゃん苦手だったやつが 飼った途端
デロデロ愛犬家に寝返るくらいに

お察しの通り 糖分漬け
あんたに会って
この世は砂糖でできてるって
開眼したんだ

星を見に郊外に来た
綺麗すぎてCGみたいで
光の粒の多さに目が回る
自分ちからちょっと離れただけで
景色ガラッと変わるなら
俺を全然違う見方したら
自分の思ってるのと180度違うのか

そしたら隣でお前が笑うんだよ

自分軸以外は気にしないでいい

星が綺麗 それだけでいい って

話しかける時とか
異様に焦る癖があって それも
昔からあいつ限定で
最初は 苦手意識かと
そんで避けたりしてた
でも無意識に 姿探して
目の端っこにでもいないと落ち着かない
そのうち気づいた 腹括った
焦るのも 異様な意識も
いて欲しいってことも

そんな理由 一つしかないじゃん

幼馴染だから 全部知ってると思ってた
隠し事もないって思ってた
だから油断してた
バレることはない 自分の想いを
気づかれるなんて事はないと

「知ってたよ」

その一言で俺らの均衡が揺らいだ
もう知らないふりできないくらいに
あいつはずっと待ってた
俺の方が音を上げるその時まで

一緒に旅行行くはずが
なんやかんやで都合が悪くなって
映画や 買い物や その他も
仕掛けられてるみたいに取りやめになって

結局俺ん家で 二泊三日の合宿
いや何のよ ツッコミもイマイチ
どっか行く予定が潰れたんなら
俺らずっと一緒にいればいいわけじゃん

本末転倒 めでたし だね

休みの日は前日からオール 長い映画何本も配信で見ながら 夜中にでっかいなんとかバーガーや カロリー顧みないプレミアムビール 散々呑んで食って語って 夜明けを迎える その頃には酔いも醒め 誰もいない道ベランダから眺めて まるでこの世界たった二人な そんな錯覚を本気で楽しむんだ