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「最愛ドラマ」考察:加瀬の存在意義と、梨央と大輝の未来(ネタバレ)

〇はじめに

TBS金曜ドラマ「最愛」の最終回(2021年12月17日)を視聴して、その日のうちにすぐにこの感想を書きました。加瀬の考察がメインです。勢いで書いた粗削りな内容ですが、この率直な感想は数日経っても変わらなかったので、その後少し加筆しましたが、これで終えようと思います。
最後におまけとして、最愛ドラマ公式さん、キャストの皆さんのSNSをいくつか厳選して貼りました。公式さんはTwitterもInstagramも本当に素晴らしく、半永久的に保存しておいてほしいです。
「最愛」は、本当に大好きなドラマとなりました。(*˘︶˘*).。.:*♡♥

★ドラマ開始前の番宣でのスリーショット。この3人が中心とわかるが、手にしているサスペンスバージョンのポスターには12人写っている ↑

〇実は早々に謎解きヒントは示されていた

番組スタート前から、ヒロイン・吉高由里子さんとともに、松下洸平さんと井浦新さんの3人がメインキャストとして紹介されていた。ラブサスペンスと銘打たれたこのドラマ。松下洸平さんはヒロイン・真田梨央を追う刑事役。井浦新さんは梨央を守る弁護士役。当初はこの2人のどちらが梨央と結ばれるのか、という三角関係を思わせる様相だった。
が、その構図は早々に崩され、梨央と大輝の「禁断の愛」が一進一退しながら育まれていく様子が描かれるようになった。この2人がラブの部分を担うのだと思われた。

では加瀬の存在意義は何なのか。単なる良い人なのか。メインキャストの3人に入っているのはなぜか?
――つまり、梨央と大輝のお互いの気持ちに視聴者が気付いたそのときに、加瀬がサスペンスの部分を担う人、つまり事件のキーパーソンだ、という大きなヒントが示されていたのだ。
ポスターにヒントがあるという新井プロデューサーの言葉は、そういう意味だったのだろう。12人のポスターの方に完全に惑わされていた。12人それぞれが、何かがあるようで、藤井など12人以外の人物も存在感がありすぎて・・・
でも、もうひとつのポスターは、梨央と大輝と加瀬の3人しか映っていないのである。
そしてそのポスターのキャッチコピーはこうだ。
「全ては、愛するがゆえに。」
加瀬は、愛するがゆえに、一線を踏み越えたということだったのだ。

梨央の相手でなければ、加瀬の存在意義としては犯人しか残っていない、と頭ではわかっていても、私を含む多くの視聴者は、「加瀬は違うだろう」と思ってしまっていただろう。加瀬が本当にいい人だったから、まさか犯人であるはずない、と私の目は完全に曇った。いや正直に言うと加瀬犯人説は頭の片隅に常にあったのだが、「梓の指示でやっているのではないか」などと梓黒幕説を私は前面に出していた。ミステリーは実はシンプルだという大原則すら見ないふりをしてしまった。私は、加瀬が犯人だと思いたくなかったのだ。それだけ加瀬を演じる井浦新さんの演技と、脚本、演出が素晴らしかったということだろう。

★3人バージョンのポスター。12人バージョンと異なり皆の表情も柔らかい。ラブの部分を表しているのだろう ↓

最愛3人写真

〇すべては最終回で明かされた

加瀬の最愛は、梨央でも優でも梓でもなく、それらをまるっと含む「家族愛」だったのだと思う。
だから15年前の事件の際、達雄に手を貸した。
弁護士として、優が罪に問われないことを達雄に冷静に伝えたのに、理屈ではない達雄の「家族愛」に、加瀬は魂を売り渡してしまった。家族がいない加瀬にとって、達雄が子どもを愛する気持ちは眩しいほどで、憧憬の念すら抱いたのかもしれない。
もちろん梓も、達雄と加瀬がしたことをわかっていたのだろう。だから加瀬を雇い続け、つまり守り続けた。
そして梓は昭事件のことで、自分のペンを加瀬が拾ったことも後藤に隠し、加瀬を守ろうとした。できることならば殺人の罪もかぶる覚悟で黙秘を続けたのだろう。

加瀬にとって、達雄とともに2人を守った15年前のあの瞬間から、梨央と優は本当の家族になったのだろう。だからこの2人が笑顔になるためなら何でも手を貸してきたのだろう。
優が康介を刺したことを思い出して家出した時も、陰で支え続けた。家族として。
多くの人を救う新薬の開発を頑張る梨央の夢を、加瀬も叶えたかった。家族として。
そうやって15年間、加瀬は2人だけでなく真田ファミリーと真田グループを守ってきた。
康介の父親・昭が現れ、「加瀬の家族」を追い詰めるまでは。

★加瀬の活躍で優を救い出した後の笑顔の3人。加瀬が守りたかった最愛の家族・・・ ↓

〇加瀬の罪とは?

しおりの死亡時刻のズレを見抜いたのは大輝のお手柄だ。
しおりの葬儀に行き母親の顔も覚えていて、事故現場も度々訪れていたからこそ、処方変更による副作用の発熱に気付いた。ここから一気に真相にたどりついた。

しかし、正確に言うと、加瀬は誰も殺してはいない、かもしれない。

康介は既に死んでいて、加瀬は死体遺棄を手伝っただけだ。

昭に関しては限りなくい黒に近い。梨央が心配で池に駆け付け、息子への盲目な愛ゆえの昭の女性蔑視の酷い発言に加瀬は憤った。康介の犯行に苦しんできた人々を身近で見てきたから。そして怒って昭を突き飛ばしたら、昭が池に落ちて石で頭を打ってしまった。そのあとの加瀬が昭ともみ合う行動の意図が問題だ。死因は溺死だが、池に沈めて昭がこと切れるのを加瀬は見届けたのか?昭が池で意識を失うのに頭部打撲は影響があるだろうからある意味事故でもある。しかしここでも加瀬は助けなかった。明確な殺意があったのかどうかはわからないが、未必の故意(死んでしまうかもしれないがそれでもよい)はあったはずだ。

しおりは、やはりかなり心を病んでいた。加瀬ともみあって階段から落ちたのは紛れもない事故。偶発的なことだ。しかし救急車を呼ばずに立ち去ったのは加瀬の故意で罪に問われることだ。

弁護士である加瀬は、この3つの事件にこれだけかかわれば十分に黒だと、自身が一番わかっていた。

大輝は刑事だから刑法のことはわかっている。
だから、加瀬が実際に犯した罪の内容というよりも、
「なんで一線を踏み越えた?」という問いかけになったのだ。
それに対する加瀬の答えはこうだ。
「法律では守れないものがあるから」
これは、達雄から引き継いでしまったゆがんだ「家族愛」だ。しかしそれが加瀬の「最愛」なのだ。そして、康介と昭の事件の真相を知っているからこそ、ゆるぎなく全力で優を救出し、梨央と優の幸せを守ったのだろう。その盲目さは皮肉にも昭の息子康介への盲目さと似ているのであるが。

「2人には一点も曇りのない人生を送ってほしい」と加瀬は大輝に言った。
優の病気に効く新薬が承認されたことを確認し、加瀬は姿を消した。自分の役目はもう終わったとして。
加瀬は捕まるわけにはいかないのだ。真田グループをまたスキャンダルに巻き込むようなことはできない。だから逃げるしかなかった。

〇真相を愛で飲み込んだ大輝

大輝からの電話を切らずに話し続ける加瀬は、すべての罪を告白しているのと同じだ。
大輝が加瀬を取り逃がしたのはわざとではない。しかし、加瀬の思いを知ってしまった。
加瀬は、「頼みましたよ、宮崎さん」と言ったのだ。その言葉を聴き、加瀬を追う気持ちが脱力していく、このときの大輝の表情がすごかった。

ちょうどそのとき、梨央から電話がかかってきた。新薬が承認されたと。
加瀬の犯行を梨央に気付かれないようにと思いつつ、電話に泣きながら出る大輝。
梨央は大輝の涙を、喜びの涙だと勘違いしただろう。
そして、梨央の「こんな幸せな日はないわ」との言葉を聴き、大輝は真相を飲み込む覚悟をしたのだろう。
最愛ドラマのキャッチコピー、「真相は、愛で消える。」だ。

姿を消した加瀬から贈られた赤い手帳を使い始めた梨央。
「どんな事実でも、私たちは受け入れる覚悟です」と、加瀬の無事を祈る。
加瀬は、おそらく自殺はしないだろう。どこかでひっそり生きて、知識を生かして、誰か困っている人を助けているかもしれない。
しかし本当は、梨央と優の幸せを、近くで見守っていたかっただろう。家族として・・・

★追う大輝と逃げる加瀬。その2人の最愛の梨央と優。この4人の笑顔のオフショット。ドラマ内でも観たかった・・・( ´•̥ו̥` )    ↓

〇愛するがゆえに、未来へ

最後の白川郷のシーン。
雪が舞うなか、梨央と大輝が2人で達雄の墓参りに行く。
梨央は再度、大輝に「幸せやよ」と言う。そして大輝にも問うのだ。
「大ちゃんは幸せ?」
「俺はお前が笑っとるのを見とればそれで」
「簡単やな!」
「簡単やわ、俺は」
そう言って大輝はふっと一瞬だけ笑ったが、すぐに笑いを封印して達雄の墓に手を合わせる。
実は梨央も笑っていない。
そして言う。
加瀬のことをなんとなくわかっているのだと。
嘘をつけない大輝は目を反らして「なんのことや」とふっと笑ってスルーする。
そして2人は手をつないで歩いて行くのだ。2人の未来を2人で考えるために。
大輝は言う。「ちっちゃい手やな」
梨央は返す。「あったかい手やな」
このやりとりがいい。
そう。大輝の手は大きいだけではなく、あったかい。梨央の手だけでなく、梨央自身をすっぽりとぬくもりで包みこむだろう。

梨央は、自分と優と加瀬のために、大輝が真相を飲み込んでくれていることに気付いている。
それでも大輝は強くて大きくてあったかいから、すべてを飲み込んだうえで、梨央と優を幸せにするだろう。
そしてそれは、梓も後藤も同じはずだ。
だからこそ、梨央と大輝と加瀬の3人を描いたもうひとつのポスターのキャッチコピーが、
「全ては、愛するがゆえに。」となっているのである。

★3人のオフショット。ドラマ内では3人が一緒に笑うシーンはなかった・・・(´•̥  ̯ •̥`)   ↑

〇おまけ:ドラマ公式やキャストの厳選SNS♡

★ジリキュンの梨央&大輝「君に夢中♪」シリーズ(。•ᴗ•。)

★キャストの仲良しオフショットシリーズ♡

★半永久的に残しておきたい動画♡





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