あの頃の胸の痛み

あの痛みはもう

自宅警備をしていた次女が、教育実習に通い始めて1週間になる

思い出すのは、ずっと高校の近くを避けていたこと

そして、高校生を見るたび、涙しながら運転したこと

「ごめんね」次女の言葉が胸を刺す

「謝らないで、病気だから。誰も悪くない。」
次女も私も俯くばかりだった

趣味の集まりやパート先で、我が子の夢や進学先を聞かれる

(だれも悪くない、聞きたかっただけ)
理解はしているが、私も行かなくなった

ただ病気になっただけなのに、世の中や人が怖く、恨めしいものになった

(次女はかわいらしく、どこにいっても自慢の娘だ)私は常にそう思っている

病気になった時も、必死に抗おうとした
「消えたい」と言った日も、乗り越えた
芯の強さを感じた

あれから、すこしづつ外出できるようになっても、やはり人混みは怖い

近所で大学生が大勢いたら、店から出られないとSOSがくる
迎えに行き、二人で人のいない道を探す

怖いのを承知でライブに連れ出す
私の神様(サンボマスター)の所へ
二人涙しながら歌う

(また、笑って山口さんに会いにいかなきゃ)そう言いながら、ボロボロの顔のまま居酒屋で笑い合った

そして今ようやく、高校生活の上書きが始まった

几帳面で時間に厳しかった次女、病気をしてから時間にルーズできっちりできなくなった

「なんか病気して幼くなったよね」次女

「今までが大人過ぎたんだよ、今の方が可愛らしいよ」母

今までが大人過ぎたのだ
これから幼少期しっかりし過ぎたのと相殺していこう

私も次女もまだまだ成長中

成長過程の痛みはだいぶ薄らぎつつある



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