障害者が手帳で得をするのはおかしい

 私は障害者で手帳を持っている。そして手帳を使ってよく博物館に入らせてもらったりするのだがよく良く考えればおかしなことが起きている。障害者というのは健常者より手がかかるはずだ、それなのに優遇してもらっているのはなぜなんだろうか。
 平等院でのこと、鳳凰堂に入るためにチケットを買い、係の人に「10分後にまたここに来てくださいね」と言われた──鳳凰堂内へ入るプログラムは30分毎にある─ので別の場所で暇つぶしをしていた、そしたらいつの間にか鳳凰堂に入る時間を過ぎていたということがあった。
 係の人は鳳凰堂に入るメンバーが1人居ないと探し回っておられた。私の時間管理能力の低さのせいで迷惑をかけてしまったのである。こういった周りへのご迷惑を障害者はかけてしまうのに障害者手帳があれば観光地や博物館は半額になる、理屈としては子供と一緒だろう、健常者の方が頭を使って楽しめるとかそういうやつ。心臓病や手足の欠損でも貰えると聞くがそれは損している分楽しんで的なやつだろう。
 正直私は障害者で得をしているし──無論障害者故にいじめに遭うなど損もあった──身近な人に恵まれたために健常者と変わらない生活を送れている。ならば尚更健常者と私を分ける物はなんなのか分からなくなってくる。病院に行っていることだろうか?人付き合いが苦手なことだろうか?テンションの上昇下降が急なことだろうか?鬱病と診断されたことだろうか?本当に分からない、どうやら私には実際の障害者等級よりも上の等級が与えられていると年金事務所の人に聞いた。ヘルパーが必要な等級だが私にはヘルパーは居ない、普通に働けないくらいの障害がある等級だが普通に働いている。健常者と私を分けるのは障害者意識なのだ。障害者だからという言い訳が真っ先に思いつくその意識が私を障害者たらしめる。父はそんな私を嫌っていた。障害者だからできないではなく健常者と同じようにできるようにしなさいといつも怒られた。今思えばそれは悪いことじゃなかったのかもしれない。

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