キミとクエスト。/にっぽんワチャチャ

もし「にっぽんワチャチャ」から一番好きな歌を選ぶなら、間違いなく「キミとクエスト。」が選ばれるでしょう。彼らのほとんどの曲は「アイドル、オタク、下ネタ」をテーマにしていますが、多くのユーモラスな曲の中で、「キミとクエスト。」は彼らの曲の中でも珍しく真剣な曲です。

これは「夢」について語る曲で、夢がどれほど輝かしいかを語るのではなく、「夢の重さとその夢を実現しようとする決意」を強調しています。アイドルとオタクの約束について語り、アイドルとオタクの目に映る未来と夢を描き出しています。私にとって、この曲は夢について語る数多くの曲の中で最も感動的な一曲です。

Questは追求するものを意味し、この曲のタイトルはアイドルがファンと共に追い求めたい夢を表しています。この曲全体に流れる「無力感」の中で、直面しなければならないのは自分の恐怖や夢を叶えられないという劣等感です。しかし、その無力感の中でも全力を尽くしたいと歌詞には書かれています。

夢は見ているだけじゃなくて
爪先立ちで手を伸ばした
届かない掴めない
嘘だと証明しよう

次の段落には、

僕が歩む道がそこなら
爪先立ちで手を伸ばした
空に描いた日
真実と証明しよう

最後には、

夢が夢でなくなったとき
どんな景色が見えるだろう?
届かない掴めない
嘘だと証明しよう

夢を叶える美しさを強調するのではなく、夢が叶わなくても、真剣に夢を見たことに後悔はしないと強調しています。この曲の最大の特徴は、アイドルの「現実」を根本から認め、夢を叶えるかどうか不確かな状況での苦闘を描き出し、苦悩の中から未来の軌道を描き出しています。他の夢についての曲とは全く違う風景を描いています。

夢についての曲は多いですが、自分が夢を追う過程での恐怖に正面から向き合う曲は少なく、その恐怖がアイドルとしての人間的な部分を表し、共感を呼ぶ部分です。さらに、この曲は「夢」という概念を再定義しており、「アイドルとオタクの共通の夢」として伝えたいのは、単にアイドル個人の夢だけでなく、「オタクの役割」がアイドルの歌詞でしばしば欠けていた中で、この曲はオタクを主役に置いています。曲名の「キミ」はステージ下のすべてのオタクを指しています。

「キミとクエスト。」はステージ下のすべてのオタクに夢を共にするように誘っています。夢が叶わなくても、それはステージ下のすべてのオタクの「夢」としてのQuestです。Questは招待であり、請願でもあります。最後の歌詞は、

君と一緒に見たい
僕と一緒に行こう
最後は必ず
みんなで見よう
Believing Believing

これはアイドルの「夢」の歌ではなく、それぞれの人の心にある「夢」の歌です。

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