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【IGCSE】IGCSEの成績が将来の進路に与える影響:具体例を挙げて解説します

IGCSEでは、カリキュラムの最後に試験を受けて成績が評価されます。
この成績は、将来の進路において非常に重要です。

特に、プレユニバーシティへの進学を考えている場合は、IGCSEの成績が大きな影響を与えます。

どのような影響なのか、具体例を挙げて解説していきます。


プレユニバーシティとの関連

クレジット数

IGCSEは、各教科ごとに筆記試験の点数をもとにしてA*(最高)からE(最低)まで、6段階の成績評価が付けられます。

成績は、C以上が合格とみなされ、これをクレジット(Credit)と呼びます。
このクレジット数により、進学できるプレユニバーシティが変わります。

ここで、簡単にプレユニバーシティについて触れておきましょう。

IGCSEは中等教育修了資格のため、これだけでは大学進学はできず、高校卒業認定もされません。
そのため、IGCSE修了後にはプレユニバーシティと呼ばれる、大学準備カリキュラムを受講する必要があります。

このプレユニバーシティのカリキュラムは、複数の種類がありますが、大学によっては、限定したものしか受け付けていないところもあります。

プレユニバーシティへ進学するには、ペーパー試験や面接、エッセイなどは必要ない代わりに、IGCSE(または同等の試験)の試験結果が用いられます。

では、具体的な例を見てみましょう。

以下の画像は、シドニー大学アーキテクチャ学部の募集要項です。
赤枠に囲まれているのが、大学が指定しているプレユニバーシティの一覧。

IGCSEの後続カリキュラムである、「Aレベル」というプレユニバーシティで入学申請をする場合を考えます。

画像の赤枠内の左から3番目に、掲載されているのがAレベルです。
この下に、13/13と記載されているのが分かるでしょうか。
これは、Aレベルで入学申請するなら、13点以上が必要ということを示しています。

では、視点をIGCSEに戻しましょう。
以下の画像を見てください。
これは、IGCSEからシドニー大学アーキテクチャ学部へ入学するためのフローを表しています。

まずは、IGCSEからAレベルに進学する必要があります。
それには、クレジット5以上が必要です。

クマ1番とクマ2番は、IGCSEでどちらもクレジット5以上を獲得しているため、Aレベルへの進学が可能です。
しかし、クマ3番はクレジット4のため、Aレベルへの進学が叶いません。

クマ3番は、Aレベル以外のプレユニバーシティへの進学を検討せざるを得なくなりますが、シドニー大学の募集要項に記載されているプレユニバーシティの中には、クレジット3で入学可能な所は残念ながらありません。

したがって、進学希望の大学を、変更せざるを得ない状況になります。

選択科目


IGCSEからプレユニバーシティへ進学する際に必要なのは、クレジット数だけではありません。
科目も重要なファクターです。

以下は、KLにあるAレベルカリキュラムを提供するカレッジの募集要項です。
クレジット数と、科目の前提条件が記載されています。

SCIENCE:
Pass with minimum of 5 credits
Note: Prerequisites apply for Sciences, Mathematics and Literature in English

HUMANITIES:
Pass with minimum of 5 credits
Note: Prerequisites apply for Mathematics and Literature in English

これらの前提科目は、学校側で必須科目としていることが多いので、それほど神経質になる必要はないかなと思います。

しかし、特定の大学や学部では、特定の科目と成績に重点を置くことがあります。

例えば、将来医学部などへ進学したい場合、生物学や化学の成績が重視されます。
そのためには、プレユニバーシティにおいても十分な成績を取得している必要があり、結果的にIGCSEの時点でも、それらの科目で優れた成績を収めておくことが重要になってきます。
人文科学系においても同様のことが言えるでしょう。

要するにIGCSEの科目と成績は、将来の進路に影響を与える場合があります。
IGCSEの成績が良好であれば、プレユニバーシティにおいてもより多くの選択肢が開かれるため、理想的な進路に近づく可能性が高まります。

大学からの逆算が必要


このように、IGCSEの科目選択は、大学からの逆算が必要になります。
日本のように、受験時点での偏差値により、進路が決定づけられるものではないからです。

進学希望の大学、将来のプラン、目標がある

それに合致したプレユニバーシティを選択する

IGCSEで、それらに合致する教科を選択し、必要な成績を取る

という考え方が求められます。

さいごに


さて、ここまで読まれて、暗澹たる気持ちになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
IGCSEが始まる時点で、もうそこまで考えておかなくてはならないのか、と。

IGCSEのカリキュラムは、日本だと高1と高2の2年間に該当します。
よって、中3の時点で科目を選択することになります。

これくらいの年齢だと、まだまだ、将来やりたい事や希望の仕事などが決まっていないお子さんも多いと思います。
そんな中で、進路について具体的に考えるのは難しいでしょう。

かくいう我が家の長女も、IGCSEが始まる当初は、将来のビジョンはもとより、筆者も含めてIGCSEの知識も十分とは言いがたい状態でした。

IGCSEの試験が終わって、ようやくおぼろげながら進路が見えてきましたが、それでも希望の大学は白紙の状態。

しかし、彼女はIGCSEで7A*1Aの成績を取っていたので、どのプレユニバーシティへも進学が可能だったのは幸いでした。

プレユニバーシティ進学に最低でも必要な成績「C」は、普通にきちんとやっていると、決して取れない成績ではありません。

無闇に恐れる必要はありませんが、「IGCSEの成績によっては、閉ざされる進学先があるという現実」は、心に留めていただきたいと思います。


最後に、長女の学校で聞いたIGCSEエピソードをご紹介しましょう。

校長先生のお話です。
先生のお嬢さんがGCSEを受ける(イギリス人なので本国でGCSEを受験されました)時は、絶対将来獣医になる!とのことで理系を選択。
しかし、プレユニバーシティを経て大学へ入学後、なんと写真家の道へと大きく進路変更をしたそうです。

理系からの転向だったので、まだなんとかなったけど、子供の決定は変わることが多いにある。だからおおらかに見ていてね、と話されてました。
進路についての情報が、他の親御さんより多いであろう教員のご家庭であっても、進路選択は一筋縄では行かないなら、我が家は迷って当然だと思うと少しホッとした記憶があります。

一方、海外医学部を目指していた娘の同級生(と言うよりご両親)は、Year10になる前から早々に選択科目を決めて、それはそれは猛烈に準備されているご家庭も少なくはありませんでした。

まわりの人々からの情報を聞くと、つい焦ったり、流されたりすることがありますよね。
でも、IGCSEについて考えることは、お子さんとご家族にとって将来の夢や計画に繋がる素晴らしい機会になり得るでしょう。

この対話を通じて、新たなお子さんの側面を発見し、成長を感じることができる実り多い時間になることを願っています。


文中に出てきた、プレユニバーシティとAレベルについては、こちらの記事で詳しく説明しています。





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