2020年のヒットエンタメを年末のＴＶ番組とともに振り返る

年末となるとTV番組ではその年のヒットコンテンツがまとめられる番組が多くなります。視聴率の高い年末番組を通して、今年のヒットエンタメを振り返ります。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が歴代興行収入1位を獲得

2020年のトップヒットエンタメである「鬼滅の刃」。
原作は吾峠呼世晴による漫画で『週刊少年ジャンプ』にて2016年11号から2020年24号まで連載されました。単行本は第23巻までで累計発行部数が1億2000万部に上っています。
その後、2019年4月から放映されたTVアニメ版で知名度を大きく伸ばし、LiSAが歌うオープニングテーマ曲「紅蓮華」も大きな人気を獲得しています。
コミック、アニメのヒットを受けて、2020年に公開された映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は興行収入324億円を突破、歴代興行収入1位となり、今まで1位であった『千と千尋の神隠し』を超え日本の映画の歴史を19年ぶりに塗り変えることとなりました。

12月20日は「鬼滅の刃」ＶＳ「M-1グランプリ」

2020年12月20日(日)にＴＶ放送された『鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編』（フジテレビ系列）は、劇場公開中の『鬼滅の刃　無限列車編』へと続く内容であり、その映画が歴代興行収入1位へと迫る時期であったことから、コアファン以外へも話題が広がっている状況でした。

一方、同日時に放送された『M-1グランプリ2020』（テレビ朝日系列）は、漫才ナンバーワンを決定する例年人気の番組で、2020年は過去最多の5081組がエントリー。予選を通過した、マヂカルラブリー、おいでやすこが、見取り図、錦鯉、オズワルド、ニューヨーク、インディアンス、アキナ、ウエストランド、東京ホテイソンによって決勝戦が行われ、マヂカルラブリーが第16代M-1グランプリ王者に輝きました。

視聴率対決ではこの2番組で１、2位を争うことになり、ライブ視聴率では『M-1グランプリ2020』が1位、録画では「鬼滅の刃」が１位となっています。
ライブ視聴率
・M-1グランプリ　関東19.8%　関西29.6%
・鬼滅の刃　関東14.4%　関西11.1%
録画視聴率
・M-1グランプリ　関東5.7%　関西7.5%
・鬼滅の刃　関東9.2%　関西10.5%

生放送で勝敗が決まるM-1はタイムリーに見たい番組で、ゆっくりと時間をとってみたい鬼滅は録画という傾向になるのは当然といえるかもしれません。

史上初の無観客「紅白」は2年ぶり“大台”回復！

コロナウイルス感染拡大防止のため無観客開催となった2020年12月31日の「第71回NHK紅白歌合戦」。放送時間は15分短縮し、NHKホールだけでなくNHK放送センター全体が舞台に101スタジオ、オーケストラスタジオ、審査員ルームの4会場を利用した構成となりました。

平均世帯視聴率（ビデオリサーチ/関東地区/より）は、第1部（後7・30～8・55）が34・2％（昨年比0.5％減）、第2部（後9・00～11・45）が40・3％（昨年比3.0％増）となり、第２部が史上最低であった昨年から大きく上昇し、2年ぶりに40％台を回復しています。

第71回ＮＨＫ紅白歌合戦
テーマ：今こそ、歌おう　みんなでエール。
総合司会：内村光良　桑子真帆（ＮＨＫアナウンサー）
白組司会：大泉洋
紅組司会：二階堂ふみ

第１部
【白】 King & Prince 「I promise」
【紅】Foorin 「パプリカ」
【白】山内惠介 「恋する街角」
【紅】milet 「inside you」
【紅】日向坂46 「アザトカワイイ」
【紅】櫻坂46 「Nobody’s fault」
【白】Hey!Say!JUMP 「紅白SPメドレー ～みんなでエール2020～」
【紅】Little Glee Monster 「足跡」
【白】SixTONES 「Imitation Rain」
【紅】水森かおり 「瀬戸内　小豆島 ～2020映えSP～」
【白】GENERATIONS 「You & I」
【白】純烈 「愛をください ～Don’t you cry～」
【紅】坂本冬美 「ブッダのように私は死んだ」
【白】Kis-My-Ft2 「We never give up!」
【紅】天童よしみ 「あんたの花道 ～腹筋太鼓乱れ打ちSP～」
【特別企画】さだまさし「奇跡2021 ～紅白バージョン～」
【紅】乃木坂46 「Route246」
【白】鈴木雅之 「夢で逢えたら」
【特別企画】紅白 ディズニースペシャルメドレー
【白】五木ひろし 「山河」

第２部
【紅】NiziU 「Make you happy」
【白】瑛人 「香水」
【紅】Perfume 「Perfume Medley 2020」
【紅】BABYMETAL 「イジメ、ダメ、ゼッタイ」
【白】郷ひろみ 「筒美京平 トリビュートメドレー」
【紅】JUJU 「やさしさで溢れるように」
【特別企画】連続テレビ小説「エール」
【特別企画】GReeeeN「星影のエール　紅白SP」
【白】嵐 「嵐×紅白 2020スペシャルメドレー」
【紅】LiSA 「アニメ『鬼滅の刃』紅白SPメドレー」
【白】Official髭男dism 「I LOVE...」
【白】三山ひろし 「北のおんな町　～第4回 けん玉世界記録への道～」
【紅】YOASOBI「夜に駆ける」
【白】関ジャニ∞ 「みんなで踊ろう！前向きスクリーム！」
【紅】東京事変 「うるうるうるう～能動的閏〆篇～」
【白】ゆず 「雨のち晴レルヤ ～歓喜の歌 紅白SP～」
【紅】あいみょん 「裸の心」
【特別企画】YOSHIKI「ENDLESS RAIN」
【紅】Superfly 「愛をこめて花束を」
【白】Mr.Children 「Documentary film」
【紅】石川さゆり 「天城越え」
【白】星野源 「うちで踊ろう（大晦日）」
【白】氷川きよし 「限界突破×サバイバー」
【紅】松田聖子 「瑠璃色の地球 2020」
【特別企画】松任谷由実「守ってあげたい」
【白】福山雅治 「家族になろうよ」
【紅】MISIA 「アイノカタチ」

演目では、昨年末で活動を休止となった「嵐」が東京ドームからの生中継、覆面ユニット「GReeeeN」がAR技術を用いたCGによる“初の顔出し”などが話題となりましたが、今年のヒットエンタメにリストアップされる「鬼滅の刃」「NiziU]」「「YOASOBI（よあそび）」「香水」も順当に紅白出演となりました。

LiSAが歌う映画「劇場版　鬼滅の刃　無限列車編」の主題歌「炎」は2020年のレコード大賞を受賞。紅白ではスペシャルメドレーとして「紅蓮華」と「炎」を、アニメーション映像を背景にして披露しました。

そして2020年のヒットエンタメとして外せないのは、「日本から世界へを目指すガールズグループ」としてデビューしたNiziU（ニジュー）。日本のソニーミュージックと韓国のJYPエンターテインメントによるオーディションプロジェクト「Nizi Project」から生まれた9人組のPOPグループです。オーディションを勝ち抜いてデビューメンバーが決まるという仕組みで、デビュー前から応援するファンが多くいたことに加えて、デビュー曲の「Make you happy」は世界でリリースされており、日韓はもちろん世界中の多くメディアで注目をあつめました。YouTubeでの再生活数は2020年12月末に時点で2億回超えの再生回数を記録しています。
紅白では第2部のトップバッターを務め、一部マイクトラブルがあったものの無事に華やかなパフォーマンスを行いました。

また今年初登場となった瑛人の「香水」は2019年4月にリリースされたファーストシングルですが、のちにTikTokの影響で再生数が伸び、2020年9月にはYouTubeでの再生回数が1億回超えるなど大ブレイク。多くの芸能人やユーチューバーがカバーし、SNSでの拡散は大きなものになりました。
紅白ではギタリストの小野寺淳之介と２人で歌をストレートに伝えるシンプルなパフォーマンスをみせています。

そして、2020年の最大のヒットソングとも言われるYOASOBIの「夜に駆ける」。ネットでのストリーミング再生回数は累計3億回を突破、Billboard JAPANの総合ソング・チャート「JAPAN HOT 100」で年間1位を獲得しています。
YOASOBIとは、「小説を音楽にする」コンセプトとして、ソニーミュージックが運営する小説&イラスト投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説を原作として作曲している男女2人組の音楽ユニット。
紅白では、2020年11月6日に埼玉県所沢市にオープンした「角川武蔵野ミュージアム」内の「本棚劇場」をステージとしてプロジェクションマッピングの映像とともにテレビで初歌唱を披露しました。

2021年以降ののエンタメコンテンツのヒットはどこから生まれる？

2020年はコロナ禍によって、巣ごもり需要とも言われるように多く人の行動や時間の使い方が変化したことで、映画やテレビなどのメジャーメディアが活気を取り戻す場面があったと思います。しかしインターネットの力はやはり強く、ヒットエンターテイメントはネットから火が着くことが多く、インターネットのメディア力は2021年も加速していくことでしょう。YouTubeに代表されるように、バラエティ番組のカテゴリーでみるとネットの方がメディア力を持つようになったといえるでしょう。ドラマに関しては「半沢直樹」のようなTV番組からのヒット作があるので、今後ネットドラマからヒットが生まれるようになるのか注目です。

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