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不可解な製作図面

皆さんお疲れ様です
仕事上、まれに参考図をいただくことがあるのですが、”これは・・・”というような製作が困難な図面を見かけることがあります。
今回のnoteでは、そうした製作困難な図面について書いてみようと思います。
機械設計をされている方、もし思い当たる節があれば、是非、普段の業務にも役立てていただけると幸いです。
下記はほんの一例です。

・異種金属の溶接

 技術的に可能とは言え、むやみに異種金属を溶接するのはやめたほうがよいと思います。例えば、S45CとSS400、SUS304とSS400です。通常同種金属の溶接となると思いますが、異種金属ですと手間も時間も増えます。
軸モノ(S45C)とプレート(SS400)の溶接でよく起こると思います。

・精度が極端に厳しい
 使用する目的に応じた精度になっていないと、高くなるどころか、物によっては製作が難しくなることもあります。製図者は書くだけで終わりになりますが、製作する人はその数値に仕上げなければなりません。
公差は必要最低限にしましょう。
あと、”測定する、検査する”という工程があることを忘れないようにしましょう。

・精度の考えがおかしい
 寸法が12.75と記載があって、公差が±0.1
 一瞬何が悪いのかわからないと思いますが、製作寸法精度を1/100までにしておいて公差が1/10なら、設計上12.75を12.8にしても問題ないのではないでしょうか?それが可能な場合はそうしましょう。

・タップ長さが径が細いわりに長い
 M3やM4などのタップはタップ立でキリキリ回して戻してを繰り返すのですが、長いとかなり折れます。構造的に面倒くさいから全部タップ・・・にするのはNGです。部品を分けるか、タップにしなくてもすむ区間を長くするかして、ロングタップは止めましょう。仕方ない・・・ケースはほぼないと思います。

・一般公差より緩い公差
 そもそも普通公差を知らない設計者がいるのが驚きですが、公差に対してなんでもかんでも±0.1と書いたものの、一般公差よりも緩ければ書く必要がありません。まず、普通公差を確認しましょう。図面に記載されている場合もあるので、よく見てください。

・溶接できない、ビードと穴、タップが干渉する
 基本的には溶接は隅肉がよいですが、どうしても難しい場合にはよく考えて設計しましょう。トーチをどこから入れるつもりだろう・・・とか、片側が薄板で片方厚いと冷え方が違うので加工がかなり難しくなる・・・とか、またよくあるのが、溶接ビードがタップにかかってしまい、ボルトがはまらないとか・・・ビードも意識した設計をしましょう。

・角パイプの水抜き穴
 角パイプの両面にプレートを溶接するような場合、角パイプには塗装時に処理液などが入るため、それを抜くための穴が必要になります。最初からあればよいのですが、このような知識も設計者としては必要です。

・面視が全て違う
 ごくまれにありますが、正面図、平面図、側面図が全てあってないものもあります。何をもって検図されたのか不思議です。
当たり前ですが、作るときにだいぶこまります。

まだまだありますが、無駄なやり取りを防いだり、製作される方が作りやすいように見やすい図面を心がけるのは設計者・製図者としては当然です。
もちろん、設計上譲れないことはあるので、全てを委ねるわけではありませんが、作れない・作りにくいというのは論外だと思います。
また、作っていただく方にはメーカーさんからFAXで図面が届く可能性があります。ということは、A4でプリントアウトして見にくい図面は、おそらく、製作いただくところではかなり見にくい図面になっています。
そういう環境的なところも含め、見やすい図面にすることは必要です。
また、製作業者さんから問い合わせがあった場合、処理が面倒だから図面通り作ってくれというメーカーさんがたまにいらっしゃると思いますが、設計者の勘違いや、間違いで精度などが無駄に厳しくなっていたり、少しの工夫で作りやすくなる場合も多いので、みんなで部品を気持ちよく製図から製作まで進めていければよいと思います。

検図していて思った点はまた今後も書いていこうと思います。

ではまた。
 

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