夢日記18”風船で空の旅”

私はドライブに出かけていた。助手席と後部座席に二人の友人を乗せて。どこへと向かう訳でもなくただ道の向こうに車を進める。信号の先、車が空へ飛んでいるのが見えた。何事だろう。

歩道に奇抜な衣装のピエロがいた。ニッコリと笑いながらこちらに大量の風船を括った糸を向けてくる。私は車の窓を開けてそれを受け取ると、車はフワリと風船そのものになった様に空へ浮かんだ。

これは一体何事だろう。変な気分だった。風船は風の影響を受けず、私が傾けた方へのみ傾く。風船が傾いた方角に車は向かう。友達は周りの風景を楽しんでいる。どの方角に向けても、空に浮かび続ける事だけは変わらない。

私は恐ろしくなった。戻れなくなる前に地上に戻りたい。持っている風船を地面に向けて傾けると、車はまるで何かに引っ張られたように一気に勢いをつけて地上に向かう。

「わあああああああ!!!」

車体が地面に叩きつけられる直前、私は腕を上げる。車はぐーんと急上昇した。衝突は免れたが、地面から六十度ほどの角度に傾いたまま車は空へ飛んでいる。

今度は前に傾けてやると、また車は前のめりに傾いて地面に向かう。腕をぶんぶんと振って何とか地面と水平に戻せないか試みるも、車は一向に元の状態に戻らない。

そればかりか、無茶苦茶な操作で急速に遠くの橋に向かった。私はシートベルトを外して窓から飛び出した。車はそのまま橋に向かって行き、激突した。私が持っていた風船の糸が一つずつ千切れて段々と降下していく。

安全に降りられるほどの高さになってから風船の糸を手放して車の方へ走った。

もし、友達も私の様に脱出出来ていたなら…。私は二人が生きている事を願いながら事故現場へ向かう。橋に向かう途中、どこにも友達はいなかった。橋に到着すると、下で煙を上げているフロントガラスの向こうに影が見えたのを確認してその場に膝をついた。

私だ。私がやったんだ。ピエロから風船を受け取っていなければ…、もっと慎重に風船を傾けていたなら…、最後まで諦めずに風船で体勢を立て直し続けていたなら…友達は死なずに済んだかもしれない。

あろうことか、私は友達を見殺しにして一人で抜け出したのだ。

「ああ、そんな…こんな事って…」

遠くからサイレンの音が聞こえる。どんなに悔いても友達は戻って来ない。おめおめと生き延びたこの命、許されてもよい物だろうか。この手すりの向こうに友達が待っている。

ここから飛び降りて詫びを入れれば許してくれるだろうか。

そう思って手すりに手をかけ橋の下を覗くも、足がすくんで飛び降りる事は出来なかった。

パイナポォ(「 ・ω・)「