マガジンのカバー画像

365短歌(2022)

358
2022年に投稿した三首の連作短歌をまとめたマガジンです。
運営しているクリエイター

#風船

連作 君とゆくために

靴底を雨に濡らして君とゆくために殺した必要な嘘 風に揺れる風船みたいにごめんねが笑ってばかりで手を離される 捨てられるのが怖いから捨てるだけ ふたりで見た映画のパンフ

連作 心を探るゆびさき

倒れてるペットボトルの輪郭も見えない 心を探るゆびさき 夜闇に漂うジュースの匂いだけふたりが赦されないようにある やさしさを比較したくない風船は空気を入れればいつかは割れる

連作 誕生日みたいな風船

しあわせな歌が聴きたい平凡な日の窓際に飾るみたいな 変わりたいから新調する照明がステンドグラスみたいな祈り 誕生日みたいに放した風船が飛び立つ帰りの駅のホームから