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3月6日 AFC CUP観戦記(COLOMBO FC対CHENNAIYIN FC)FIFAランク200位のサッカーとは🇱🇰

読者はFIFAランク200位、スリランカサッカーと聞いて何を思い浮かべますか?

自分なら「アジアの渡り鳥」と呼ばれてる伊藤壇さんやスリランカではじめてプロ契約を交わした丸山龍也さんぐらいであろう。著名な選手がいるわけでもなく、どんな環境で試合をおこなっているのか、大半の人は想像できないはず。
日本サッカーはまだまだ未熟であり、欧州等から学ぶべき課題が膨大にあると考えている。一方、アジアでは確固たる地位を築いてるゆえ、同時に何十年先を見越したアジア全体の底上げに貢献する事も必用である。

その底上げが必要だと言える国の1つであるスリランカに行く機会があり、ちょうどAFC CUP2019の公式戦が催されていたので、現地に足を運んでみた。

本文では、スリランカサッカー→AFC CUP→相手チーム→試合の総評 という順で筆者が見たもの感じた事を記していく。

①スリランカの基本情報
国名
スリランカ民主社会主義共和国 Democratic Socialist Republic of Sri Lanka

6万5607km2 北海道の約0.8倍
人口
約2097万人(2015年)
気候
南・西部は12~3月、北・東部は5~9月が乾季になる。
首都
スリー・ジャヤワルダナプラ[コーッテ]
Sri Jayawardenepura[Kotte](中心都市はコロンボ)
民族構成
シンハラ人72.9%、タミル人18%、スリランカ・ムスリム人8%
宗教
仏教70%、ヒンドゥー教10%、イスラム教8.5%、キリスト教11.3%

出典:地球の歩き方~スリランカ~
http://m.arukikata.co.jp/country/LK/info/general.html

②スリランカサッカー
・スリランカ代表FIFAランク:201位(2019年2月現在)
昨年は日本サッカー協会によるアジアサッカー振興プロジェクトの一貫で、A代表が茨城県鹿島市でトレーニングキャンプをおこなっている。詳細は以下のURLで
https://www.jfa.jp/social_action_programme/news/00018175/

・COLOMBO FC
最大都市Colomboにホームタウンを置くスリランカリーグのトップチームであり、数多くの代表選手を抱えている。近年はアフリカ人選手を保有するなど、AFC CUP本戦出場を見据えたチーム作りに力を入れている。

③AFC CUP
簡単に言えば日中韓、中東の上位クラブが出場する『ACL』の下部大会。欧州でいうCLに次ぐELにあたる大会と位置付けすれば良いだろう。
AFC CUPに関しては、詳しく書かれているレビューがあるのでそちらを参考にしていただければ↓↓↓
https://www.targma.jp/philippines/2019/03/15/post1823/
(池田 2019)

・CHENNAIYIN FC
2014年にインドスーパーリーグ(ISL)が誕生したのを機に設立された新興チームである。歴代選手としてイタリア代表として活躍したマティラッツィ、アレサンドッロ・ネスタ、元ブラジル代表のエラーノなどが所属していた事で有名なチームである。

2017年からはアストンビラ&QPRのレジェンド的存在であり、「いいストライカーがいれば、試合に勝てる。だが、いいディフェンダーがいれば、タイトルがとれる」という名言を残したJohn Gregory氏が監督を務めている。
17-18シーズンはレギュラーシーズンを2位で終えるも、ファイナルシリーズ決勝でベンガルールFCに見事勝利し2度目の優勝を飾った。
しかし、18-19年シーズンは現在のところ最下位いに沈んでおり、AFC CUPでの勝利で巻き返しを図りたいところ。


④スタジアム内外について
・スタジアム (Race Course Ground Colombo)
コロンボの中心街に位置するブランド雑貨店が軒を連ねるデパートと併設する形で競技場があった。スタジアムまではスリランカ国内で広く使用されているPick meというアプリを使用すれば簡単に行けるだろう(UberやGrabみたいなアプリ)。

客席への入り口は一度デパートに入り、エレベーターで最上階に登ってから入り口の受付スタッフから購入するシステム。日本には類例がないスタジアム?。
筆者はチケット入手前にCOLOMBO FCのユニフォームを購入(約650円)。観光客が購入してくれた事に、受付の人に喜ばれ?、チケットを無料で頂いた。

客席は日本でも見ないような配置だが、想像以上にしっかりしていました。

そして電工掲示板が小さくてまぁ、見にくい。このスタジアムのクオリティーなら仕方ないかと。ピッチはクリケット&ラグビー場との併用で芝生の区域は広く、綺麗に整備されており、プレイには支障がないレベル。

ハーフタイムにはバンドの生演奏があり、またボランティアスタッフを多く配置しているなど、運営面はかなり優れていた。

⑤試合の総評
両チームに言える評価としては、数多くのチャンスは作れるものの、決めきれるCFがいなかったということ。

AWAYのCHENNAIYIN FCは全体的にオーガナイズしてるサッカー。サイドを多用としたカウンター攻撃のスタイルが特徴だった。まさにヴィラやQPRに近似したスタイルと言えよう。
リーグ戦明けの試合でもあり、主力組を一部欠いたものの、先日のアジアカップ2019で活躍したジェジェ・ラルペフルア選手(FW)にボールを預けるシーンが多く見られた。

HOMEのCOLOMBO FCは個を頼りにしたサッカー。何度もアフリカ人選手の個人突破で仕掛ける場面を作るも、前半はなかなかゴール前まで運べず。
後半途中からスリランカ代表の10番Zarwan選手投入後から、COLOMBOが攻勢に出る。中盤でボールを保持するシーンが増え、サイドの早い選手に展開する攻撃が繰り返されるようになった。

試合は互いにゴールを割れず、スコアレスドロー。劣勢な展開が想定されてたCOLOMBO にとって、インド王者から引き分けを勝ち取った事がよほど嬉しかったのか、優勝したかのような喜びよう。

逆に、AwayのCHENNAIYIN FCはアウェイゴールも奪えず、スコアレスドローという結果にチーム全体的に暗い印象を受けた。
観客席にまで聞こえる乾いた無数のタックルの音がアジアサッカーらしく新鮮だった。

※追記
2戦目の2ndレグは0-1とCOLOMBO FCの敗戦。勝利したCHENNAIYIN FCがAFCカップ本大会に進出した。

⑥スリランカサッカーを見て
FIFAランク200位のリーグチャンピオンは想像以上に良いサッカーをしていた。スリランカ代表を多く擁するチームだけあって、選手の役割がそれぞれ明確化していた。

一方、足りない部分として頭を使うプレーができていない事であろう。各々の役割は理解していても、制約された場所だけのプレーばかりで、自由さや効果的なパスが少ない。また、個で打開する力が足りず、フィジカル&突破力もあるアフリカ人選手にボールを預けるシーンが度々見受けられた。
そのような意味を含め、途中出場した10番のZarwan選手は頭一つ抜けたプレーができていた。

筆者自身も直接目で見て、観戦した事で面白い選手を見つける事ができた。Zarwan選手の今後の健闘を祈る。

このレベルの国全体的な課題として、自国リーグに留まっている選手が多いこと。中にはプロ選手ではなく、アマとして働きながらプレーしている選手もいれば、家庭や宗教的な戒律を守りながら、留まらざるを得ない境遇にある選手もいるだろう。

それでも筆者は海外チームでプレーすること、または協会をあげて海外遠征を増やす事が強化&キャリアアップに直接繋がると考える。国内リーグだけではプレースピードや強度は改善されない(Jも)。特にスリランカはAFC CUPの本戦出場も確約されていなく、国内リーグだけではそういった問題が解消されにくい。

代表活動を通じての強化が現実路線なので、日本及びアジアの強国が積極的に、キャンプ地の受け入れやTRMに強力して欲しいところである(最近はグアムの強豪チームがTwitterで、日本の対戦相手チームの募集を募っていたりと)。

※試合後
ハーフタイム中に地元メディアに声を掛けられて、試合後のインタビューを約束された。

↓―試合後のインタビュー内容 ―↓

何故ここでサッカー観戦をしてるのか?どの選手が目当てか? ↓
等の内容も受け答えも拙い内容ばかりであったが、スリランカサッカーにはまったので、COLOMBO のユニ買いましたとメディア受けの回答も(笑)


また、イングランド代表ユニを着ていた事もあり、記者を通してCHENNAIYIN FCの監督であり元イングランド代表のJohn Gregory氏とお話させて頂く機会を設けて頂きました。貴重な体験をさせて頂き本当に感謝。

最後に
筆者がスリランカを経った約1ヶ月後の4月21日。スリランカの各地域で同時爆発テロが起きてしまいました。滞在していたコロンボの宿泊先の目の前にある高級ホテルでも爆発が起こり、数十人程犠牲者を生んでしまったそうです。
観光中はなんの危険もなく、毎日美味しいカレーを食べ、美しい建築物を見学したりと、平和で幸せな時間を過ごしていました。
この平和で幸せな時間を過ごした場所が一瞬で奪われてしまった絶望感と、筆者が滞在してる時も程近い場所でテロ計画が遂行されていた恐怖感とで、何とも言えない感情に陥っていました。
明日は我が身という言葉をまざまざ突き付けられています。

現在、爆発はおさまったとはいえ、国内の各地で宗教関連の混乱が起こってるそうです。

被害に遭われた方へのお見舞いと、犠牲者への御冥福をお祈り致します。
また、1日も早く平和な日々を取り戻せるよう願っております。

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