記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

乱文:私はあめちゃんを幸せにできなかった

※この記事にはNEEDY GIRL OVERDOSEのやべえネタバレしかありません。これからプレイされる方は絶対に見ない方が良いと思います。

「メンヘラな彼女を配信者として育てるシミュレーションゲーム」
そんな触れ込みだけでも楽しそうなのに、シナリオはあのにゃるら氏で、主題歌はKOTOKOが歌う。
2ちゃんねるやニコニコ動画の最盛期を知っている人達なら、きっと琴線に触れるであろう要素に溢れているこの作品にまんまと惹かれ、購入したのが去年の1月。この頃はまだ自分がここまでこの作品に入れ込むようになるとは思っていませんでした。

あめちゃんはテンプレみたいな、というよりも、インターネットでこういう子見かけるなぁという感じのメンヘラ少女(?)。悪い部分が隠れてしまうくらいとにかく顔が良く、その顔の良さを活かして沢山の人にチヤホヤしてもらうため、超絶最かわてんしちゃんとなって配信者の頂点を目指します。

プレイヤーはそんなあめちゃんのピ(好きピ、プロデューサーのPのピ)となり、彼女の配信者としての生活におけるありとあらゆる選択を全て任されることとなる。
結構物議を醸しているのがこのシステム。あめちゃんはピの言うことを大体何でも聞いてくれるので、ODのような危険な行為から出会い系のような際どい行為すらピがやれといえばやってくれてしまいます。
最初は「彼女にそんなことをさせるなんて…」と躊躇するものの、周回を重ねていくうちに段々と感覚的が麻痺していき、最終的には効率よく数字を稼ぐために何の感情も抱かず指示を出せるようになるのもこのゲームの怖さかもしれません。
あめちゃんもあめちゃんでODしている時の写真を超てんちゃんのアカウントにアップしたり、ストレスが溜まると自傷行為をピに手伝わせたりと、割とやりたい放題なのも相まって罪悪感が薄まってくるのもこのゲームの上手いところだと思います。

また、エンディングは配信者として欲しいものを全て手に入れた上で更に承認欲求を満たそうとするものから、病まなくなり真人間になるものや配信者を辞めアルバイトをするようになるものまでありますが、その全てがハッピーエンドとして描かれていないこともこのゲームの特徴です。
プレイヤーがあめちゃんを幸せにしたい!と思っても何かしら捻くれた方向に物事が転んでいき、最後にゲームそのものから煽られる形で終わるため、憤りを感じた方も少なくないのではないでしょうか。

それでも挫けずになんとかハッピーエンドを迎えようと全てのエンディングを見終え、生成された謎のセーブデータを開いた私を待っていたのは、ピに頼らずたった一人でフォロワー100万人の配信者となることができたあめちゃんの姿でした。
「ピはそこで見ててね」と言われたピ=プレイヤーはあめちゃんが一人で行動している間、本当に何もすることができません。出来ることは時々あめちゃんが送ってくるJINE(LINEみたいなやつ)を眺めることだけ。
そして一人で全てを成し遂げてしまったあめちゃんは、ピを残してどこかに消えてしまいます。ここでようやくデスクトップにずっと存在していた「ひみつのこと」を開くことが出来るようになり、プレイヤーが「イマジナリーピ」=非実在の存在であることが明らかになります。
プレイヤーはこれまであめちゃんに様々な行動を指示してきたはずでしたが、それも全てあめちゃんの一人芝居であり、最初からピの意思なんてものは存在しなかったのだという事実が突き付けられます。

思い返してみると違和感を感じる部分は沢山あったんですよね、一緒に住んでいるはずなのにJINEでしか会話している様子がなかったり、ずっとモニター越しでしかあめちゃんを見れていなかったり、とあるエンディングでピと一緒にいるはずの超てんちゃんが現地勢に一人だと指摘されたり、あめちゃんだけが壊れているはずなのに、何故かピも一緒に壊れだしたり。
その答えがあめちゃん≒ピだったわけですけど、ここで困惑する人と救われる人、どのくらいの比率なんだろうか。私は後者で、あめちゃんを傷付けるヤバいピはいなかったしあめちゃんはやっぱり賢くて強かな子だったんだとホッとしました。

それともう一つ。ただプレイしているだけでは見れないエンディングがあり、そこではあめちゃんとピが無事にハッピーエンドを迎えられるのですが、最後に超てんちゃんのアカウントから「不明のエンディングに到達しました」という機械的なメッセージが発せられ、ピどころかあめちゃんもインターネットすらもそこには存在しなかった(と、解釈しました)ことが判明します。
あめちゃんがピと一緒にいると絶対にバッドエンドしか迎えられないというのも、ピを捨てて自分の道を歩むことも全部最初からプログラムによって決められていたことで、例外は許されないしその先も用意されていない。どうしたらこんな酷いこと思いつくんだよ(滅茶苦茶褒めてる)

そんなわけで、どう足掻いてもピとしての私はあめちゃんを幸せにしてあげることは出来ませんでした。悲しいね。オチはないよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?