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自分の部屋ができました。

31歳冬、自分の部屋ができた。

結婚当初、夫の実家に転がり込んだとき、この部屋は物置だった。義母の桐ダンスが2棹。それからもう家を出た義姉の家具。季節の家電。いろんなものが詰め込まれていて、部屋だけど、物置みたいな、そんな場所だった。

3年前、この部屋にボルダリングの壁ができた。結婚してから、いつか子供部屋にするからと、不用品を片付けたり、タンス1棹を義母の部屋に運んだりしてできたスペースに、夫が趣味のボルダリングの壁を作った。

そして、昨日。この部屋は僕の仕事部屋になった。
つい先日、残っていたタンスを1棹、粗大ごみの回収に出した。それから、使わなくなった子供用品を、夫の友達にあげた。そうして、ようやくできた場所は、僕の仕事部屋になった。

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もともと、僕は寝室の隣のスぺースで仕事をしていた。深夜に会議をすることがあるので、子供たちが起きてしまう、あるいは寝ないことがしばしば。「この部屋で仕事ができるようになればいいよね。」と、時々夫と話していた。でも、そのためにはたくさんある義母の荷物を運び出さないといけないし、そもそもあの部屋にはエアコンがない。夏にも仕事ができるように、エアコンはつけなきゃいけないよね。やることが山積みだった。

そろそろ部屋を改造しよう。そう話したのは去年の年末。地方自治体の商品券をたくさん購入したので、「それでエアコンを買おうよ。エアコンが付いたら、あとはやるだけだよ」と、普段は腰が重い夫が、進んで動き始めたから、この波に乗ってみようと思った。

部屋の掃除や、セッティングも夫が進んでやってくれた。気が付いたらこの部屋が僕の仕事部屋になっていた。机と窓の位置関係がしっくりこないので、今はまだ試用期間だけれど、それでもここは僕の仕事部屋だ。朝からちょっぴりわくわくして、いつもより仕事がはかどった。前よりもこじんまりとしたスペースが、逆に居心地よくて、ますます仕事がはかどった。

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「夫の部屋はないのに、僕の部屋があるって変だよね。」と言ったら、夫は笑っていた。「空いたスペースに、本棚も作って、君の本をそこに入れたらいいよ」 夫の本棚を間借りしていた僕の、僕のための本棚も作ってくれるらしい。
「愛だよね」そうつぶやく。「愛なんじゃない」君が言った。

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