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ホンモノの農業体験

私たちの運営する農園は
オープンして3か月経ちました。

当初から案内している通り
農園では
農業体験ができるよう
コンテンツ準備中です。

「農業体験」は
「野菜作り体験」とは意味が異なると
考えています。
私たちのこだわりをコンテンツには
盛り込みたいです。

農園オープンから数回
お客さまへ農園に親しみを持っていただくため、
畑の土に触れたり、薔薇の挿し木を
体験するイベントを開催しました。

ただ
私たちの考える
「農業体験」はイベント形式では
実現できません。

植え付け体験
収穫体験

どちらも楽しいのですが
これは農業体験とは言えません。

農業は厳密に言えば
どこがスタートか?を定義つけることが
難しい(無理)のですが
農業体験というのは
最低でも

・種をまく→苗をそだてる
・畑を耕す
・苗を植えつける
・観察→手入れをする
・収穫する

流れを体験してもらいたいと
私たちの農園では考えます。

そしてもう一つ大事な視点があります。
それは

・収穫→販売

農家で作られる野菜は
家庭菜園とはちがい
販売するために作られている。
これを理解してこそ
農業なのです。

土に触れて五感を満たし
心癒される

だけでは農業ではありません

私たちの農園では
「農業」を体験してもらいたいです。

農業だという意識、動機付けのために
私たちの農園の体験では
始めに、しっかりと生産者である
横田の話をきいてもらいます。

私たちは知っています。
農業体験に参加できるくらいの年齢になれば
どんな小さな子も、丁寧に話し、手本を示し
急がせることなく説明、作業をさせれば
農業の本質も理解できます。

作業もできないことは何もありません。
子どもは手取り足取り、口を挟まないと
間違えてしまう、うまくできない。
というのは、子どもを舐めすぎです。
始めに、しっかりと説明すれば、間違えません。

私たちが作業の前の説明、
話をしっかり聞くことにこだわるのには
意味があります。
私たちの農園の掲げる
SDGs×農業
を実現するには必要なことだからです。

私たちの農園では
苗は畑に植えつけるだけしか作りません

意味がわかりませんよね。

わかりやすく言えば
畑に100株の苗を作付けする計画を
立てたら、100株しか苗を作らないということです。※経験から発芽率は考慮し、種まきをします。

植えつける苗の数は
「売れる」収穫量ぶんしか植えません。

これを聞いて
当たり前のこと、と思いますか?

でも違います。
一般的には「売れる以上」の苗を植えて
野菜を育て、採りきれない、もしくは
売りきれない量の生産をすることが多いのです。

一般平均流通価格200円の野菜を1000個売るのも400円の野菜を500個売るのも収入が同じなのは
わかりますよね。
ほとんどの場合、200円で売れる野菜を
1500個生産して、そのうち1000個売る
という売り方です。

横田は
400円の野菜を500個売り切る農業をしています。
価値の高いものを計画数だけ栽培する。
他業種で当たり前のことを農業でもしているだけです。

※この、売る分だけ作る、
についての話はまた別枠で。

この事を前提に
子どもに苗の植え付け体験をしてもらう際に
私たちが決めていることがあります。

子どもには
「苗は痛めてしまったら野菜の出来に影響する」
ことを理解してもらい、
苗は細心の注意をはらい丁寧に扱うことを
説明します。

苗が痛んで採れる野菜の量が減ると
農家は収入が減ることも話します。

苗は余分なものはなく、苗の状態になるまで
種まきから時間、手間がかかっていることも
説明します。

必ずやって見せます。
ポットから苗を取り出すのも
手順があります

ひげ根が切れてしまってはいけないこと。
成長に影響があること。

無肥料で育てる苗は
土の栄養をめいっぱい得るために
根は痛められません。

土に置くときも、そーっと置かなくては
いけません。
それが、なぜか?も必ず説明します。

他にも細かい説明はあります。

はい。
ここまで聞いて、なんだかうるさくて
面白くないなぁ
と感じますか?
もしくは、これでは子どもは楽しめないと
感じますか?

説明を終えて、作業に入れば
大人の余計な口出しや追加の説明
説明のリフレイン
は必要ありません。

大人は往々にして
作業を始めた子どもの側で
先に説明を受けた内容を再度口にして
聞かせながら作業をさせようとします。

そうすると、子どもの作業は
子ども自身のペースではなく
説明に合わせたペースになるのです。

事前に説明をしっかり済ませていれば
子どもは実に丁寧に、
立派に農作業をすることができます。

必要なのは
子どもだからと簡単な説明で済まし、子どもだからこのくらいの事をさせておけばいいだろう、楽しけりゃそれが1番いいなどという最もらしい意味づけをしないことです。

説明後、作業に入れば
大人は手も口も出す必要はありません。

説明には
子どもに理解できる言葉を使うこと。

それが大切です。

コンテンツ確立のためにご協力いただいてる
ご家族のお子さんを見ていて感じることは

子どもは
「ホンモノ」を見極めることができる
「ホンモノ」こそが楽しい!

ということです。

やり終えたあとの
満足は、しっかりと心に刻まれると
思います。

体験を機に
農業に興味を持つ子が増えることは
何より嬉しいですが
年間を通して農業に関わり、その仕組みを知る事は、
どんな職業にも通ずることが多数含まれています。
社会の仕組みを知る一助になります。

そしてもう一つ。
大切なことは、できるだけ身近な大人から
子どもに伝わるのがいいなぁと思います。

私たちの農園が子どもにとって
たった一度だけ行ったことのある
どこにあるかも良くわからない
記憶にも残らない場であることは望みません。

馴染みの場
になってこそ、より深く、そして新たな発見も
できるのです。

だから、農業体験は
農園に定期的に足を運んでもらえて
長くお付き合いができる家族さんや
園、施設の皆さんとご一緒したいと
考えております。
心の通ったお付き合いをしたいです。

私たちの運営する
自然力畑は、無農薬無肥料で
安心安全であり、
価値の高い作物を育てることのできる
自信のある土です。

この土の価値を子どもたちは
踏みしめた足裏から、土に触れた手から
必ず感じとります。
そのことに自信があります。

力のある土は優しいのです。

「生きる力」

生きている土が
私たち人間に教えてくれることが
たくさんあります。

来春より
農業体験はスタートします。

産毛の美しさに
感嘆の声をあげる
そんな純粋で瑞々しい感性を
大人は守りたいです。

2020.7.25
きいろいおうちfarm運営
生産者 横田敬一
管理者 内田早苗










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