シーズンオフはどうする？

2020年4月24日に営業開始した
きいろいおうちfarm

コロナ禍の影響もあり
当初計画したいたような形ではない
営業形態ではありますが
近隣市にお住まいの方などに
ご予約制で来ていただいております。

皆さんが楽しんでくれて
営業開始から1か月足らずで、
リピート来場があること。
リピートの際に、ご両親や兄弟と
ご一緒してくださる率の高さに
嬉しくありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。

そういった意味では、営業開始からの
農園運営は順調であると言っていいと
思っております。

農園は、真夏（7月20日〜8月31日）は営業をいたしません。
熱中症対策が完全でないことや、管理する側の都合によるところが大きな理由であります。
来期からは、真夏の畑の様子を知るワークショップなども企画し、農業は季節や気候で待ったなしだということを体験してもらえるようコンテンツ整備中です。

では、9月以降の営業はどうするか運営サイドとして話し合いをしました。
farm運営計画の段階で通年営業することは決めていましたが改めて決めたことがあります。それは
「薔薇のシーズンオフの農園運営について」
です。

薔薇は4月中旬から開花が始まり、5月〜7月が見頃。
その中でも咲き誇る期間は限られています。
そして、当農園の最大の特徴でありますが、ここは
「バラ園」でも「公園」でもなく「生産農家の畑」であるため、薔薇は咲けば収穫されます。
もちろん収穫時間やタイミングは生産者である横田がプロの技で絶妙なバランスを保っていて、十分に皆さまには薔薇の花を楽しんでいただいてます。

それでも夏は花の咲く数もサイズも一旦落ち、秋に再度開花が増えるとはいえ、5月、6月のピークのようなことはありません。
12月頃まで開花はあり、毎年12月はクリスマス需要で横田の薔薇は争奪戦です。

きいろいおうちfarmの自然力畑で育てられているのは薔薇だけではありません。
5月下旬からピーマン、トマトの苗も畑に植えます。
今シーズンから綿とゴマの生産も始めます。
冬に収穫される横田の代表作であるヤーコンと菊芋の畑つくりもあります。
ハーブや花苗の販売も行う予定ですので、その準備もあります。

そして、当たり前の話ですが、全ての生産物には育つ過程があり、いわゆる「花の見頃」「作物の実りのピーク」といった時期は限られています。

私たちが「農業×絵本」の事業を共同で行うことになった経緯を書いた記事があります。
農業×絵本のはじまりは

私たちが皆さまに伝えたいこと、伝えたいものを改めて考えたとき、「シーズンオフ」という考えはないのです。

少し、そんなことを忘れてしまっていた私は横田に
「薔薇があまり咲いてない時期は入場料を下げようか？」と持ちかけました。

横田はいとも冷静に
「薔薇咲いてないと、ここの価値は下がるの？」

そうです。
下がりません。

農業も子育てもシーズンオフなんてないのです。
華々しく輝く時期もあれば、力を蓄えるために目には見えない育ちをしている時期もあります。
休むことも必要です。
その一連の全てが大切で、そのことに思いや考えを寄せるきっかけになる場が、きいろいおうちfarmであってほしい。

もちろん入場料をいただいての運営ですのでお客さまの満足は必須です。
「楽しい」と感じてもらえる場にする努力は怠りません。

きいろいおうちfarmでも、ピーマンやトマトの収穫ができる体験を提供します。
だけど、それだけではなくて、夏に実がたわわになっていた野菜が秋冬以降どんな姿になるのか、次に作物を植えるのにどういった農作業をするのか、自然力畑の土がどのように作られているのか、無農薬無肥料で野菜を育てるために必要な畑の環境はどんなものなのか。
見てほしいもの、お話できることがいくらでもあるのです。

farmの周りの雑草や景色も季節によって変わります。
今は聞こえるカエルの声が虫の音になり、吹く風が心地のいい季節もあれば、耳がキーンと痛くなるような冷たい風の季節もあります。
その季節ごとの農業の姿を見てもらえたらと思います。

そして何より絵本の力です。
自然を感じる場で読む絵本が心に残してくれるものは
農業に例えれば収穫時期の実ではなく、土の中で張る根や、小さい芽吹きであるのだと感じます。

きいろいおうちfarmがリフレッシュできる場であることも大切にしたいです。
特に私個人としては、ママが自分だけのために使う時間にきいろいおうちfarmを選んでもらえるような場にしたいという気持ちが大きいです。

「楽しい！」「また来たい！」
そんなふうに思ってもらえる場にするのは、私たちの作るコンテンツ次第であり、そこに自然の力を借りられたらと思います。

薔薇がなけりゃ行く価値ない、楽しくない。
そんなふうに思われるなら、私たちの力不足だし、判断するのはお客さまです。

きいろいおうちfarmは、薔薇が咲かない時期も
変わらず営業いたします。

楽しいこと、いっぱい企画中です。
早く遠方からも来てもらえるようにならないかなぁ。
今日も私は、きいろいおうちfarmの中にある、きいろい壁の小さな小屋にかわいい雑貨やジャムを置いて、絵本を並べて皆さまのお越しをお待ちしています。

2020.5.19
きいろいおうちfarm
内田早苗