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絵本の何がいいの?赤ちゃんのママからの質問

この仕事をしていると
良くされる質問

「絵本の何がいいんですか?」

私は
絵本を作る人ではないので、
絵本そのものについて、あれこれ語れないのです。
だから、作家さんや出版社さんで働いている作る側の人の話を聞くと、ものすごく感動します。
あぁ、こんなにも、こんなにも丁寧に大切に作られているんだ。
思いも愛も、綺麗だけじゃないものも詰まっている。
だから、絵本ってモノだけどイキモノ。
そんなふうに捉えています。

買う側である私は、本屋さんに並んでるからには
好み、好まざるはあれども、どの作品もお金を払う価値ありなのだと信じています。

私は講演会で常日頃
「絵本は道具です。」
と話します。
そこに込めた思いは、
「待ちよみについて②」で書きました。

そして冒頭の質問
「絵本の何がいいの?」
への回答は、私自身が子育ての中で
絵本を最強アイテムとして頼りにしていた
所以や、今までに出会った親子さんから聞いた絵本にまつわるエピソードなど、
絵本がそこに存在して、それを使ってわかったこと
感じたことをお答えすることにしています。
では何個かいいコトを挙げてみます。

いいコト①
子育ての基本「触れ合う、語りかける」がいっぺんに簡単にできます。

触れ合う、語りかけるが
簡単にできる親はいいんです。
だけど、案外多くいます。
わが子はとても可愛いのだけど、どう接していいかわからない、語りかけってどうしたらいいの?
他のママみたいにできない、私はダメな親なのかと悩む人もいます。

「おはよう」
「お腹すいたの?」
「オムツ替えようね」
「気持ちいいね」

生活のあれやこれやの一つ一つを言葉にして
赤ちゃんに語りかければ十分です。
日々お世話に追われていますから、気負わなくても
肌に触れてたくさん抱っこしているので、
スキンシップも十分です。

もし、それよりもう少しだけ
話をしてあげたいなぁと思ったら
どうぞ赤ちゃんをお膝に抱いたり、ゴロンとしている隣に寄り添って、絵本を読んであげてください。

赤ちゃんのために作られた絵本は
オノマトペや繰り返しの言葉がたくさん使われていて、聞いて気持ちのいい耳心地の良い言葉でできています。
絵本の中にある言葉を読んであげれば、それは赤ちゃんにとってはママやパパからの言葉になります。
絵本を読んであげるだけで、赤ちゃんにとって心地の良い語りかけができてしまうのです。

いいコト②
自分たちペースが許されます。

これは、実に大切なコトです。
世の中の多くのものはペースを他人に委ねています。
テレビや動画などもそう。
習い事や、自治体の子育て教室だってそう。
同じ読み聞かせでも、集団の場での読み聞かせも
読み手のペースで進みます。

親子間の読み聞かせでは、子どもが勝手にページをめくったり、戻ってみたり、とばしてみたり。
気にいったページだけを長い時間見ていたり、なんなら途中で聞くのをやめたり、絵本を取り替えてみたり。これらは読み聞かせの困りごととして対処の質問を受けることの多い事柄ですが、実は困りごとどころか、これがあってこそ、家庭で親から子に読む意味があるのです。

読み聞かせでの、こんな些細な事柄にも、
「自分は今、こうしたい」という、自分主体、能動的な感情が働いています。

協調性や相手を思いやる気持ちなど社会性を育てる前に必要な、自分を知る、自分の気持ちを大切にするということが、家庭のペースで絵本を読むことでも育まれます。

逆に言えば、そこを飛ばして、お利口さんに絵本を聞いていられることに注視しすぎると、家庭での読み聞かせでこそ育まれる大事なことを奪ってしまっていると言ってもいいと思います。

いいコト③
自分らしさが表現できます。

選ぶ絵本や絵本の読み方には個性がでます。ここは大事です。
個性を抑えてマニュアル的なことにこだわることは家庭での読み聞かせには必要ありません。
(待ちよみについて②参照)

声の大きさ、読むスピード
読む時間や場所、何を読むか、何冊読むか。
とにかく自由です。

絵本の読み聞かせは子育て、生活の一環なので
情報やマニュアルに振り回されず、心地良さや楽しさ、面白さを第一に考えてください。

いいコト④
子どもが親から大事にされていると実感できます。

子どもにとって絵本を読んでもらうというのは、親の声で耳心地の良い言葉を得られて、大好きなママやパパが側にいてくれるということ。
1冊2冊の短い時間でも、その時間は自分だけを見ていてくれると実感できます。

子どもへの愛情は、わかりやすく伝えないと子どもにはわかりません。
この子が大きくなった時に困らないように、世間に迷惑かけないようにと時に厳しく躾をするのも親の務めかもしれません。ですが、そこに愛情があっても、それは今時点での子どもにとってはわからない愛情です。

子どもに寄り添い、言葉をかける。
同じものを見て時間を共有する。
温かな絵本の読み聞かせが子どもは大好きです。

いいコト⑤
親が、自分に自信を持つことができます。

子どもの健康のために毎日バランス良い食事を作りたい。
子どものためにいいなら、あれも習わせてあげたいし、あそこにも連れて行ってあげたい。
親としての責任も、また子どもへの期待も希望もあります。

まだ赤ちゃんでしたら、生活リズムも整わず、家事が思うようにできなかったり、始終赤ちゃんのご機嫌に振り回されてるうちに1日が終わってしまったり。
ハイハイするようになったら、あんよがはじまったら、成長の喜びと同時に、その時々の悩みは常にあって、危険も増えるし、目も離せなくて毎日ヘトヘトです。
成長すれば他の子との差も目につくようになります。
ママも身体が疲れれば、落ち込んだりイライラしたり
するのは当然です。
始終ニコニコ機嫌よく、優しく明るく太陽のような母親でなんかいられなくていいんですよ。

正直、器用なママも不器用なママもいます。
気分の切り替えが上手な人もそうでない人も。
子どもの相手もなんとなくうまくできる人も、ぎこちない人もいます。

少し私自身のエピソードをお話しますと…
まだ息子が赤ちゃんの頃に足を運んだ子育て広場のようなところで、50代くらいの女性(今思えば、その場のボランティアスタッフさんかしらね?)が、私の息子に話かけている様子を見てこう言ったのです。
「赤ちゃんにはね、ワントーン上げた声で話しかけてあげるといいのよ」
え?!私の声じゃダメなの?思ってもいない指摘でした。

でも。結果からいいますと、私のそのままの声の語りかけや絵本の読み聞かせで十分、わが子は喜んでくれました。

私は保育の専門家ではないので、他のことは分かりませんが、絵本の読み聞かせについてなら分かることがあります。
それは、絵本の読み聞かせは、どんな親にでも簡単にできるということ。
そして、その簡単にできることで、十分に子どもへの愛情が伝わるということ。

親の幸せの第一は、自分の愛情がまっすぐに子どもに届くことなのだと思います。
それができていれば、他のことは、だんだんに少しずつ親も成長しながらできるようになればいいのです。

1番大事なことができていたら、それはきっとママの自信になります。

小さな自信を積み重ねてください。
その小さな自信が、今とこれからの子育てを支えてくれます。

絵本と子育てについて伝えることが私の仕事なので、まだまだたくさん、いいコトは話せます。伝えることもできます。

でも、今日お伝えした
いいコト5つ。
これが、私の思う、絵本の読み聞かせのいいコトの礎です。

2020.3.21
待ちよみ絵本講師 内田早苗











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