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【小説】ハグ
誰でもない二人で、シチュ萌の超短編。手つなぎからハグまで。
すっと隣に座る彼の指が、自分の小指に振れる。
ちらと目を向ければ、目尻を赤く染めた彼が、目線はテレビに向けたまま。
目線を前に戻して、指を絡め取る。ピクリ、と跳ねる感触に、口角が上がる。
すぐさま、ぐっと強く握り込まれる。節くれだった男らしい強い手で、自分の手はまるっと包み込まれる。
自分の手の甲を、すりすりと擦られて、理性が少しずつ削り取られる。
ふっと、首筋に息が吹きかけられた。
ビクリと震えて、彼を見れば、悪戯っ子のような笑み。
やり返してやろう、と押し倒す勢いで彼の首筋に近づく。
ついでに、先程から触れていた手は、勢いで恋人繋ぎになった。
グリグリと甘えるように胸元に顔を埋める。
彼の空いた手が、自分の腰に回ったことに気がついたから、こちらも背中に腕を回す。
ぎゅっと、お互いの距離を0にしようと、腕に力を込める。
何秒、何分、何時間でも、永遠にそのままでいられるような気がした。
それでも、終わりのときは訪れる。
ふっと身体から力が抜けて、お互いの視線が絡まる。
すっと目を細めて、どちらが先に動きはじめるか、小さな駆け引きが行われた。
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