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男子が学校のトイレでうんこをするための革新的アイデア。

これは、かつて子どもだったことがある
男性諸君に贈る珠玉のエッセイである。

男性にだけ届けと思って筆をとった。

もちろん、女性にもお読みいただきたい。

あと筆はとってない。スマホだから。

では、いってみよう。






小中学校の男子トイレというものは、
利用者にとって、やさしいデザインではない。

うんこをしていることが、一撃でバレるからだ。



男子トイレに入ったことがある、という女性はいないものと仮定して話を進めるが、小中学校の男子というのは、学校でうんこができない。

なぜなら男子トイレは、立ち小便器とうんこ専用個室が分かれているからだ。

ビシッと分かれている


うんこ専用個室に入ったが最後、誰かがそこにいることがバレるからだ。恥ずかしいからだ。


私は思う。

この構造は、やさしいデザインではない。

うんこをしていることが一撃でバレるから。

個室から出たが最後、
待ち構えていた友だちにこう言われるのだ。



「おまえ、うんこしてたのかよ!!!」



生理現象に対する悪意ある攻撃。
純粋な好奇の目。
無意味な嘲笑。


私の記憶が改ざんされていなければ、小中学校の男子トイレで、うんこの部屋が使われている瞬間を見たのは、片手で数えるほどしかない。

悲しいかな、
これが、男子トイレの現実である。



普段から私の記事をご覧いただく方には、
勇気を持って伝えておきたいのだが、



私はうんこをする。



それは生まれたときから変わらない。

晴れの日も雨の日も、札幌ならば雪の日も。


私はいつだってトイレでふんばってきた。
顔面を紅潮させてふんばってきた。


小学校のとき、私は学校でうんこをしたことがない。どんなに便意をもよおしても、なんとか肛門を締めて家に帰ってうんこをした。締め切らないときもあった。




中学生になっても、
学校うんこに対する羞恥心は、
全男子の共通の概念。


このままではいけない。

13歳になった私は決意する。



革命を起こそう。学校でうんこをするんだ。



学校でうんこができれば、外で漏らすこともないじゃないか。うん、そうだ。どう考えてもそうだ。



13歳の私は、考えに考えた。

中学生になって教えてもらったばかりの数学の知識は動員しなかったけれども、思考をめぐらせた。



どうすれば周りにバレることなく、仮にバレたとしてもバカにされずに済むだろうか?


……

(ぽくぽく)

……


(チーン)


そうだ。


友だちを連れて行けばいい。


仲のいい友だちに言うのだ。
俺はうんこがしたい、と。


隠すから恥ずかしいのだ。

隠すからバレたときに燃えるのだ。


ならば、隠さなければいい。


友だちにトイレについてきてもらう。
で、個室の外に立ってもらう。


その中でうんこをする。


他の友だちがトイレに入ってきたなら、
その友だちに言ってもらうのだ。

「中でうんこをしてるのは、ダーキだよ」


共犯者を作ればいいのだ。

こうすれば、個室から出てきた瞬間の恥ずかしさが消える。全てが水に流れる。

うんこをしているというヒミツを共有している人が、すぐそこにいる。平成うんこ同盟だ。これほど心強いものはない。


「あぁ〜、ダーキがうんこしてるんだ」


となって、まわりの緊張と嘲笑を
限りなくゼロにできるのだ。


効果はテキメンだった。


まったくバカにされなくなったのだ。



ここからはもう、快進撃。

他の友だちも同様の手法をとるに至る。
ときには私が個室の前に立ち「いま中にいるのはニコラスだよ」と言う係になることもあった。


革命である。


学校うんこ革命だ。



もちろん、全男子に広まることはなかった。学校でうんこをするのは恥ずかしいこと、と考える男子はまだ多かったのだ。




が、そんなことを続けていると、
いつのまにか私の身にこんな変化があった。


「ダーキは学校でうんこをする奴だ」


というラベリングに成功したのである。


こうなったらもう怖いものなし。

友だちに「ついてきて」とお願いすることもない。

友だちと会話をしていて、便意をもよおせば、なんの遠慮もなくニヤリとしながら、こう言うのだ。


「ちょっくら、うんこしてくらぁ」



中学生の私は、恥も外聞もなく、悠々自適の学校うんこライフを満喫したのであった。



この記事から学べる人生論は、
今日のあとがきに。

〈あとがき〉
恥ずかしいことの回避の仕方は、この手法が正しいと思われます。つまり、少しずつ周りに広め、協力者を獲得し、最後には「そういう奴」というラベリングに成功すればいいわけです。なんだかこの発信の時代にも応用できそうな考え方ですね。なに言ってんだろう。最後までありがとうございました。

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