深い話ができる謎の飲み会。
「いやぁ、今日は深い話ができたなぁ」とふり返っちゃうような飲み会ってなかった?
私だけなのだろうか、と思うと絶対そんなわけがなくて、きっとだれにでも「深い話ができた飲み会」の思い出が存在すると思う。
こういう飲み会は20歳前後のときに多く、メンバーはたいてい高校時代の仲の良い友人か大学の同期、もしくは社会人になってから知り合ったようなちょうどいい友人たちで構成されていると思う。
それぞれが独特の趣味を持っていて、みんながキャンプ好きで、70、80年代の洋楽に造詣が深く、「ウディ・アレンの映画が好き」と言っちゃうような。
あの感じ。
飲み会ではだれかが何かに悩んでいて、それはキャリアや学生生活、恋愛関係あたりが代表的だと思うのだけど、3人から4人くらいの白シャツが似合うようなちょうどいい風情に擬態したみんなが1つの話題を掘り下げて話し合うのだ。
「うーん」と唸りながら。
メンバーの中のさらりと物事を言う系の人から「本当にそれでいいと思ってる?」みたいなキレのある質問が飛び出したかと思えば、異性関係の経験が豊富で、かといってメンバーからバカにされることもなく、むしろ一目置かれているようなヤツが「いや俺はこう思うよ」と言って人生論を話すのである。
もちろんみんなビールまたはハイボールを飲んでいる。つまみは揚げ出し豆腐だ。
と思ったらこういう「深い話ができる飲み会」ではだれかが黒霧島を水割りで飲んでいたり、八海山を熱燗で2合飲んでいる光景が必ず見受けられる。
だって私がそうだったから。
味も知らないくせして「日本酒を飲んでるとイケてるよな」みたいな空気感にほだされるのだ。
「あぁ、深いな、これは深いぞ」と全員が思っているけど口には出さない議論が終わって、いよいよお店を出ると、爽やかな夜風に吹かれながらだれかが言うのだ。
「いやぁ、今日は深い話ができたなぁ〜」
なんだそれ。意味わからんわ。
絶対この思い出は私だけじゃない。
みんなの思い出の中に「深い話ができた謎の飲み会」は存在する、はず。
【関連】大人になってからの飲み会について
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?