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Spoonで音楽活動を始めたい人へ②【リスナー編】

<前章>

Spoonで音楽活動を始めたい人へ①〜導入編〜

SpoonはSNSであること、すなわち人との繋がりを構築する必要があることは、前章で述べた通り。では、これから関係を築いていくために弾き語りカテゴリのリスナー達はどういう性質を持っているのかを述べていこう。

リスナーの世代

配信アプリというと、10〜20代の学生や若者が中心というイメージがあるかも知れない。ところがその前提、ことSpoonにおいては過去のものとなりつつある。ここ数年のテレワークの普及で、働き盛りの世代が“ながら聴き”ができる音声配信アプリを利用するようになったからだ。これはDJとリスナーのどちらにも当てはまることだろう。

つまり、Spoonにはおじさんやおばさんもそれなりに多いということだ。幸いにも(?)Spoonは音声配信アプリなので顔出しする必要がない。おじさんやおばさんでも見た目を気にすることなく配信することができるし、リスナーもまた同様だ。

そんな若い世代が中心ではなくなってきているSpoonにおいては、懐メロでも十分に通用する。むしろカバー曲が中心なら無理をして若い世代の歌を覚えようとしない方がいい。逆にリスナーからしたら自分の世代と合わない歌を無理して歌っている方が痛々しくて聴いてられないだろう。

考えてみて欲しい。おばさんが歌うAdoの「うっせぇわ」を聴きたいだろうか?僕は聴きたくない。むしろ「お前がうっせぇわ」ってなるだろう。よほどプロ並みの歌唱力があるなら別かもしれないが、たいていは素人のはずだ。

「自分の配信には若い子がたくさん来てほしいんだ!」という人も一部いるかもしれないが、その下心…じゃなくてポリシーが良いか悪いかはさておいて、若い子に来てもらいたいなら尚更若い世代の歌を歌ってはいけない。若い子たちの方が、そういう無理して歌ってる痛々しさに敏感だ。必死なおじさんとしか映らないだろう。

たまにそういう歌をリクエストされることもあるだろうが、リクエストされたとて自分が歌えそうもない歌や歌いたくない歌は放っておけばいいのだ。リクエストする側もどうせそこまで深く考えていないし、配信者に合わない曲をリクしてくる時点で残念ながらその人はあなたの歌をそこまでちゃんと聴いちゃいない。

それに先にも述べたが、Spoonは高齢化…じゃなくて年代が多様化している。えてしておじさんやおばさんが参入してくるSNSというのはオワコン化していくのが定石だ。mixiやFacebookという前例もある。若い子と触れ合うのが目的で音楽活動をしたいなら今のSpoonはおすすめしない。

リスナーの特徴

「人の配信なんだから好きな歌を歌ったっていいじゃないか!」というそこのアナタ。その考えは圧倒的に正しい。正しいのだが、何度も言うようにSpoonはSNSだ。やりたいことを追求した結果、リスナーが0の配信に何か意味があるだろうか?いや、ない。

リスナーがいてナンボなのだ。何も人気者になりたいとまでは言わなくても、最低でも全然リスナーがいないという状態は避けたいのではないだろうか?配信という活動をする以上、そういう自己顕示欲はあって然るべきだろう。にんげんだもの。

では、どんな配信をすればリスナーが来てくれるのか。ズバリ結論から申し上げる。それはリスナーの期待に応え不快にさせない配信だ。

Spoonのリスナーというのは、多かれ少なかれDJにある種の幻想を抱いていることがほとんどだ。自分が期待する姿であって欲しいと思っているし、自分の期待する通りの考え方をしていて、自分が期待する通りのタイミングで構ってもらえる思っている。1、2回配信に来ただけなのに自分のことを完璧に覚えてもらえると思っている。それがアカウントを作り直して名前が変わっていたとしてもだ。

自分のコメントはどんな内容でも読んでもらえて当たり前だし、自分がリクエストした歌は何よりも最優先で練習していると思っている。どんなにつまらないリプやDMを送っても返信がもらえて当たり前だし、頼んだわけでもないのにSpoonのギフトやバスターを投げた日にはその額に関わらず見返りがもらえて当然!!だって自分が推してるんだから!!自分がいちばん!!自分が自分が自分が!!

……とまぁ、こういう無尽蔵な期待に応えられなくなった時点で、そのリスナーにとってあなたは不快なDJとなる。逆にこういう期待に全て応えられる自信があるなら、あなたはSpoonで人気者になれる素質をお持ちだ。おめでとう。

要するに何が言いたいかお分かりだろう。構ってちゃんばかりなのだ。

彼らは自分の期待に応えてくれるDJを“推し”と称して愛で始める。ところが、ひとたび自分の期待に応えてくれないことがわかると、いとも簡単に“推し”というマーキングを外してしまう。そう、彼らは“推し”が好きなのではなく、自分の思い通りになる“推し”とやらを推している自分だけが好きなのだ。そして回遊魚のごとく自分を構ってくれるDJを探し求めて弾き語りカテゴリという澱んだ海を泳ぎ回る。そこにはもはや音楽は関係ない

もちろん、弾き語りカテゴリの全てのリスナーがそうだとは言わない(というか、何事においてもそうでない人というのはいる)。しかし、少なくとも1年半以上Spoonで音楽活動をしながら観察している中で、そういう人の割合がそうでない人に比べて圧倒的に高いと言わざるをえない。現に人気のDJは、巣でピヨピヨと口を開けて待っている雛たちに餌を運んでくる親鳥のように、今日もリスナーの無尽蔵な期待に応え続けている。

他の配信アプリとの比較

そうは言っても、Spoonの弾き語りカテゴリのリスナーは、(僕が使った他の配信アプリの中で言うならば)少なくともツイキャスのリスナーよりはいわゆる民度というものが高い。その理由は明確で、前章でも述べた通りSpoonがアカウント制で匿名ではないからだ。

つまり一人一人にアイデンティティが存在するために、不特定多数のアンチを演じることができない。捨て垢でない限り誹謗中傷されることも少ないのだ。その弊害として、一人一人の自己主張ができるためにSpoonが自分の居場所になっている人が多く、結果として構ってちゃんが集まりやすいのだ。

その証拠に、Spoon用語に“たぬき”というものがある。僕も最近教えてもらったのだが、これはネット掲示板の「雑談たぬき」のことで、いわゆる5ch(昔で言う2ch)やしたらばのような匿名掲示板だ。そこではSpoonに関する様々なスレッドが立っていて、それはそれは醜い誹謗中傷が繰り広げられている

人の目があるところでは行儀よく見かけ上の民度は高いと言われるが、いざ匿名になると底意地の悪い人間性を発揮しつつ自分の発言や行動に責任を持たなくなるのは、Spoonのユーザーというよりも日本人の性(さが)と言われればそうなのかもしれない。

リスナー編のまとめ

「リスナーに構ってちゃんが多いのは分かったけど、リスナーがいてナンボなら結局どうしたらいいのさ!」と言いたくなるだろう。答えは実に簡単で、人気者になるのを諦めたらいいのだ。

先にも述べたが、リスナーの全員が構ってちゃんではない。構ってちゃんが来ない配信=構ってくれない配信だ。こっちが構わなくても歌を聞いてくれて、出入りも自由、潜ろうが何しようがリスナーの勝手。リクエストに縛られることもなく、面白いと思ったコメントだけ読む。そういう配信であれば、構ってちゃんは他所の配信へ行ってくれるはずだ。そして、そういう配信を居心地がいいと思ってくれるリスナーが常連になってくれるのだ。

僕のイチ押しは寝落ち弾き語り配信だ。リスナーを寝かすことを目的にしているため、余計なコメントは読まなくていいし目障りな定期や弾幕もない。リクエストもほとんどないから自分のペースで歌うことができる。夜に弾き語りができる環境であれば、ぜひ試してもらいたい。

ちなみに僕の寝落ち弾き語り配信では、拍手すらいらないとも言っている。寝るのが目的なのにスマホの画面を見ていること自体がナンセンスだと思うからだ(といっても常連たちは何度言っても寝ずに拍手してくるのだが…)。おかげさまで僕の配信にはほとんど構ってちゃんがいない(はずである)。

そのかわり構ってちゃんがユーザーの大多数を占めるSpoonで人気配信者になることは諦めてもらいたい。ただそのほうがSpoonの配信者として気楽でいられるし、結果的に長続きする。実際にSpoonのDJが配信をやめてしまうのは、リスナーの期待に応え続けることに疲れてしまった人が多いのだ。

逆に言えば、Spoonで人気者になりたければ上述したことの真逆のスタイルで配信すればいいと思う。なりふり構わず、自分を殺して構ってちゃんに媚び続ければいいのだ。もっとも僕には、そっちのほうが結果としてなり振り構いまくってるように見えてならないのだが…(笑)

まとめると、無理に人気者になろうとせず、自分の身の丈に合った配信をしていれば、精神的に自立したリスナーが集まって快適にSpoonを楽しむことができるため、結果的に長く活動することができるということだ。

あなたがSpoonを始めようと思ったきっかけを思い出して欲しい。それは人気者になりたいからだったのか?あなたが本当に音楽が好きならば、そうじゃないはずだ。あなたの音楽は、自分のことしか考えない人たちの都合のいい幻想のためにあるのではなく、あなたの音楽を本当に愛してくれる人たちのためにあるのだ。それをどうか忘れないで欲しい。

<次章>

Spoonで音楽活動を始めたい人へ③〜マネージャー編〜

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