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怪文書

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#日記

ネコを脱出せよ

 ここではないどこか。この世界から脱出するための方法。それは猫を脱出することにある。
 第一猫宇宙速度。さらに加速して、第二猫宇宙速度。公転する猫の近くを加速スイングバイで通過したわたしの体は、猫より飛び立つ。猫の外側へ向かう意志は、やがて宇宙の外側へ向かって加速していく。

 異星人というメタファーで「”異邦人”さえも驚く猫のかわいさ」を表象することにどれだけの意味があるのだろう。「地球人はなん

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恋が嫌い。

 ポケモンのサイトウに彼氏がいるとかいないとかでオタクがキレてた。あの子が笑いかけた相手とあの子との関係が恋愛というラベルに収束していくことが嫌い。そこでは恋人>友達の立式がされていて嫌い。何らかの関係同士が相対的に価値判断されることが嫌い。AさんとBさんの繋がりと、AさんのCさんの間に相対的な差があると僕には思えない。過ごした時間が担保する愛があるなら、互いに何も知らないから成立する愛もある。長

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「きみとぼく」ということについて

 端的に言えば、そこに二人しかいないから「きみとぼく」なんだ。「きみ」と「ぼく」という人称だけで話を進めるためには、三人目が存在してはいけない。名前が必要になったら、「きみとぼく」は、もうおしまい。あとは、社会をやっていく。
 一時期、「きみとぼく」ということは、「セカイ系」という言葉と結びついて使われたこともあったけれど、例として挙がる作品はいずれも純粋な「きみとぼく」じゃない。誰かを名前で呼ば

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の一人称を教えて

 パワプロのサクセスモードを起動する。自分で名前をつけたキャラクターをプロ野球選手へと育成するモード。初期設定では名前、左右の利き腕、バッティングフォーム、ピッチングフォーム、肌の色、ウグイス嬢のイントネーションに至るまであらゆるパラメーターを設定することが出来る。中でも印象的なのは一人称の設定だ。オレ、ボク、オイラ、ワイ、ワシ、わたし、ミー、拙者、おいどん、まろ、自分の名前……そこにはあらゆる一

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ヒステリー、ブンゲイファイトクラブ、イシオカについて。

 寝巻きのまんまで渋谷東急本店のジュンク堂へ行った。創元の乱歩全集を手に入れるためである。
 小綺麗な中高年の皆様が歩く売り場を、ジャージのまんま、生来のクセ毛に加えて寝癖までついているだらしのない人間が歩いているというのは、実に奇妙なことだ。そしてそのだらしのない人間とは、自分のことなのだ。
 ここ数日は本当に、ダメなのですよね。仲の良かった友達の前でヒステリーを起こし、まるっきり絶縁されてしま

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