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倉庫のラジオ#39補足 2023.03.08

倉庫のラジオの補足記事です。

「人生観に影響を与えた漫画・アニメ」を紹介したいということで、3作品の話をさせてもらいました。
・・・が、準備が不十分だったこともあり伝えきれていないこともあったので、改めてここで補足するという卑怯な手段を取るわけです。便利だなへっへっへっ。

ぜひラジオの方を聞いてから読んでもらえたらと思います。


◆ひぐらしのなく頃に

こちらはある程度ラジオの中で話せたかなと思うので補足はそんなにないのだけど、肝となるのは「信じる」というところ。

鬼隠し編は特に主人公の圭一が噂に惑わされてレナや魅音のことを疑ったことが(まあ本人のせいだけではないけど)、悲惨な事件への引き金になってしまった。というのがこの作品の中核を担う部分だと思っている。
だから、平たく言えば「仲間を信じて困難に立ち向かっていこうめ」と、そういう話と解釈してます。
もちろんそれだけじゃなく様々な思惑が複雑に絡み合っているのが面白いところなんだけど。
物事の一面だけじゃなくていろんな側面を見ると、実は違った事実が見えてくるということに気付かされたのは間違いないです。

ただ、この「信じる」という行為。いくら信じたところで結局人の考えてることって分からないと思ってるんですよ。
言ってることさっきと違うじゃねーか!って思われそうだけど、実際そうなんだから仕方ないよなーと思うわけです。エスパーじゃないんだから分かるわけない。
だったら、自分の都合の良い方に考えた方が得じゃない?噂話を鵜呑みにして疑うより自分の感じたようにすればいいじゃん。という思考に、この作品があったからこそなっていったのが結構大きいかもしれない。

自分なりの「信じる」がそういうことかなーと思ったりする。
ラジオと結論変わってないかなこれ。まあいいか。


◆ガウガウわー太

ラジオは完全に準備不足でした反省!!!
ということでここで補足します。

作品との出会いは受験勉強真っ只中の高3の時期。予備校が神保町にあったので帰りに三省堂書店に寄ることが多く、参考書を見るついでに漫画コーナーによく足を運んでいた。
そこで見つけたのが「ガウガウわー太」。とりあえず気になったので1巻だけ買って読んでみると、獣医漫画+ヒューマンドラマといった興味のあるものの重ねがけだったので、次の日にまたもう1巻、次また予備校のある日にもう1巻と、どんどん先が気になって結局買い揃えてしまった。

ちょうどこの時期、後述のプラネテスも買っていて(どっちが先か忘れたけど)、少年漫画によくある能力バトルアクションよりこういったものを好む傾向があったのでずぶずぶとハマったんだろうなあ。
似たような方向性で、ラジオでちらっと話した「いいひと。」や「最終兵器彼女」(どちらも高橋しん先生作)も同じ時期に全巻揃えてしまったので、これらについてはまた機会があれば。

さて「ガウガウわー太」の話に戻りまして。主人公は獣医の息子である社太助(やしろたすけ)で、憧れであるみさと先輩やその飼い犬わー太などの登場人物とともに様々な動物関係のトラブルに巻き込まれながら成長していく物語。
とあるきっかけにより動物と会話することができるようになるが、実は父である社犬福(やしろいぬふく)の真の姿が神社に仕えるコマイヌ様であったことが要因である。割とファンタジーな設定なんだよね。

もちろん獣医の話なのでちゃんとリアルな話題もあって、ペットと人間の関係性や生死など重い話も扱っている。
それで一番心に残ったのがラジオで語りたかった2巻の終わりから3巻にかけて収録されているタヌキの話である。

◯あらすじ

ひょんなことから事故が多発する心霊スポットに連れて行かれた太助は、そこで幽霊に化けているタヌキ(吾作)に出会った。彼は仲間のタヌキたちが車に轢かれたことで人間に強い恨みを持つようになり、通りかかる車を驚かせ事故を起こして復讐をしているということだった。
太助はそういう人間ばかりではないことを訴えるが、吾作が突如高熱で倒れてしまい、社病院に連れ帰って看病することになる。

目覚めた吾作を落ち着かせて、犬福と太助は事情を聞くことにした。
復讐のために人間を事故にあわせているという吾作に対して、犬福は、それでは永遠に恨み合いが続き復讐が終わらないことを伝える。
それに対して「復讐をやめて引けというのか」という吾作の問いに、犬福は「引くのではなく、"許す"のだ」と答える。
妻や子も人間に殺されている吾作に対し、これには太助も「キレイゴトすぎる」と声を荒らげた。

「許す」とはどういうことなのか。吾作と太助はそれぞれ考えを巡らせていた。

吾作の病気は致死率が高く感染力も強いものだったため、外に出すわけにはいかずしばらく病院で預かることになった。
暴れる吾作に対してめげずに看病を続けるみさと先輩を見て、吾作は優しい人間もいることを思い出す。元々人間に優しくされていた時期があり、吾作もそのことには気付いていた。

ある日、社病院に一人の青年ヒロが訪ねてくる。驚くことにヒロは吾作が山で化けていた幽霊にそっくりだった。
ヒロはタヌキの研究者で、山で暮らしていた吾作たちにも度々会いに来ており、吾作もヒロには懐いていたのだが、ある日から突如姿を現さなくなっていた。
原因は車の事故による下半身不随。病院で治療を受けていたため、吾作たちに会いに行くことができなくなっていたのである。

その事故の原因は、吾作の復讐によるものだった。

半年前、吾作が通りかかった車を驚かせて事故を起こしたところ、その車の中にいたのは自分たちに優しくしてくれていたヒロだったのだ。
吾作はすぐにその場から離れたためヒロを殺してしまったと思い込んでいたが、生きていたことに驚き戸惑ってしまう。自分は人間を許すどころか、許してもらえる立場ではないと考えているところに、ヒロから一緒に暮らさないかと提案される。

はたして吾作の選択は――。




ということで、ラジオで話せなかったあらすじはこんな感じ。
ラストはぜひ読んでほしいので隠しちゃった。ごめんね~~~。

ただ、ここでいう「許す」が、単純に悪いことをした→謝る→許すという流れだけではなく色んな思いが絡み合っている「許す」であることに心を動かされたことと、最後に犬福の中で「許す覚悟」について語るシーンがあるのだけど、何回読んでも泣いちゃう。
こういう考え方があったんだなとめちゃくちゃ意識するようになったお話でした。


・・・え、無料で読めるんです???
調べたところ著作権などは問題ないようです。ほぇ~。

ということで、良かったら最初からタヌキの話まで読んでみてください。


◆プラネテス

ラジオでは3つ目だったのでサラッと話した感があるけど、実はかなり影響を与えられている作品。
少年というより青年を対象とした雑誌で連載していたのもあって、それまで読んできた漫画とは雰囲気が違っていることにまず惹かれた。宇宙が題材なのもあってそこだけでプラスの印象があったのもあるけど。

宇宙ゴミを集めるサラリーマン星野八郎太(ハチマキ)と、新入社員のタナベは事あるごとに衝突するでこぼこコンビ。
ハチマキは自分の夢(宇宙船購入)を目指してお金を稼ぐために仕事をしているが、一方タナベは人の気持ち優先タイプで規則違反をするハチマキを軽蔑し、みんなが幸せになることを第一に振る舞う。
最初の時点では自分はどちらかというとタナベ派だが、いきすぎるところもあってハチマキの考えも別に悪くはないんじゃないかなというフワフワした立場だった。
しかし読んでいくうちにいろんな登場人物がいろんな考えを持って行動していることが分かり、当時高3の自分にとって、自分と違う考えを持つ人がこんなにいるのかと衝撃を受けることになる。

それぞれの考え方には共感できるところもあるんだけど、案外そうでもない方が多かったりすることに気付く。
結局この作品のどこが良かったのかをよくよく考えると、セリフ回しが非常に上手いし印象的なんだなと思う。どれもその人の人生観がしっかり根付いたセリフになっていて、説得力がある。

一番印象深いのは、エンジンテスト事故の話に出てくるロックスミスのセリフだ。
ロックスミスは木星との往復宇宙船の開発責任者で、その宇宙船のエンジンテストにおいて限界を超えた負荷をかけるよう指示を出し、結果300人以上が犠牲となる大事故を起こしてしまう。
その記者会見で、事故の責任を問われた際の回答がこちら。

爆発した二号エンジンの残したデータの内容には満足してます
次は失敗しません御期待下さい
プラネテス2巻

人がたくさん犠牲になっているのによくこんなこと言えるなと思ったが、この人はただただ宇宙船のために生きていてこの人の愛は宇宙船にまっすぐ向いているんだなというのがよく分かった。もちろん遺族にはたまったもんじゃないし倫理観は破滅的だけど、不思議とこのセリフは今になってしっくり来るものになっている。いやぁすごい。


ちなみにアニメは漫画版とはだいぶ設定も変わっているがアニメはアニメでかなりクオリティの高い作品なので是非見てほしい。どっちかというと漫画版より見てほしいくらい。

時間に余裕のある人はぜひぜひ。



ということで、ラジオの補足でした。意外と長くなってしまった。言いたいこと言えたかなあ。

人生の3大バイブルでした。

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