シャーロック・ホームズと小公女の時代~セーラの面影を追い求めて
こんにちは、ぱんだごろごろです。
小公女のセーラ・クルーが、私の(一方的な)友だちだということは、このブログの初回から書き続けているので、皆様ご存じだと思います。
何よりも、セーラが「気位の高いひと」であることが、私を惹き付けた要因ですが、この年齢になっても、なお、セーラを追い求める人生になろうとは、私自身不思議な気がしています。
セーラは私達と違って、年を取りません。
自分は年齢を重ねて行くのに、友だちはいつまでも子供のままです。
しぜんに忘れてしまってもいいはずなのに、なぜだか、気が付くとそこにいる。
何かにつけ、ふとした拍子に、セーラのことを忘れていない自分がいるのです。
シャーロック・ホームズ「ウィステリア荘」
随分以前、グラナダTV製作の、「シャーロック・ホームズ」 シリーズを見ていた時のことです。
その日放映されていたのは、「ウィステリア荘」でした。
これは、独裁者に夫を殺された妻が、復讐のため、その家に家庭教師として入り込み、復讐の機会をうかがうも、果たせず、自身も窮地に陥ったところを、ホームズ達に救われる、という話です(後に、その独裁者は報いを受けます)。
そのドラマで、私が注目したのは何か、と言うと、十才前後の、独裁者の子供たちでした。
当時は、イギリスの上流家庭の子供たちは、学校に入って、寄宿舎で生活するようになるまでは、家で、住み込みの家庭教師から教育を受けていました。
この失脚した独裁者は、逃亡生活を続けながらも、その潤沢な資金で、子供たちには、家庭教師を雇い、教育を受けさせていたのですね。
「小公女」のセーラは、父がインド駐在の将校だったため、インドで子供時代を過ごしましたが、七歳になった時、ロンドンの寄宿学校に入るために、イギリスへ戻って来ました。
「小公女」の発行は1905年ですが、雑誌に連載されていたのは、1888年でした。
シャーロック・ホームズの「ウィステリア荘」が「ストランド誌」に発表されたのは1908年のことですが、物語の冒頭で、ワトソン博士は、「これは、1892年のことである」とことわっています。
つまり、シャーロック・ホームズと小公女のセーラとは、時代が重なっているのです。
舞台は同じくイギリスのロンドンです。
中年の探偵と、十代前半の少女とは、あるいはロンドンの街ですれ違ったことがあったのかもしれない・・・
もちろんどちらも架空の人物なのですが。
さきほどの「ウィステリア荘」で、私が独裁者の子供たちに注目していたのは、彼女達が、セーラと同じ年格好の少女たちだったからです。
ドラマを見ている内に、この少女たちとセーラとは、同じ時代に生きていたはずだ、と気付きました。
グラナダTVのシャーロック・ホームズシリーズは、原作に忠実だということで知られているため、時代考証もしっかりしているだろうから、画面の中の少女達が着ている服を、きっとセーラも着ていただろう、と思い、まるでセーラの姿を追い求めるかのように、少女たちの姿を目で追ったのです。
「小公女」を題材にした、海外ドラマや映画は、何点か見たことがあるのですが、どれもしっくりくるものがなく、いまだ、セーラの面影を追い求めて、色々な面や角度から、セーラの物語を探究中です。
大人になったセーラ・クルーの職業は?
特に、何度も考えたのは、大人になったセーラの職業で、当時の時代背景と、セーラの性格や特質、資産状況から、
①物語作家
②外交官夫人
③福祉事業家
の三通りを考えました。
他にも、イザベラ・バードのような、冒険家とか、②の外交官夫人になって行った先の、日本によく似た国で、王室の王子の家庭教師になったのではないかしら、とか。
アーメンガードに歴史を教える場面からもわかるように、セーラは教師としてもすぐれていたのではないか、と思えます。
中央公論社から、1992年に発行された、「ベルギー公使夫人の明治日記」という本があります。
作者は、エリアノーラ・メアリー・ダヌタンで、訳者は長岡祥三、内容は、題名通り、ベルギーの公使だった、アルベール・ダヌタン男爵の妻で、イギリス人のエリアノーラ・メアリーの、日本滞在日記です。
彼女は外交官夫人で、男爵の妻というだけでなく、作家としての顔も持っていました。
著作として、詩集が一冊、小説が八冊あるそうです。
彼女は、裕福な大地主の家に生まれ、兄は、「ソロモン王の洞窟」や「洞窟の女王」の作者である、サー・ヘンリー・ライダー・ハガードです。
彼女は1858年生まれ、シャーロック・ホームズより数才年下、セーラの伯母くらいに当たる年齢の女性です。
そのイギリス人女性が、ベルギー人の貴族と結婚して、夫の赴任先の日本へ一緒に行き、公使夫人として活躍するだけでなく、小説も書いていた。
そう聞くと、セーラの将来像(モデルケース)の一つを見るようで、楽しくなってきます。
まとめます。
私の心の友、セーラ・クルーは、同じく架空の人物である、名探偵シャーロック・ホームズと、同時代に生きていました。
彼女がもし、現実の世界に生きていたとしたら、一体どんな人生を送ったのだろう。
そんなことを考えていると、何気なく見るドラマや、読む本からも、思いがけない発見があります。
さあ、あなたが心の中で大切にしているテーマは何でしょうか?
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