【き・ごと・はな・ごと(第31回)】へチマ嬉々漫録
わが家に初めて糸瓜ができた。梅雨どきに花屋の店先で買った150円の苗鉢が、あれよあれよと蔓を延ばし、みるまに軒先の物干し竿を巻き込んだ。7、8月中の暑い盛りには毎朝咲く黄色い花と挨拶しながら、セッセセッセと水やりをした。すくすく伸びる糸瓜蔓は、狭いベランダでは収まり切れなくなり、ちょっと目を離すとすぐに上階や隣へ侵入しようとする。その度に主人の釣竿や突っ張り棒やらをあわてて継ぎ足して蔓の道しるべを作った。成長の勢いときたらものスゴクて、継ぎ足す作業中にも待ち切れぬとばかり、茎