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オンライン備忘録〜欅坂46 THE LAST LIVE 1日目〜

金欠につき1日目のライブは観るつもりはなかった。しかし昨日、大学の課題をしながらTOKYO FMの欅坂特番を聞いていたら「これは1日目も見届けなければならない」と感じたので急遽チケットを購入し、観るに至った。結果として、この決断に後悔はなかった。とーやま校長ありがとう。

ということで今回も1曲づつ、記憶が新鮮なうちに振り返っていく。

1.サイレントマジョリティー
この曲を含め、欅坂の多くの曲(特に表題曲)はセンターが「反逆者」でそれ以外が「流される人」という役割を演じることが多かったように思える。しかし今回は違う。センターの小林さんをはじめ、パフォーマンスをしていた全員が明らかにこの曲の主人公になっていた。体の動き、表情からそれがひしひしと感じられる。「終わりの始まり」であるこのライブにおいて、全員が主役であることがこの曲で共通認識とされた。

2.大人は信じてくれない
もはやこの曲は完全に山﨑さんのものになっているのではないだろうか。中学生とは思えない貫禄、豊かな引き出し、言葉にするのが野暮なほどのオーラ。その全てを持って空間を支配していた。7月のライブの時も然りだが、堂々と主人公を演じきっていた。とんでもない人だと改めて気付かされた。

3.エキセントリック
この曲ももはや土生さんのものだろう。降りしきる言葉に負けずひたすらに踊り続ける姿と強い意志を感じさせる表情は土生さん自身の欅坂での歩みに重ねられるものがあるのではないだろうか。

4.語るなら未来を...
今歌詞を見るとなんだか全然違う意味に解釈できる曲その1。メンバーも私たちファンも、10月14日からは欅坂のことを過度に語るのは野暮なのである。常に前だけを見てひたすら突き進んでいくという強い決意が全員のパフォーマンスから感じられた。欅坂と比べてどうとかではない。これからも全力で坂を駆け上がっていくだけだ。だからこそ、この2日間は欅坂を完全燃焼させるのである。

5. 月曜日の朝、スカートを切られた
やはりこの曲のパフォーマンスは異質だ。サビではセンターの理佐さんが倒れ、その周りを他のメンバーが見下しながら回る。もはやダンスではない。しかし鬱憤を抱え込む学生の月曜日の朝はまさにこれである。パフォーマンスの概念を覆した欅坂の凄みを改めて感じることとなった。

6.Student Dance
欅坂の代名詞とも言えるだろう、「学校」をテーマにした曲。それぞれが校舎で繰り広げるそれぞれの「Dance」。しかしそれは他の誰にも見られてはいけない「聖域」である。だからカメラを隠し続ける。でも「Dance」はやめない。これが欅坂のロックである。

7.カレイドスコープ
これまでの6曲のパフォーマンスが嘘であったかのように一転した、かわいいパフォーマンス。これはこれで、欅坂なのである。こんなに可愛い表情ができる人達が強い意志を持った「僕」を演じるのだ。しかしこれができるのはメンバー自身の強い意志あってこそ。この二面性の中の一面性が欅坂の大きな強みである。

8.渋谷川
小林さん1人の渋谷川を聴くことになるだなんて思ってもいなかった。時々あるハモリは音響によって代用される。これにより、「今泉さんはもう欅坂にいない」という事実がより強調される。でも、これでいい。ゆいちゃんずは永遠にゆいちゃんずなのである。

9.I'm out
短くも長かったユニット曲も終わり、また本流に戻る。休憩が短すぎないかと心配になってしまう。それはさておき、2組に別れて行われるパフォーマンスとその見せ方が斬新。ここに来ても新しい表情を見せてくれる欅坂は本当にすごい。

10. Nobody
メンバーが横一列に並び、「Nobody」の形に切り取られた枠に映し出されるメンバー。一列に並んでいるとその一人一人が何者でもないのではないかと感じるかもしれない。しかし、その中には確かに一人一人のメンバーがいるのだ。「こんな私の事なんか興味はない」だと?そんなわけないだろう。一人一人がパフォーマンスの主体なのである。

11.東京タワーはどこから見える?
やはり欅坂は層が厚すぎる。曲中にセンターが変わっていくスタイルの曲だが誰がセンターに来ても驚くほどしっくりくる。歌詞ごとに適切なメンバーが中心に来てそれぞれのパフォーマンスで自己表現する。それでいて全体での調和も当然のように取れている。流石としか言いようがない。

12.避雷針
これだ。これぞ避雷針だ。降りしきる雨と言葉、そして雷鳴のカオス感。それと対称的なメンバーの調和。今まで数多く披露されてきた避雷針の集大成と言えるパフォーマンスだろう。理佐さんの避雷針適性の高さもすごすぎる。完全に自分のものにしているシリーズその3だ。

13.不協和音
1日目のテーマは「静」だと知らされていたので、欅坂のなかでもトップレベルの「動」なこの曲はまあ披露されないだろうと思っていた。だがパフォーマンスが始まるとそんなことはどうでもいい。センターの菅井さんはじめ、メンバーの皆さんのとんでもない熱量と躍動感。菅井さんの渾身の「僕は嫌だ!」と激しすぎる踊りの中に見られる力強さと表情の鋭さと。もはや言語化できない域に達しているパフォーマンス。菅井さんの中に閉じ込められていたものが全て解放されたのではないだろうか。何故だろう、目をかっ開いて観ていたはずなのに頬に涙がつたってきたのは。

14. キミガイナイ
ひたすらに「君」を探し求める部屋の中の少女たち。「君」は見つかりそうな気がして本当はいない。最後に「自分は自分である」と気付くこの曲の主人公が今後のメンバーの歩みに重ねることができる気がする。

15.君をもう探さない
代々木第一体育館に突如浮かび上がる街。その中を行き交うメンバーたち。まだ「君」を探している段階だ。いくらお金が掛かっているんだろう、と考えていると新2期生の登場を見逃してしまいそうなので注意が必要だ。探しても探しても「君」は見つからない。そしてステージでのパフォーマンスに移るが、センターのポジションは空いたままである。でも、メンバーは身を粉にしてパフォーマンスを続ける。そう、「君」をもう探さないのである。誰かの代わりになる人なんていない。なぜなら一人一人がかけがえのない素敵な人間だからだ。今聴くと全然違う解釈に変わる曲その2である。

16. もう森へ帰ろうか?
あれから何百年経ったのだろうか、街はすっかり荒れ果て、緑に包まれる。歌詞にリンクした世界観にまるっきり入れ替わる。そして驚くべきは上村さんのワイヤーを使ったパフォーマンスである。いや、普通に危ないだろ。でもそれを完璧にやりきってすっかり「森の神」になりきる。代々木第一体育館という森を上村さんは完全に支配していた。

17.黒い羊
欅坂のパフォーマンスは1(音)+1(パフォーマンス)=∞ という式で表すことができると思う。特にこの曲はパフォーマンスの比重がとても大きい。1つの物語を全員で紡ぐのだ。いつものように、曲の世界観を身を粉にして紡いでいく。言うまでもないだろう、最高のパフォーマンスだ。だが最後だけ、いつもと違った。センターの小林さんを残してほかのメンバーは去っていくが、最後に理佐さんが小林さんも一緒に連れていく。これこそが、欅坂46の物語、そしてこれからのこのグループの歩みだろう。パフォーマンスでは、反逆者は基本的に見捨てられてきた。しかしその裏で、メンバーたちは互いに慈しみ合い、激動の5年間を過ごしてきた。たとえ「黒い羊」がいても寄り添い合う、優しい人たちだ。新しいグループはどのようになるのかわからないが、メンバーのこの素敵な部分は絶対に受け継がれることだろう。素敵なグループだと改めて気付かされた。

18. エンディング
こうしてライブは終わっていった。全17曲、メンバー全員が力を振り絞ってパフォーマンスをしてくれた。まさに「満身創痍」だったことだろう。できることなら「ありがとう」と伝えたい。
今日のライブでは、曲中のセリフ以外、メンバーは一言も発することはなかった。しかし曲のメッセージとメンバーの想いは間違いなくこちらに伝わってきた。言葉にすることなくパフォーマンスで全てを視聴者に届け、心を動かす。かなり攻めたスタイルだが、とてつもなく難しいことだろう。しかし欅坂にはこれができる。このことが欅坂の持つ一番の強みである。今日は純度100%の欅坂を見ることができた、本当に最高のライブだった。

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