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ロンドンの冬〜花と牡蠣とネズミ。


ロンドンの2月。


6年の滞在を終える娘を迎えに来た。
といっても、部屋を片付け、掃除をするためだ。
そして、今回も私は、やはり1人で帰る予定。

もう、私はここに来ることはないだろう。

今までに行かなかったロンドン市内を
ぶらぶら歩く。
寒い朝。
ちょっと、お腹が痛い。

Columbia Roadで毎週、日曜日に
開催されるフラワーマーケットに行く。

カラフルな可愛い花で、埋め尽くされている。
日本では見たこともない、
名前も分からない花がいっぱいある。

紙に手書きで花の名前と金額が書いてある。
その£の文字が可愛い。

真似して書いてみた。


もし、この街に住んでいたら、 
きっと、両手いっぱいの花束を
抱えて帰る日があるだろう。

まだ、お腹が痛い。寒い。

カフェを探す。

探しあてた小洒落たカフェテラスでは、
見るからに富裕層であるらしいカップルが
生牡蠣にレモンを絞って
ズルッと口に運んでいた。

もちろん日本でも、その食べ方はする。

だが、寒い朝のカフェでの生牡蠣。
なにより、女性の素敵なワンピース。
パンプスは、もしやマノロ•ブラニクだろうか。

その光景は、斬新であった。

それを横目で見ていたら、
余計にお腹が痛くなった(笑)

暖かい紅茶と、
とても小さなパンみたいな物を
口に入れると、腹痛は落ち着いた。

Fulham RdにあるThe Conran Shopに。

イギリスならではの、
おしゃれで実用的なインテリアグッズが
センス良く並んでいる。

以前、母に、
「あんたって可愛いものを、
たくさん持ってるけど、
必要なものを、持ってないわね」と言われた。

たしかに。親は、よく見てる。
おしゃれなコンランショップで買ったものは、
なくても生きていける。

Well, never mind.

などと、娘と笑いながらフラットに帰った。


部屋の片付けをして、
持ち帰る衣類などを詰めたスーツケースを
やや、乱暴にドンッと壁に押し当てた。

はい、これで終わりよ。Done。

娘が住むフラットは、
トイレ、バスルーム、シャワールームは
共有である。

昨夜は、シャワールームを使ったが
すこぶる狭く、お湯プラス水多めの
暖かいような冷たいような
不思議な感覚のシャワーであった。 

なので、今夜はバスルームを使おう。

誰もいないことを確かめて
お風呂に湯を溜めた。時間はかかった。

その浴槽は深くて長い。
おそるおそる、  
片足から、そぉーっと入ったつもりだったが、
瞬間、ズルッと滑り込み.
ゴボ、ゴボ〜ォォォ〜

口元まで、お湯の中に沈んでしまった。
あわや、溺れるところだった(笑)

笑い事ではない。 こわっ。

気を取り直して夕食。

なんのベリーだろうか、、。
クランベリーか、
レッドカラントか、
グズベリーか、
よく分からないベリーが山盛りの
デニッシュを食べた。

めちゃ甘くて、めちゃ酸っぱかった。

可愛い🩷

さて、寝ようか、、と
何気にスーツケースをずらすと、

なんと、白いネズミが横たわっていた。

ぎゃーっ! Ahhhhhーーーーーー

落ち着け。私。取り乱すな。娘。

「多分、さっき、スーツケースを壁に
ドンッと押したじゃん。あの時だよ」

えっ? 私?

「あの時、後ろにネズミがいたんだよ。」

なんでもいいけど、
なんとかしなくては、ならない。
生のネズミを見るのは初めてである。

2人でギャァギャァ言いながら
(noisy !Japanese!)

庭の大きな木の下に葬り、
土の上から花や葉っぱを掛けた。 

Sorry, I didn't see you、、、と手を合わせた。

そりゃ、ネズミもいるよね。

これがロンドン最後の夜の出来事だ。


じゃあ、来週ね、
××××空港まで迎えに行くからね、、、と
手を振って、
パディントン駅で別れた。

もう、すっかり慣れたヒースロー空港。
チェックインカウンターにも、
さっさと行ける。
トイレの場所も分かる。

帰りのフライトは、いちばん後ろの席。 

離陸を知らせる機内アナウンスが流れる。

Please make sure that your seat belt is securely fastened

We will be leaving the gate shortly.

離陸。

厚い雲の隙間からロンドンの街が見える。

日常を旅するのは楽しい。

窓の外を見ながら、ニヤリと笑った。

牡蠣フライは好きだけど。

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