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山地剥の物語、Steel Ball Run

みなさんこんばんは。気学Style西島です。

暦の上で10月に変わって3日目。日本では各地でそこそこの地震が起きております。
今年は火山、もしくは火山性地震に注意という年ではありますがこの10月は年・月共に盤面が同じ形で重なる時期です。
今年は海底火山の噴火で島ができたり消えたりといったこともございますが、今回の地震も海底火山に由来するものだったのでしょうか。
何事もなければそれに越したことはないのですが、今月は防災グッズの点検などしておいた方が良さそうですね。

また、10月の日本各地での地震の前、10月2日にバヌアツでマグニチュード7クラスの大きな地震が起きています。

俗に「バヌアツの法則」と呼ぶらしいですが、一見なんの関わりもなさそうな南太平洋の島国・バヌアツで大きな地震があると2週間前後の誤差で日本でもそこそこ大きな地震が起きるようです。

この「法則」はかなり当てはまるようで日本から地質学社の人たちが現地に研究にゆかれたりしております。実際、今回も綺麗に当てはまっていますね。全く自然とは人知の及ばない偉大なものだと改めて実感いたします。

この大きな自然あるいはその摂理に沿って、感謝して生きるべし…というような話が易の卦の解釈などでもよく出て参ります。
自然への畏怖や感謝の念があればこそ、易といった優れた学問も出てきたのでしょう。

こうした東洋思想をベースにした世界に生まれてきたことはありがたいことであるなと、易などを学び出してしみじみ思います。

山地剥

さて今回は久しぶりに易の徒然のお話にしようと思います。

この記事のタイトルにもなっている「山地剥」ですが、これは易の卦の名前になります。

上の図の一番右側のものが「山地剥」となりますが、この卦の出来上がったイメージは図の左からの流れになります。

もともと「剥」とは「りっとう」がついておりますように、刃物で削り取る意味がございます。
つまり、この卦は

最初の段階としてはすべて陽で構成されていたところに、
この陽の棒が下からどんどん削り取られていった結果一番上の最後の一本を残すのみとなった

…という状況を示す卦となります。

自分が立っているところの足元がどんどん崩れてゆく印象を与える卦ですのであまり良い印象を持たれない卦です。
タロットカードで言う「THE TOWER」になぞらえて解説している向きも散見されます。正直タロットの「塔」と解釈はだいぶ異なるとは思うのですが、
山地剥について「足元が崩れている」と聞きますとやはり良い印象は持たれづらいことは否めませんし、少し不遇な卦ではあると言えましょう。

確かにこの卦の示す状況は

・例えばドラ息子が親の財産を食い潰しかけている
・自分の足元がどんどん崩れて不安定になっている

状況を示します。
ですが、そういう状況があるというだけのことで、イコール即「凶」という解釈はちょっと待った、です。
状況が見えたなら良い形に持ってゆくべく対処するのが人の知恵であり、易の教えです。

この卦が出たときは、「凶」が出たと嘆くのではなく、(実際凶ではないのですが)

うっかりボーッと歩いていたらヤバいところだったな!

と気づきを得て欲しいのです。
さて、

ジョニィ・ジョースターと山地剥

山地剥のお話をする機会があり、そのとき何気なく思い出したのがジョニィ・ジョースターです。

「ジョニィ・ジョースター」は、
かの「ジョジョの奇妙な冒険」第7部(以下:ジョジョ7部)の主人公として出てくる人物なのですが、この主人公の物語の進み方がまさに山地剥からのスタートだなと感慨深く思い出されました。

ジョジョ7部はSteel Ball Run(以下:SBR)とタイトルが付けられております。
物語・舞台の設定はこんな感じです。

19世紀末、アメリカ。6,000kmにも及ぶ、過酷きわまる北アメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」に参加する冒険者たちの姿を描く活劇である。物語は、ジョニィ・ジョースターの視点から、謎の男ジャイロ・ツェペリを中心に波乱の巻き起こるレース展開や、レースの裏に潜む陰謀との対決を描きながら、ジョニィの「青春から大人へ」歩き出す人間ドラマである。(Wikipediaより)

そしてその主人公ジョニィ・ジョースターの背景はこうです。

優秀な調教師で、裕福な牧場主でもあった父を持つ。自身も幼い頃から騎手として活躍しており、16歳でケンタッキーダービーの優勝を飾るほどだったが、その高慢な性格が災いし、トラブルで銃撃され、下半身不随となる。その後は過去の経験から「見えない宿命に縛られている」という考え方を持ち、後悔と失意に満ちた人生を送る。(Wikipediaより)

天才ジョッキーとして栄華を誇っていたジョニィは下半身不随になっており、物語はその状況からスタートします。

物語開始時点でのジョニィの状況は、これまで培ってきた足元が儚くも崩れ去りつつあり、いよいよ最後のプライドさえなくなってしまおうとしている状況なのですが、これはまさに「山地剥」の状況と言えるでしょう。

復活を夢見るジョニィとジャイロ・ツェペリ

物語はこのSBRレースを見学に来たジョニィとジャイロ・ツェペリの出会いから動き出してゆきます。

ジャイロは劇中、ジョニィにとって友人であり師でもあるような関係になってゆきますが、このジャイロ・ツェペリは「鉄球」を使い不思議な術を使います。
ジョニィがSBRレース第1ステージの見物に来ていたところ、ジャイロ・ツェペリの使う「謎の鉄球」の「回転」の余波を受け、動かなかったはずの脚が微かに動いたことから、その秘密を知るために急遽レースに参加します。

つまり、ジョニィはジャイロに自分が復帰できるための何かきっかけとなる希望を見出したのです。

余談ではありますが、易の卦の並びにおいて、「山地剥」の次には「地雷復」が続いています。

「地雷復」は新しい希望が再びやってくるといった意味合いがある卦ですが、「山地剥」の状態にいたジョニィに復活の希望が降って湧いたというのは「地雷復」の形。

面白いことに易の卦の順番通りにことが運んでいるように見えますね。

さておき、この二人が様々な苦難を乗り越えながらそれぞれの目的へ到達しようとするドラマをSBRでは描かれております。

とても面白いお話ですので機会があればご一読ください。

本当に本当になんて遠い廻り道………

さて、先程の内容だけでしたら、

「主人公が山地剥なのだよね」

ということですが、このジョジョ7部・SBRが改めて「山地剥」の物語だと感じたのがこの章の見出しになっているこのジョニィのセリフです。

物語の終盤、ほぼ最終決戦において敵との決着間際に出た、万感込められたこのセリフ。

この戦闘に勝利し、ついにジョニィは自分の足で歩けるまでになってゆくのですが、上のセリフはこの戦闘の直前のジャイロの言葉を受けてのものでもあります。曰く、

「オレはこのSBRレースで
いつも最短の近道を試みたが
『一番の近道は遠回りだった』
『遠回りこそが俺の最短の道だった』
この大陸を渡ってくる間ずっとそうだった
そしておまえがいたから
その道を渡って来れた」

『一番の近道は遠回りだった』
『遠回りこそが俺の最短の道だった』

…ここがとても「山地剥」的です。

山地剥は足元が不安定

改めて山地剥の画像を見ながら見てゆきたいのですが、
この卦は先にも述べましたように、足元がどんどん崩れていっている形です。

つまり、足元がどんどん不安定になっていっている状況が示されています。

(足元が不安定なこの形は、下半身不随になったジョニィと通じるところがありますね)

足元が不安定な状況では思った通りに動くことも、ましてや一足飛びに動くこともできません。

つまり、「今何かをしたい」と思ったとしても、おそらくそれはすぐにはできないでしょう。

例えば、ジョニィが謎の鉄球の効果で足を治したいと思ってもすぐにそれは叶いませんでした。自分の足で立てるようになるのは物語の締めくくりの頃になりますが、それほど時間がかかったわけです。

では、山地剥のとき、「今何かをしたい」と思ったことは叶わないのでしょうか。あるいは、すべきではないのでしょうか。

答えはもちろん、「否」です。

現に、物語の終わりにおいてジョニィは「足を治す」というその願いを叶えています。

山地剥の解釈をもって「TOWER」と異なるとする所以がここにあります。

「それをしてはいけない」「それを行うのが凶」なのではなく、
それをする前にすべきことがあるという示唆が山地剥の中にはあるのです。

…山地剥において、足元がどんどん崩れて不安定になっている状況が示されていることを思い出してください。

これは、翻って考えると

何かやりたいことがあるのであれば、そのことがしっかりできるように、
まず不安定な足元をしっかり固め、積み上げるべきを積み上げましょうね

…という示唆になっていることに気付いていただきたいのです。

そのようにして足元を丁寧に固め、確固とした足場を積み上げて初めて安定した動きができるようになり、思った方向へ動いて行けるようになるというのが山地剥が述べたいところであると私は思います。

ですから、山地剥のとき、やりたいことはいずれできるようになりますが、ただ、できるようになるまで時間はかかります。

ジョジョ7部・SBRは山地剥の物語であるということ、
ここにおいて少し繋がりが見えてこられましたでしょうか。

『一番の近道は遠回りだった』
『遠回りこそが俺の最短の道だった』
本当に本当になんて遠い廻り道………

この2つのセリフは、山地剥の状況にあって、願いを叶えるために積み重ねた時間・道のりへ万感を込めた、象徴的なセリフに見えて仕方ありません。

SBRはとても面白い作品ですが、この作品と並べて考えると一見ネガティブな印象を与えがちな山地剥もなかなか素敵に見えてくるような気がいたします。

何気ない身の回りの漫画やドラマに易の世界が垣間見られると面白いですね。

これからももっといろいろそういったものがないか見てゆきたいと思います。

次回の投稿は16日。定期購読の11月の運気を配信いたします。
お楽しみに!

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