見出し画像

こどもの便秘、治した方が良い?

実は便秘だというお子さんは少なくありません。しかし、便秘について、きちんとご存知ない親御さんも多い印象で、そのまま受診されずに様子を見られていることもあります。今回は、こどもの便秘について、書いてみます。


便秘とは

便秘とは、「ウンチの回数が少ない」、「ウンチを出すのに苦痛がある」、「ウンチがたまり悪影響がある」、というような状態のことです。

*「小児慢性機能性便秘症 診療ガイドライン」によると「「便が滞った状態」とは、なんらかの原因によって排便回数や便量が減少した状態であり、「便がでにくい状態」とは、排便するのに努力や苦痛を伴う状態、小児では排便時の肛門の痛みで泣いたり、いきんでも排便できない状態である」、あるいは「「便秘による症状」とは、便秘によって生じた腹痛や腹部膨満、腹部不快感、不安、また排便する際の痛みや出血である」と記載されております。

一般的にはウンチがなかなか出ないことを便秘と考えている方が多いのですが、「毎日出ててもウンチの時に苦痛があれば便秘」ということになります。

「ウンチの回数が少ない」という目安は、週に3回より少ない、5日以上出ない日が続く場合とされてます。

「苦痛がある」とは、例え毎日ウンチが出ていたとしても、いきんでもなかなか出なくて時間がかかる、つらいとか、ウンチを出す時に痛がって泣いたり、肛門が切れて出血する、などです。

「ウンチがたまり悪影響がある」とは、時々腹痛がある、お腹が張る、ウンチが残った感じがあって苦痛、などです。

ウンチが出ない間隔だけで判断すると、普段「3日に1回ウンチ」だとひっかかりますが、3日に1回のウンチ自体が硬くなくスルッとソーセージ状で出る、普段お腹が痛くならないのであれば、まずは、問題無いと考えます。

逆に、この基準ではひっかからないけど、「実はしっかり便秘」という場合もあります。1-2日に1回ウンチが出るけど、小さいコロコロのウンチが続いている場合です。コロコロのウンチは、水分が少な過ぎて硬過ぎてウンチが固まらずにコロコロになっている状態、あるいは大きい硬い塊のウンチの一部が砕けてコロコロとなって出てくる状態ですので、むしろ「一番悪いウンチ」とも言えます。ウンチが出切ってないので、まだ大きい硬いウンチがまだ腸の中に残ってしまっている状態のことが多いです。今は良くても、そのうち硬いウンチが出て困る、時々ひどくお腹が痛くなる、などが起こるはずです。

下の図で、図の上にいくほど便秘に伴うウンチの性状となります。④⑤のウンチが定期的に出ると良い状態と言えます。③のウンチが時々ならまずは良いですが、ずっと③のウンチが続くようなら、便秘気味と考えた方が良いでしょう。

画像1

また、腸にウンチが溜まり過ぎて、硬く大きいウンチが肛門から出てこれずに、硬いウンチの隙間から「軟らかいウンチだけが少しづつ」、1日に何回も何回も出ているような場合があり、それは実は「ひどめの便秘」だったということもあります。このような場合には、たまに固いウンチが出てきますので、固いウンチと柔らかいウンチが一緒に出てくる、よくお腹を痛がる、などの症状があります。

便秘は治療した方が良い?

便秘はそのまま放っておくと、通常、だんだん悪くなることが多いです。

硬いウンチを出す時に痛い思いをしたり、肛門が切れたりしたお子さんは、その後ウンチを我慢してしまったりします。ウンチは我慢すると、また出したくなくなりますから、そのまま腸にウンチが残ります。大腸は水分を吸収する場所ですので、長くとどまるほどウンチはどんどん水分が吸われて硬くなり、よりウンチをする時に痛くなります。そうなると、お子さんはますますウンチを我慢するようになるという悪循環となります。

また、ウンチが直腸にたまるということが続いていると、「ウンチが来た、ウンチしよう」という反射が鈍感になっていき、ますますウンチは出にくくなり硬くなります

このような悪循環がおこるために、便秘は悪くなっていってしまいます。しっかり治すことが重要です。よく「便秘の薬がクセになる」と言われる方も居ますが、便秘自体が「悪いクセ」であり、むしろしっかり治すことで、将来的に薬をやめられる可能性が充分にありますが、慢性的な便秘が完成している場合には、なかなか自力で改善することは難しく、治療が必要かと考えられます。

便秘が、数週間〜1ヵ月以上続いているような場合には、病院で治療を相談しましょう。

病気ではないけど、ウンチが出にくい赤ちゃん

乳児期前半から中頃の赤ちゃんでは、ウンチが数日出ないお子さんも多いです。

出るウンチが硬くはなく、お腹がぱんぱんになったりしてなくて、哺乳量や体重の増えも問題ないような赤ちゃんは、特に病気ではなく、ただ、まだウンチしようとする能力が未熟なだけということが多いです。

*ウンチが硬い、お腹が張る、ミルクを吐く、飲む量が減った、体重が増えにくい、元気が無い、など気になることがあればぜひ小児科におかかりください。

簡単にいうと、「いきむタイミングと肛門をゆるめるタイミングが合わず、うまくウンチが出ない」状態です(これをディスケジアと言います)

ウンチが硬くなってしまう普通の便秘とは違うので、すぐに病院での治療は必要ではないことが多いです。

対策は、お腹のマッサージをする、綿棒による肛門刺激でウンチのタイミングを合わす、などで、ウンチを出してあげると良いでしょう。場合によっては、便秘の座薬を使用したりもしますので、お困りの際は受診してください。

*綿棒刺激の方法がわからない場合は、あまり無理なさらず小児科に受診してご指導頂くと良いでしょう。

ただし、病気じゃないからと、そのままずっと放っておくのは良くありません。

そのままウンチが出ない状態が続くと、徐々にウンチが硬くなり、その後本格的な便秘になる可能性がありますので、しっかり刺激してウンチを出す習慣をつけると良いでしょう。

【参考】
「こどもの便秘 ―正しい知識で正しい治療を」

「小児慢性機能性便秘診療ガイドライン作成委員会」https://www.jspghan.org/constipation/files/pamphlet.pdf

「小児慢性機能性便秘症 診療ガイドライン」https://www.jspghan.org/constipation/files/guideline.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?