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書物の転形期:和本から洋装本へ

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このエッセイでは日本で洋装本が登場してから定着するまでの時期、すなわち十九世紀後半から二十世紀初頭までを対象として、書物の技術と当時の新聞広告や目録の記述などとを照らし合わせつつ…
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書物の転形期01 はじめに:和本から洋装本へ

 日本の印刷・出版は、19世紀の後半に大きな変革の時期を迎えた。活版・銅版・石版といった印刷技術が登場し、その技術が新聞・雑誌といった新たなメディアを可能にし、新たなメディアの登場に合わせて出版のシステムや法律も大きく変わった。そして印刷物のパッケージとしての書物も、19世紀前半までの和本を中心とした製本様式から、それ以後現代まで続く洋装本を中心とした製本様式へと大きく転換した。文字通り「書物の転形期」である。  この外形も構造もあまりに異なる二つの製本様式間の移行には、複