書物の転形期06 洋式製本の移入3:米国の教本と「工業的な書物」
米国の教本とその輸入 19世紀欧米の書籍産業は近代的産業に変貌していく。製紙は機械化され、印刷機も世紀の中頃には蒸気機関で稼働するようになった。製本も例外ではなかった。綴じ付け製本による自家製本から、表紙・背と印刷本体とを別々の工程で作り、最後に本体に表紙・背を被せて接続するくるみ製本(case binding)による版元製本への移行が進んだ。大貫伸樹『製本探索』(印刷学会出版部、2005、13p)は、「綴じ付けずに済ます「くるみ製本」の発明は生産効率を大幅に高める」と指摘し