書物の転形期02 出自から形へ 1
出自としての「和本」 書物の外形をあらわす「和装本」という言葉は、もちろん「洋装本」と対になる言葉で、それ以前は「和本」だった。「和本」という言葉も今では「和装本」と同様にその書物の形を意識して使われることが多い。しかし、「和本」は江戸時代の出板目録(注:江戸時代は板木を用いるためここでは「出板」と記す)では書物の形を指してはいなかった。書物の形の違いが強く意識されるようになるのは「洋装本」登場以後である。その意識の変化を当時の人々の個人的なレベルで確認することは今のところ難