見出し画像

『ブルーマウンテン』 第三週 《ココロの叫び》vol.11

【登場人物】
谷崎 涼真/25歳
カフェでバイトをしている。
いつか、自分で店をオープンするために修行中。
       
嶋田 樹(いつき)/20歳
大学生。両親は有名な俳優。
幼い頃から世話係に育てられ、親の愛情を知らない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
涼真:
樹が俺のアパートに居候するようになり、1ケ月が経った。
昼は、《りべるて》でバイトも始めた。
金持ちのご子息だから、家のことは何も出来ないと思っていたが、料理も上手いし、掃除洗濯も器用にこなす。

俺より、よっぽど家事が得意だ。

樹:
『小さい頃からお手伝いさんが全部やってくれてたから、小学5年生位から自分で出来ることはしようと思って、色々教えてもらってたんだ』

涼真:
『なるほどな。俺なんか、父さんと姉ちゃんに任せっきりで、何もしなかったからな』

樹:
『…悔しいからさ』

涼真:
『何が?』

樹:
『芸能人の子どもだから、自分のこと、何も出来ないって思われるのが…』

涼真:
『あ…』

樹:
『だろ?』

涼真:
『…すまん、俺もそう思ってた』

樹:
『まんざらでも、ないでしょ、僕』

涼真:
『え?』

樹:
『出来る、居候』

涼真:
『はは…確かに、優秀な居候だな』

樹:
『ハハハ』

涼真:
『…樹、ご両親には、連絡、したのか?』

樹:
『…』 

涼真:
『してない…か』

樹:
『僕…』

涼真:
『…?』

樹:
『…ここに、ずっといちゃ…ダメ?』 

涼真:
『樹…』


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?