『ブルーマウンテン』 第4週 《想いは遥か遠く…》vol.17

【登場人物】
谷崎 涼真/25歳
カフェでバイトをしている。
いつか、自分で店をオープンするために修行中。
　　　　　　　
嶋田 樹(いつき)/20歳
大学生。両親は有名な俳優。
幼い頃から世話係に育てられ、親の愛情を知らない。
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（店のドアが開くベルの音）

涼真：
『いらっしゃいませ！…あ、』

樹：
『…お母さん…』

涼真：
店の入り口に立っていたのは、有名女優であり樹の母親でもある、橋本優香、だった。
もちろん、俺はテレビでしか見たことがないが、20歳の息子がいるとは思えない、若々しい顔立ちと、派手ではないがスッキリとしたグレーのワンピース姿で、女優らしい華やかなオーラが漂っていた。
しかし、その表情は心配と悲しみに満ちていた。

優香:
『樹…ようやく見つけた…お母さん、ずっと、ずっと探してたのよ。お母さんも、お父さんもずっと心配で、まともに眠れなかったのよ。…さあ、帰りましょう』

樹：
『僕…帰らない』

優香:
『何言ってるの⁈ 樹‼︎』

樹:
『…』

涼真:
『…樹くんのお母さん、ですか』

優香：
『あなた…樹に何て言ってそそのかしたの？』

涼真：
『え？』

樹：
『やめて…』

優香：
『息子を騙して…何が目的⁈ お金？』

涼真：
『違います…僕は、息子さんを…』

優香：
『警察に連絡します』

樹：
『やめて…やめてくれ！！』