『ブルーマウンテン』 第ニ週 《見えない糸》vol.9
【登場人物】
谷崎 涼真/25歳
カフェでバイトをしている。
いつか、自分で店をオープンするために修行中。
嶋田 樹(いつき)/20歳
大学生。両親は有名な俳優。
幼い頃から世話係に育てられ、親の愛情を知らない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
樹:
『お母さんが?』
涼真:
『ああ。その時はよくわからなかったが…
中学生位になった頃、10歳年上の姉さんが教えてくれたんだ。
…母さんが、若い男と、駆け落ちして家を出て行ったって』
樹:
『…そんな』
涼真:
『母さんに好きな人が出来て家を出て行ったなんて、ガキの俺に理解出来るわけないからさ…』
樹:
『…』
涼真:
『母さんが居なくなってしばらくは、毎日泣いていたらしい…』
樹:
『……』
涼真:
『だから、』
樹:
『……』
涼真:
『樹も、もしかしたら…そうなのかと…思ったんだが』
樹:
『……母さんは…、母さんも父さんも仕事が忙しくて、ほとんど家にいなかったんだ。』
涼真:
『…』
樹:
『…家にはお手伝いさんしか、いなかった。』
涼真:
『そっか…』
樹:
『…』
涼真:
『あ…』
樹:
『?』
涼真:
『おまえさ、そういえば、俺に何か用があってここに来たんだろ?』
樹:
『…』
涼真:
『まさか、礼を言うためだけってことは、ないよな』
樹:
『…』
涼真:
『どうした…』
樹:
『僕…』
涼真:
『…』
樹:
『家を…出て来た』
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