『ブルーマウンテン』 最終週 《ふたつの魂》vol.21
【登場人物】
谷崎 涼真/25歳
カフェでバイトをしている。
いつか、自分で店をオープンするために修行中。
嶋田 樹(いつき)/20歳
大学生。両親は有名な俳優。
幼い頃から世話係に育てられ、親の愛情を知ら
ない。
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《波の音とカモメの鳴き声》
涼真:
『樹、そろそろ、昼飯にするか』
樹:
『あ、先に休んでて!僕、こっちの壁、もうちょっとで塗り終わるから。』
涼真:
『おー、今日も頑張ってるな。でも、張り切り過ぎると電池切れちまうぞ。』
樹:
『うん。わかってる。…でも、少しでも早く、リフォームを終わらせたいから』
涼真:
『あぁ、ありがとな。 俺も体力が戻ったら頑張って働くからな。』
樹:
『うん。今休んでる分、まとめて働いてもらうから、覚悟して!』
涼真:
『おいおい、勘弁してくれよ。おまえも言うようになったな』
樹:
『うふふ…涼真さんの背中を押すのが、僕の仕事だからね!』
涼真:
『背中を押すというよりは、無理やり引きずられている感じだな』
樹:
『終わった〜!お腹空いたー!』
涼真:
『はは…子どもか。手、洗って来いよー』
あの出来事のあと、俺は1ヶ月ほど入院し、退院後、樹と2人で俺の実家のある海沿いの街に引っ越して来た。
カフェをオープンするために空き店舗を探していたが、偶然地元の知り合いが高齢のため、店舗を引き継いで欲しいと連絡が来たんだ。
今回の一件で、樹の母親の取った行動やそれ以外のことにも、父親が責任を感じ入院費用全額と、樹の独立資金まで出してくれた。
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