未来の届けたい働き方

問題噴出の今だからこそ、あたたかい社会を保ちたい

働き方改革が進められる今。みなさんの働き方には、何か変化が起こっているでしょうか? そもそも、どんなふうに改革されれば、みなさんはもっと豊かな働き方ができると思いますか?

このコーナーでは、「働き方」に関するさまざまな話題を取り上げて、「幸せな働き方って何だろう?」ということを考えていきたいと思っています。

■「働き方」に関する課題が続出する今

新型コロナウイルスの影響で今、働き方に関する話題を毎日のように見聞きするようになっています。

ちょっとの体調不良では休めないという日本企業の風土や、リモートワークや時差出勤などの対策が即時にとれない古い体質の企業が批判されていたり。休業になってしまっても国から助成を出してもらえないフリーランスたちの阿鼻叫喚が聞こえてきたり。臨時休校によって子どものお世話をしなければならなくなったお母さんたちが困っていたり……。

こういう有事には、「どうやったら安心して、幸せに働けるのか」を改めて考える機会がやってきます。会社からも国からも守られない立場の人は、どのようにサバイバルしていくのか、あるいはどのように声を挙げて制度を変えていくのかを考えていかなくてはなりません。

この連載は、幸せな働き方を追求するというのがテーマなのですが……、今回は働き方にまつわる問題が一気に世の中に噴出してきて、どれを扱っていいのか正直悩んでいます。

うーん、どうしよう。何を書きましょうか。

今、働き方をテーマに書くというのは、どんな話題を取り上げても暗くなってしまいそうなのです……。

■働く親を応援するサービスが続々!

今回は、少し心温まる話にしましょう。

こんなときだからこそ、働く親御さんを応援しようということで、全国でさまざまな支援の動きが出てきています。

たとえば、臨時休校によって子どもが昼間自宅にいることになってしまった家庭。給食費は返金されるにしても、給食の場合は1食300円前後。朝仕事に行く前に子どもの昼食まで用意するのが難しく、お金を渡して買ってもらうという場合には、この値段でじゅうぶんな栄養をとってもらうのは難しいと思います。子どもが1人ならまだしも、きょうだいの多い家庭だと出費はかなりかさんでくるのではないでしょうか。

こうした食事の面で応援しようという取り組みの例がこちら。

▽ワタミの宅食
日替わり夕食宅配「ワタミの宅食」では休校措置対象となった幼稚園や小中高に通う子どもたちに1週間あたり1食200円でお弁当を宅配。2日間で予定数量の50万食に達したとのこと。
▽nosh(ナッシュ)
食事宅配サービス「nosh」では休校になった小中高校生、在宅勤務になった社会人を対象に、商品代無料、配送料のみで商品提供を開始。こちらも供給量の上限に達してサービス終了。
▽食べチョク
オンラインマルシェ「食べチョク」では、休校により子どもの食事が増えた家庭に向けて、全商品の送料を500円オフにする応援プログラムを実施。3月いっぱいまで続けられる予定。

家事代行サービスでもいろいろな応援を始めています。

▽ベアーズ
キッズ&ベビーシッターや家事代行サービスの初回お試しプラン・スポットプランを3月末まで10%オフに。
▽CaSy
スタッフさんに作ってもらったおかずを詰めるだけでお弁当ができる「つめるだけ。CaSyの5日分お弁当つくりおきメニュー」を通常価格の4割引で提供。4月6日まで何度でも利用できるそうです。

他にも、子どもを預かるサービスや、オンラインで子どもを見守るサービス、送り迎えなど、さまざまな企業やNPOが子どものいる家庭の応援をスタートしているので、臨時休校に困っている親御さんは探してみてほしいです。

■無料塾の生徒たちにもご寄付が続々集まりました

ちなみに、私が運営している無料塾でも、お米やパスタ、レトルトカレーなど食材のご寄付をネットで募り、生徒たちに配付をしているところです。ご寄付の呼びかけをしてからなんと24時間で、あっという間に4畳半の部屋に足の踏み場がなくなるほどのご寄付をいただくことができました!

また、子ども食堂を運営する方から、自宅で退屈している子どもたちを呼んで公園で遊びましょうというお誘いも。

大人たちが見守る中、太陽の下で子どもたちにのびのびと体を動かしてもらうことができるというわけで、私も仕事の合間に生徒たちを引率しようと思っています。

企業やNPOだけでなく、個人でも今、食材のおすそわけや子どもの預かりや見守りなど、働く親御さんたちやそのお子さんたちをサポートするためにできることがたくさんありそうです。そういうサポートに乗り出している団体に寄付をするというのも、大きな力になると思います。

もうしばらく新型コロナウイルスの感染拡大は続いていきそうですが、これを機に私たちは、自分たちの働き方のメリット・デメリットを改めて洗い出しながら、自分たちの手であたたかな社会を保てるように動いていくしかないと思っています。

少し落ち着いてきたら、すべての人が安心して働けるためにこの国がやらなければいけないことも、整理されていくでしょう。


大西桃子
1980年生まれ。出版社2社、電子出版社1社の勤務を経て、2012年よりフリーのライター・編集者として活動。2014年より経済的に困難を抱える中学生を対象にした「無料塾」を立ち上げ、運営。

▼大西さんご執筆の最新刊はこちらです。


いつも「未来の仕事屋」のnoteをご覧いただいて、ありがとうございます。サポートは不要ですので、そのお金でどうぞ有料コンテンツをお楽しみください!