働き方を変えたみなさん、その結果をしっかり整理しておきましょう!
働き方改革が進められる今。みなさんの働き方には、何か変化が起こっているでしょうか? そもそも、どんなふうに改革されれば、みなさんはもっと豊かな働き方ができると思いますか?
このコーナーでは、「働き方」に関するさまざまな話題を取り上げて、「幸せな働き方って何だろう?」ということを考えていきたいと思っています。
■ウィズコロナの働き方のメリット・デメリットを整理しておこう
緊急事態宣言が出されてから早1カ月。この間に、「ウィズコロナ」「アフターコロナ」という言葉も頻繁に耳にするようになりました。新型コロナウイルスと共生する社会、収束後の社会はどうなっていくかという話が、あちらこちらで起きています。特にビジネスの分野では、今までの慣習をどう変えていくか、仕事のやり方を変えながらどう利益を出していくかが課題になっています。
多くの人はこの期間に働き方を大きく変えることになりました。大きなものは時差出勤やテレワークの導入です。ウィズコロナの社会であれば、これはしばらく続けなければなりません。では、アフターコロナではどうなるのでしょうか。またコロナ前のやり方に戻るのでしょうか。
働き方を変えてみてわかったことは、多々あると思います。私は、それをアフターコロナに活かすことが大切なのではないかと思います。そのためには、ウィズコロナが続く間に、新しくわかったことをしっかり整理しておくべきでしょう。
先日、サラリーマンの方々とオンライン飲み会をしたとき、そのうちの一人がこう言いました。
「みんな、うすうす気付いているんでしょ……? 実は仕事、一人で集中してやれば15時くらいには終わるって……」
会社にいたら夜遅くまでかかっていた仕事が、一人で黙々とこなせば昼過ぎには終わってしまう。これまでいかにムダな時間を使っていたかがわかった、というのです。こういう人もいると思います。
逆に、こんなことを言っている人もいます。
「会社で仕事をしてたほうがラクだった。ちょっと何か聞きたいときに、近くにいるチームの人にすぐ聞けたから。今はわざわざメールやチャットで聞いたり、ビデオ通話をつなげてもらったりしなければいけない。相手の手が空いているかどうかも見えないから気が引けてしまうし、もどかしい」
今まではすぐに誰かに相談して解決できていたことが、一人ひとり自宅にいる状態では時間がかかってしまうようになった、とのこと。
会社や部署によって、テレワークにすることのメリット・デメリットはそれぞれ違うと思いますが、上記の例は2つとも、すごくわかるような気がします。
■会社にいるからこそできたこと、ムダだったこと
先ほど紹介した2人の話は、「会社という場所だからこそ生まれるムダな時間、必要な時間」を考えさせられます。
テレワークが導入されることで、まずは通勤時間がなくなり、ムダな会議を省くようになったところも出てきています。ハンコを押してもらうためにあちらこちらの部署をかけまわったり、上司に呼び出されて長いアドバイス説教を聞かされたり、取引先につかまって雑談に時間を費やしたりすることもありません。
圧倒的に時間を効率的に使えるようになったという会社員は多いのではないでしょうか。ただ、こういう慣習を引きずっているがために、オンライン化したときに余計にムダな時間を使うようになってしまったという人たちもいます。
最近では上司のZoom飲み会の誘いがつらいという声も聞きますし、大した用件でもないのに、打ち合わせと称してやたらとオンラインミーティングをやりたがる人もいます。ハンコを押すためだけに出社させられる人もいます。
「サボっているんじゃないか?」と社員たちを見張りたい管理職たちのために、面倒なログイン手続きなどを何回も踏んで「働いていることを証明する時間」が割かれるようになったという人も。その慣習、いらないよね……というのが、どんどん明確化されていっているのが現状とも言えます。
一方で、対面でコミュニケーションをすることの重要性も、わかってきているのではないでしょうか。チャットやメールなど文字だけのやりとりでピリピリしたムードになってしまったり、すぐに聞きたいことがなかなか聞けなかったり。顔を見ながらすぐにコミュニケーションがとれる環境もまた、仕事を前に進めるためには重要です。
雑談から仕事のヒントや新しいアイデアが生まれることもありますし、他部署や他社の人たちと顔を合わせ言葉を交わして良好な関係を作ることが、後々役立つこともあります。オンラインでは、なかなか人脈を広げることも難しいですよね。
こうしたメリットやデメリットを整理して、「要るモノ」「要らないモノ」を選別しておくと、アフターコロナの働き方はコロナ以前よりも効率的かつ効果的になっていくはずです。
■取材はやっぱり対面がいいと実感してはいますが……
私の仕事は取材をしてモノを書いたり、編集をしたりすることですが、今は取材もすべてオンラインとなっています。
オンラインにすることで、いつもは忙しくてなかなか取材アポイントが取りづらいような人でも対応してもらえるようになったり、取材に出向くための時間や費用が省略できたりというメリットは感じています。
ただ、じっくり話を聞いてみたい人や、質問の内容や聞き方を繊細に注意しなければならない相手の場合には、やはり対面でやりたいと思います。オンラインと対面とでは、相手から引き出せる内容が多少違うような気がしますから、取材に関してはやはり対面で行うのがベストです。
一方、いつもは各社に出向いて打ち合わせをすることもありますが、こちらは内容的にはオンラインでも十分だなということがほとんどです。ただ、関係を保つために(継続的に仕事をさせていただくために)、会っておきたい人たちもたくさん。ただの「出入りの業者」ではなく、人として見てもらうことはとても大切ですから。
今のところ、私の仕事はすべてオンラインに置き換えることができていますが、オンラインに置き換えてみたからこそ、アフターコロナの頃には場面に応じて使い分けていくことができるようになるんだろうなと思います。
今ここで、オンラインに置き換えられることを「何が何でも現場!」と頑なに旧スタイルを守っていたり、チャレンジもせずに「よくわからないから今までどおりで……」と出社していたりする人たちは、本当にもったいないと思います(さすがに4月後半以降はあまり見かけなくなってきましたが)。
オンラインにすべて切り替えることがよいのではなく、そのメリットもデメリットも実際にやることで理解し、よりよい仕事のやり方ができるようになるわけですから。
今は、次のステップに向けて仕事のやり方を模索する時期。どんどん行動を変えて、その結果をしっかり整理しておきたいですね。
大西桃子
1980年生まれ。出版社2社、電子出版社1社の勤務を経て、2012年よりフリーのライター・編集者として活動。2014年より経済的に困難を抱える中学生を対象にした「無料塾」を立ち上げ、運営。
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