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今が、変えるチャンス!やってみたら、案外カンタンだったという話

働き方改革が進められる今。みなさんの働き方には、何か変化が起こっているでしょうか? そもそも、どんなふうに改革されれば、みなさんはもっと豊かな働き方ができると思いますか?

このコーナーでは、「働き方」に関するさまざまな話題を取り上げて、「幸せな働き方って何だろう?」ということを考えていきたいと思っています。

■テレワーク人口はたったの5.6%!

厚生労働省がLINEを通じて3月31日~4月1日に実施した、第1回「新型コロナ対策のための全国調査」の結果が、先日公表されました。回答者は2453万人、すごい母数になっていました。

この結果で意外だったのが、「仕事はテレワークにしている」と回答した人は5.6%だったこと。これだけ巷ではテレワーク、テレワークと言われていて、実施していたのは20人に1人。

でも、実際はそれくらいなのかもしれません。世の中に数々ある仕事を思い浮かべてみても、デスクワークで、そこにいなくても作業ができる仕事というのは20種類のうち1つくらいなのかも……。

私の周りでは、主にIT関係の人を中心に3月からテレワークが始まっていました。でも、各企業の営業、総務、経理といった人たちは「会社の印鑑がいるものや、会社のシステムに入らなければ作業ができないものがあって、どうしても出社しないと仕事ができない」と言っていたり、飲食や小売業は現場に行かざるを得なかったり、さらにフリーランスのクリエイターたちは基本的に弱い立場にあるため、「イヤでも現場に呼び出されたら行くしかない」という状態でした。

どうしても出社や外出をしなければいけない仕事というのは、本当にたくさんあります。でもその中で、本当はテレワークで済む仕事を、「なんだかややこしそうだから」「よくわからないから」と言って、部下たちを現場に来させるような上司たちがいたのも事実です。

直接顔を合わせて話さないと、細かいニュアンスが伝わらないことはあります。でも今そのちょっとした伝わらなさと、感染リスクと、天秤にかけたらどちらをとるべきなのでしょうか。

初めて話す相手だから、直接顔を合わせたほうがいいというのもわかります。でも、初対面で相手がどういう人かよくわからず、「この人ウイルスをもっているかも」という不安を抱えたまま会うのもどうなのでしょう。

今の優先順位はどちらなのか、よく考えるべきだと思います。

でも、「何だか、テレワークって面倒臭そう。大変そう」という気持ちはよくわかります。私もそうだったので……。いちいち相手に合わせてチャットツールやビデオ会議アプリを使い分けるために、いろいろ入れなくてはいけないし、慣れないうちはどこを触ったらどうなるかも手探りだし。面倒と言えば面倒ではありました。

実際、ビデオ通話と直接対面で話すのと、どちらが話しやすいかと言ったら、もちろん直接のほうです。それでも、今はやっぱり、現場に必ずしも行かなくて済むのならテレワークにすべきだと思います。

だって、やってみたら数日で慣れるし、思ったよりもめちゃくちゃカンタンだからです。

■オンライン授業、やってみたら超カンタンでした

私の無料塾は、今すべての生徒をオンライン指導に切り替えました。「できるだけ対面でやりたい」という気持ちはあったのですが、リスクを考えたら切り替えざるを得ないと思い、覚悟を決めました。覚悟を決めたところからは、ものすごく早く物事が進みました。

まず新しくやるべきことは、生徒やボランティアのスタッフが、どのツールを使えるのか聞き取って、マンツーマンでオンライン指導をする際のマッチングをするということでした。

多くの生徒はLINEは知っているけれど他は知らない、あるいはお母さんのスマホや古いPCを使ってネットは繋げられるけれど、SNSは使っていないという状態でした。

この状態から、LINEビデオ通話ならカンタンですがSkypeやZoomに誘導するのはハードルが高いかもしれない……。そう思っていたのですが、やってみたら彼らはものの数分で使いこなしました。

「こういうアプリを入れておいて」

ほとんどこれだけで、話が成立していきました。

とにかく何らかの方法でメッセージのやりとりができて、ビデオ通話さえ繋がれば、何とか指導ができる環境になるのですが、ここまでたどり着くのはあっという間でした。

指導は休日だけでなく平日の夜などにも行われるのですが、すべての指導に私がいつでも参加できるように、会議URLやIDを送ってもらうか、通話グループに入れてもらうようにしています。これで「おっ、始まっているな」とわかるし、ときどきひょいと様子を覗きに行くこともできます。

ここまで、めちゃくちゃカンタンなことなのですが、やるまでは「何だかややこしそう」と思っていました。オンライン飲み会は何度か経験があっても、生徒とスタッフのペアを何組も作って、一斉に指導してもらう仕組みを作るのは難しいのではないか。その指導すべてを管理していくのは、ハードルが高すぎるのではないか。……と思っていたのですが、やってみたら何とかなりました。

■未知のものに抵抗を感じたら年老いた証拠

年を重ねていくと、「まったく未経験なこと」にチャレンジをすることは少なくなってきます。だいたいの新しい物事は、同じようなことをすでに経験していたり、具体的にイメージができたりするものです。

だから思うに、まったく未経験なことにチャレンジするという感覚を、歳をとると私たちは忘れていくのかもしれません。子どもは未経験なことばかりなので、すぐに「やってみよう」となっても、大人は「わからないし、失敗したらどうしよう」「わからなくて迷惑をかけたらイヤだな」「できなかったら恥ずかしい」という気持ちのほうが上回ってしまって、挑戦を避けるようになります。

今までのルーティンで回せてきたのに、新しいことをやって話がややこしくなったらイヤだ。こうやって未知なるものを避けるのも、歳をとった証拠なのでしょうね。この抵抗感を感じるようになったら、ヤバイかも……と今自分を省みながら思っています。

やってみたら本当にカンタンなことだったのに、どうしてこんなにハードルが高いように感じていたのか。その「イヤだなぁ」という意識こそが、一番のハードルだったのではないか。そんなふうに思います。

やってみて、うまくいかなかったら元に戻すなり、また違う方法を考えればいい。そんなふうに能動的に、柔軟に、物事を考えることをしていかないと、やっぱり老いていくばかりですね。

ですから、今、テレワークができそうだけれど「何だか難しそう」「抵抗感がある」と感じるがゆえに、部下たちを出社させている上司さんたち! 一回試してみてください。「わからなかったらどうしよう」ではなく、わからなかったらわかる人に聞けば、テレワークの操作くらいは瞬時に解決できます。聞かずにずっと出社にこだわり続けるほうが、もはや恥ずかしい状況になっています。

やってみて、やっぱり現場が一番だと思ったら、この危機的状況が回避されたときにもとに戻しましょう。

どう考えても多くの人が生きるために必要な仕事で、どうしても出社しなくてはいけない人たちが、世の中にはたくさんいます。そういう人たちの感染リスクを少しでも減らすために、「テレワークできなくもない」という仕事はすぐに切り替えてください。本当に、お願いします。


大西桃子
1980年生まれ。出版社2社、電子出版社1社の勤務を経て、2012年よりフリーのライター・編集者として活動。2014年より経済的に困難を抱える中学生を対象にした「無料塾」を立ち上げ、運営。

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