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一人一人が幸せになるために

働き方改革が進められる今。みなさんの働き方には、何か変化が起こっているでしょうか? そもそも、どんなふうに改革されれば、みなさんはもっと豊かな働き方ができると思いますか?

このコーナーでは、「働き方」に関するさまざまな話題を取り上げて、「幸せな働き方って何だろう?」ということを考えていきたいと思っています。

■多様化する「働き方」

「安定した大きな企業に正社員で入って、定年まで働くのが幸せ」といった、旧来の考え方が通用しなくなってきた時代です。働き方は多様化し、正社員が必ずしも幸せな働き方なのかと言ったら、そうとも言えなくなってきています。年功序列で、長く働けば給料やポストが必ず上昇するというのも、もはやひと昔前の話。そもそも、いくら大企業でも「安定」なんて言葉はもう当てはまらなくなってきています。

一寸先が見えないのが、今の日本社会。その中で、私たちはどう働いていくのが幸せなのでしょうか。

■私の自己紹介 〜フリーランスのライターとして〜

冒頭で「働き方改革」の話を出しましたが、ここで自己紹介をさせていただきます。私は、「働き方改革」にほとんど影響を受けない、フリーランスのライター・編集者です。もともとは出版社で働いていたので、正社員経験もあるのですが、今は正社員時代とは違って、朝も夜も関係なく、仕事が詰まっていれば睡眠時間を削って働き続け、なければのんびり散歩に出かけたりもできます。休みをいつとるかも、自分で決められます。

会社員の友人たちには「自由でいいなぁ」なんて言われます。そのとおりで、自由度はかなり高いです。ただ、厳しいスケジュールの仕事を受注してしまったり、仕事量が多かったりすると、自由は吹き飛びます。24時間ぶっ続けで働く、なんてこともしばしば起こります。コントロールがうまくできないと、「一人ブラック企業」のようになってしまうので注意が必要です。

それから、「仕事をしていないと不安」症候群になってしまうのもフリーランスあるあるです。「仕事がある=収入がある」となりますが、少しでも仕事が途切れてしまうと「もう食べていけないのでは!」「二度と仕事がこなかったらどうしよう!」という不安に襲われてしまうのです。そのため、仕事を過剰に受けすぎてしまう。そんなフリーランスの人は多いと思います。

会社員のときには、月給がいただける安心感もあって、「今月はあんまり仕事がないといいなぁ」なんて思うこともありましたが、フリーになってからは一度もそんな気持ちになったことがありません。そんなわけで、「自由に休みを決められる」と書きましたが、私は「休みをとらないという自由」を選択しがちになってしまいます。

フリーランスにも「働き方改革」は必要だと思いますが、個人の裁量でどのようにも選択ができることや、収支バランス、受注先との関係性などによって、そう簡単にはいきません。フリーランスの働き方については、また今度ゆっくり触れてみたいと思っています。

■私の自己紹介 〜無料塾代表として〜

そんな仕事の傍ら、私は中学生向けの学習支援団体も運営しています。経済的に苦しいご家庭の中学生を対象にした無料の塾で、週に1回、たくさんのボランティアさんに集まっていただいて、子どもたちに勉強を教えているのです。

生徒は母子家庭が7〜8割で、そのお母さんたちの多くは非正規雇用で働いています。また、働くことができず生活保護を受けている方もいます。

こうした状況を見るにつけ、女性の働き方の難しさというのを強く感じます。子育てが一段落しても、キャリアの積み重ねがないことから希望の職業にはつけない人。子どもを育てるために派遣やアルバイトの仕事をかけもちして忙しく働き、正社員として就職したくてもその準備をする時間がもてない人。子育てをしながら働ける職場がなく、やむなく時給で働く仕事を選択している人。

「女性の活躍を!」と政府は声高に言いますが、社会のほうに女性が活躍できるような環境が整っているとは言えないのが現状だと感じます。政府に対してはここにも、しっかり改革のメスを入れてもらいたいと思います。

そして、そういう苦しい思いをしているお母さんたちに対して、「自分が好きで子どもを産んだんだろう」「子どものために我慢するのは当たり前だ」というように、冷たい声を浴びせる人がまだ多くいるというのも、この国の現実です。改革が必要なのは、私たちのメンタルも同じではないでしょうか。

■一人一人が幸せになるために

今回は自己紹介がてら、フリーランスという働き方、また子育てをするお母さんたちの働き方について触れてみましたが、今の日本の「働く現場」では、いたるところに構造的な不具合、また壊さなくてはならない既成概念というのが存在しています。

正社員は正社員で、その環境によって苦しい思いをしている方が多くいます。どんな立場の人をとってみても、「もっとこうなったらいいのに」という問題点はいくらでも挙げられると思います。

でも、不満を言っているだけでは何も変わりません。その構造にどんな問題があるのか。私たちが作り上げる社会全体の考え方がどのように変われば、もっとみんなが幸せになれるのか。さらに、私たち一人一人が、幸せになるためにどんなふうに働くことをとらえていく必要があるのか。

そんなことを、本コーナーでは考えていければと思っています。どうぞよろしくお願い致します。


大西桃子
1980年生まれ。出版社2社、電子出版社1社の勤務を経て、2012年よりフリーのライター・編集者として活動。2014年より経済的に困難を抱える中学生を対象にした「無料塾」を立ち上げ、運営。

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