第二種電気工事士の技能試験対策

第二種電気工事士の技能試験があと一週間を切りましたが、試験を受けられる方々いかがお過ごしでしょうか。学科は自分一人で学べる自信がありましたが、技能は先達から学ぶのが一番。ということで試験前二週間の月曜日26日からパナソニックエコソリューションズの開催する3泊4日の合宿に行ってきましたのでレポートしておきます。

一言で言うと行って良かったです。知識経験ゼロの状態から、これで試験は大丈夫!と思えるまでの自信がつきました。講義では覚えやすい方法を教えるのですが、個別の指導では、こんなやり方もあるよ、と別の方法やコツを柔軟に教えてくださったのがとても良かったです。自分にはどの方法が作業を正確に速くできるかを試しながら練習することができました。また毎回作業の結果を丁寧に見てくださって、自分ではなかなか気がつかないようなミスや改善ポイントを教えてもらえました。何度も練習を繰り返すことができて、作業を落ち着いて、素早く、正確に行えるようになりました。技能試験は40分なのですが、落ち着いてやっても25分程度で課題を完成できるようになりました。これなら見直す時間も十分ありますし、ミスをしても十分にリカバーできます。

合宿形式で良いなと思ったのは、授業時間自体は9時から5時半までなのですが、その後食事を挟んで夜遅くまで先生方が練習や質問に付き合ってくださったこと。練習に専念できる時間をブロックで確保するために合宿にしたというのもあって、とてもありがたかったです。

ちなみに、このパナソニックエコソリューションズという会社はパナソニックグループの研修を受け持っているようで、同じ建物で色々な研修が行われていました。海外出張前のカンヅメ集中語学研修とかあるそうです。3日目にはショールーム課の合宿研修が始まって、場が一気に華やかになりましたよ。残念ながらお知り合いになるチャンスはありませんでしたが :)

お堅い会社の研修所だけあって?授業が、起立、礼、とずいぶん懐かしい作法で始まるのもなかなか趣があって良かったです。

この4日間で私が学んだことのうち、自分にとって特に大きかったポイントを書いておきます。

寸法の測り方
技能試験中の作業で何が多いかというと寸法の測定がダントツに多いです。器具や接続方法によって適切な長さで電線を剥く必要があり、また指定の長さで器具と器具の間を空けなくてはなりません。測って剥く、測って切る、測って加工、の繰り返し。講習中に一番進化したのは寸法の測り方です。

最初は定規を手で持って測っていたのですが、ツールとケーブルと定規を持ち替えるのがとても面倒。途中でハタと気がついて、これをテープで机の手前に貼り付けたら作業が楽で効率的になりました。テープメジャーなら定規より薄くてさらに良さそうです。と思って調べたら、なんと、定規模様のマスキングテープを発見! いくつかありましたが mt の MTEX1P97 がよく使う 5 cm、10 cm の位置がよく分かって良さそう。即ポチ。

最初はいちいち定規で測っていたのですが、それほど正確である必要のない場所が多いので、それらを自分の手の寸法で測る練習をしたら全体の工程が劇的と言えるほど早くなりました。私の場合、2 cmが親指横幅、3 cm が指先二本、4 cm は指先三本ぎゅっと縮めて、5 cm は指三本の第一関節の少し下、親指揃えて手を握って 10 cm、親指を突き出して 15 cm、小指も広げて 20 cm。2 cm 以下の電線剥きは正確さが必要なので、VVF ストリッパーについている目盛りでミリ単位で測ります。結局定規で測るのは 25 cm か、たまに手で正確に測れているかのキャリブレーション、作業全体で数回以下になりました。

寸法を正確にすると調整のための切り戻しも必要なくなるし、仕上がりが綺麗になるので、正確さは大切。

ところで必要工具の一つとされる巻尺。定規でカバーできない長さを測る必要があるのは試験開始前、配られたケーブルの長さが正しいかチェックをする時だけ。しかし座席に座ったまま伸ばすと隣の人にぶつかってしまうので使いにくく、結局工具箱に入れっぱなしで全く使いませんでした。長いケーブルと言ってもせいぜい 1.5 m なので、定規の単位で緩く畳めば OK。

エア複線図
実技試験は配線図で指示された電気回路を作るのですが、配線図は例えばスイッチから電灯まで線一本で書いてあります。実際にはもちろん1本ではなくて2本の電線が通っています。この単純なケースは2本で済みますが、複数のライトと複数のスイッチが絡むと一挙に複雑になって一箇所に何本もの電線が通ることになります。一本線で書いてある配線図をこのような個々の電線の行き来に置き換えないと実際の配線をすることができません。これを図にしたものが複線図です。複線図自体は提出物ではないのですが、これができないと先に進めないので何度も練習します。これが結構難しいらしく、複線図書きが実技試験の最初の難関です。

ただ、複線図をきっちり書いていると40分の試験時間のうちの貴重な数分を取られてしまいます。私はこの複線図書きが得意なので、先生がもう書かなくてもやれるんじゃないか?と言われるので試したら、アッサリ成功。最終日には課題を見ただけで、使う電線の色まで頭の中に描くことができるようになりました。頭の中に入っているので作業も却って早くなって、複線図を書く時間の数分+αを短縮できました。

複線図を書くには4色ボールペンが便利です。まず緑で接地側の線を負荷まで書く。黒で電圧側の線をスイッチまで書く。青でスイッチと負荷をつなぐ。赤で重要な条件などをメモ。

便利なツール
VVF ケーブルストリッパー HOZAN P-958
これは非常に優れもの。ほとんどのケーブル作業はこれ一つ。私は HOZAN のを買いましたが他の人の使っていた MCC VS-4A も良さそうでした。MARVEL MVA-2016 は被覆剥きが一本づつしかできないし、途中でバネが飛んでしまう問題が発生した人がいたので、これは避けた方が良いと思います。試験途中にツールが壊れるなんて悪夢です。

このような手動ストリッパー以外に、自動の VVF ストリッパーもあります。ガッチャン、と音を立てるやつ。私は両方持って行きましたが、寸法の取りやすさ、ペンチの代わりにもなる効率の良さ、切り口の綺麗さ、軽さ、から結局手動のものを使いました。本職はほぼガッチャンのようですが、試験というゲームの場ではこちらの方が良いと思いました。ただ、クラスにはガッチャンストリッパー使いもおられて、素早く仕上げておられましたので、好みと慣れの問題でしょう。

ちなみに VVR 丸ケーブルはこれらのツールで剥ぐことはできません。VVF ケーブルストリッパーやペンチで傷をつけないようにそっとやることもできるのですが、私は電工ナイフを使う方法を練習しました。最初に外装の全周に軽めに刃を入れてから、そこでケーブルを折り曲げながら残りをそっと切って、最後に外装を回しながら引き抜くと、中の電線の被覆を傷つけずに剥くことができます。もっと楽をしたいなら VVR ケーブルに使えるストリッパー(DENSAN ND-800S など)を購入してもいいかもしれません。

圧着工具
私は手が小さいので圧着工具はよくセットなどに入っている HOZAN P-77 ではなく、小さくて軽い P-737 を買いました。取り回ししやすくて大成功。ハンドルが短いので中サイズのリングスリーブの圧着に力が要りますが可能な範囲内。

HOZAN 合格マルチツール DK-200
恥ずかしくなるような名前だけれど便利。こんなに小さくて薄いツールなのに、差し込みコネクタから線を外す、コンセントなどを枠に取り付ける、ロックナットや絶縁ブッシュを固定する、金属管のネジをねじ切る、などなどさまざまに活躍します。そのおかげで、そもそもあまり使わないマイナスドライバー、ペンチ、プライヤーが不要になって(念のためバッグに入れておきますが)机の上がスッキリします。

テープメジャーか定規模様付きマスキングテープ(MTEX1P97)
これを机に貼り付ける!

マーキングペン
施工条件の重要な点、とくに接続が差し込みコネクタかリングスリーブかの点に線を引いておきます。

出番の少ない道具
巻尺
前に書いたように巻尺は「全く」使いませんでした。

マイナスドライバ
ネジ締めの必要な箇所は全てプラスドライバーが使えるので、マイナスドライバーの出番はスイッチやコンセントなどを枠に取り付ける時のみ。かつ、それは DK-200 で代用可能。工具バッグの中で待機要員。

ペンチ
ペンチはアウトレットボックスに接続する金属管のネジのねじ切りにしか使いませんでした。他のペンチでの作業(ケーブル切断、輪作り、差し込み端子の剥ぎ取り寸法 12 mm の測定、など)は VVF ケーブルストリッパー(HOZAN P-958 or MCC VS-4A)で可能でかつ持ち替えが不要なのでより素早くできました。ネジのねじ切りも DK-200 で力は要りますが可能なので、ペンチもバッグの中で待機。

プライヤー
アウトレットボックスのロックナットや絶縁ブッシングを締める際にしか使いません。かつ、これも DK-200 で可能。プライヤーも待機要員。

以上です。みんな合格しますように。

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