シリーズ・留学を考える [13] - 自分で考える態度を身に着ける

留学生たちには、留学生活を通して、自分で考える態度を身に着けてほしいと思っている。

インターネットが普及したころから、時代はそして社会は急速に急激に変わってきている。使う道具が変わり、コミュニケーションができる範囲が変わり、普段の生活が変わって、それぞれの人の行動も変わっている。数年前には考えられなかった世の中になっていることに誰もが気づく。

だから、一年前に誰かが言っていたことをそのまま実行しても、うまく行かないことも出てくる。その時はその人はそう言っていたし、自分もその時はそう思っていたけれど、時間が経てばそのやり方が合わなくなってくる。

こんな時代には、人がどう言おうが、まずは自分で考えてみる態度が求められるだろう。

また、今日と同じ明日が来るとは限らないことは、もう世界中の人が実感として理解しているだろう。昨年の今ころ、こんな世の中になっていると誰が予想していただろうか?夏でもみんなマスクをして、ずっと三密を避け、多くの人が集まる場所には行けず、イベントも開催されず、オリンピックも延期になり、海外にも行けない。もし、1年前にそんな世の中になるよと言う人がいたら、何を言っているんだこの人は、とみんな思っただろう。でも、実際にそうなっている。

この数か月、世界中の人たちが、どうすればいいのかわからず、手探りでできる限りのことをしている。正解は何なのか、どうすれば一番うまく行くのか、誰もわからない。いろんな人がいろんな違うことを、さも正しいことのように言うし、人によって場所によってやることも違う。

だから、まずはいろんな情報を自分で集めて、そして自分で考えないと、生きていけない世の中にすでになっているのだ。

自分で考える態度を身に着けるためには、「みんなと同じことをやっていればそれでいい」「誰かの言うことに何も考えずに従っていれば安心だ」という態度をやめる必要がある。どんなときでも、周囲の人の言うことも参考にしながらも、最後は自分で考えて、そして自分で判断して、行動する。そんな態度を基本にすることが大切だ。

そうなるためには、「私の言うことを聞いていればいいんです」「周囲の人のやっていることを見て動きなさい」などと常に言われる環境では、難しいだろう。自分で考えようとしてもそれを否定されるのであれば、あるいは、自分で考えないことを強く求められる環境であれば、自分で考える態度を身に着けることが難しいのは明らかだ。

だから、自分で考える態度を身に着けたいと思うなら、今いる環境を変えてみるのも一つの方法だ。自分で考えることを受け入れてくれる環境、自分で考えることがあたりまえのように求められる環境。そんなところに身を置くことで、毎日の生活の中で、自分で考える態度を身に着けていく。

ニュージーランドでは、「あなたはどう考えるのか?」「あなたはどうしたいのか?」が日本よりも強く求められる社会だ。そして、「私はこう考える」「私はこうしたい」と言えば、それを周囲が受け入れようとしてくれる社会でもある。

そんな社会で毎日暮らしていると、どうしても自分で考えざるを得なくなる。そして自分で考えた後に、自分で判断して、それをもとに行動するようになる。

留学は経験だと以前に書いたけれど、留学での経験を通して、自分で考える態度を身に着け、そして自分で判断して、行動できるようになっていくのだ。

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