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特別配慮つきで資格試験を受ける方法

この記事で話すこと:
PSIAWSの資格試験を受けた際に特別配慮を申し込んだ話をします。

この記事で話さないこと:
AWS資格試験対策の内容については、話しません。他にたくさんある情報をご参照ください。

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受験の季節ですね。
これを読んでいるみなさんは最近試験を受けましたか?

試験って、カンニング防止のため、机の上には紙しか置いちゃゃいけないとか、消しゴムはこういうのじゃないとダメ、とかいろいろ制約がありますよね。
これはコンピューター上で行う試験でも同じで、大抵監視官がいて、座り方がおかしかったり、両手が机に乗っていないと監視官に注意されたりします。
でも、そもそも手足に怪我をしていたり、腰痛だったりしたらまっすぐに座れなかったりします。視力の状態によっては、画面によらないといけないかもしれません。

多くのコンピュータによる資格試験を提供するPSIでは、五体満足ではなくても試験が受けられるよう、「特別配慮」を申請できます。PSIは米国の法人で、米国ではAmerican with Disability Actにより、身体条件により差別をすることを禁止されています。そのため、試験会場での特別配慮を提供する必要があります。PSIは米国以外にも試験会場がありますので、米国人ではなくてもこのルールにのっとって試験が提供されています。

特別配慮。具体的には?

例えば肩の調子が悪いので両手を机の上に置けないです、不正を行うつもりはありませんが、左手は膝に置きます、などです。
例えば「認知に問題があるため他の人より倍の時間が必要」という条件もあります。勿論、医師の診断書が必要です

どのような特別配慮を申し込めるか

では、どのような特別配慮を試験に適用できるのでしょうか。かなり多くのバラエティがあります。下記は申込ページからの一部引用です。

・3M 製ジョイスティックの使用
・4Dの手持ちマウスの使用
・500ポンド(約250kg)の体重を支えられる椅子
・手すりの付いた特別な椅子
・高さの調節できる机
・糖尿病の受験者が必要な医療品(インシュリンなど)
・受験者が持ちこむ食物や飲み物
・個人に使用される防具
・大きな文字のキーボード
・非英語話者が英語受験のため30分延長
・垂直型のマウス(Evolution製)
・1.5倍の長い受験時間
・2倍の長い受験時間
・足で操作するマウス
・手首をサポートできるジェルクッションのマウス
・頭で操作するマウス
・Intellikeyキーボード(いろいろカスタマイズできる)
・ノイズキャンセリングのヘッドホン
・左手用マウス
・読み上げ用機器
・声を出して読み上げるための個室
・録音機器
・スクリーン拡大機能
・タッチパッド付のマウス
・トラックボール
・辞書の持ち込み

私が申し込んだ特別配慮

2020年末、公園で足を骨折しました。ギブスでがちがちに右足が固められ、松葉杖で移動していました。医者からは常に足を高いところに上げておくように、と言われていました。
そのため、リモートワークでは足台用の椅子を使用していました。

診断当時、私は2週間後にAWS Certified Solution Architect Professionalの試験を予約していました。ということは、試験会場でも足をあげておくための椅子が必要になります。

なので、一つ椅子を多く用意してください、また松葉杖での入場を特別配慮として申し込むことにしました。
家でも受験できるのですが、家族や犬が同居しているため、3時間集中して静かな時間を確保することが難しいです。松葉杖で試験会場まで移動することにしました。(無理そうなら車で送ってもらう予定でしたが、幸いこれは必要ありませんでした)

特別配慮の申し込み

どうやら米国外からの申し込みはあまり頻繁に起こらない模様で、最終的に試験を受けるまでに結構苦心しました。他の方が同じところではまらないよう、下記に重要な点をあげます。

1.医師の診断書が必要

特別配慮の申し込み時に、医師の診断書をアップロードする必要があります。診断内容はお医者さんにお願いして、病状や怪我の名だけでも英語で書いておくと良いです。私は3千円くらい払いました。

2.申し込み順に気を付ける

試験の申し込み前に特別配慮を申し込む必要があります。つまり、すでに予約されている試験はいったんキャンセルする必要があります。
試験をキャンセルしたら、特別配慮の申し込みをします。これはWeb上でできます。サポートチケットベースでこれはメールで英語でのやり取りになります。
特別配慮がApproved(許可)の連絡が来たら、試験の予約ができるようになります。

3.Webでの予約ができなくなる

これが一番痛かったです。電話で試験日を予約します。というのは、クレジットカードで支払いがネックになるからです。

PSIでは、特別配慮つきで試験を行う際に、Web上でのクレカ支払いの方法を用意していません。
これPSIのサポートの方も意識していなかったようで、最初、PSIのサポートの方にメールで希望する日にちを教えて、と言われて送りました。日にちを抑えた後、同じPSIのサポートから「支払いが必要なので暗号化されたEmailでクレジットカードの情報送って」と連絡が来ました。そのため「どういう暗号化をすればいいですか?そちらはどのような手段で読むつもりですか?」と返答しました。
しかし残念ながら、「よくわからない。上司からそう言われただけなの。ごめんなさい。」と返ってきました。あーはいはい。電話かけます。

米国番号からのFree Dial: +1 -800-367-1565, Ext. 6750
日本からの Free Dial: 0066-33-821815 (Japan IDC Softbank) 

以下に心が折れそうになりそうな箇所を挙げます。

・電話を取ってくれるまですごく時間がかかりますし、全部話をした後に、私にはできない、と転送されることもあります。そこでもう一度全部話さないといけません。私は全て終えるまでに2.5時間くらいかかりました。Candidate IDや現住所、受けたい試験会場の住所、クレカ番号はコピペツールか何かに控えてもっておくと少し楽になりますよ。

・日本からかけても結局米国に転送されるので、米国西海岸時間になります。日本時間の夜10時~朝7時の間に電話をかける必要があります。

・試験日時の予約、クレカ情報を口頭で伝えるというった会話はすべて英語になります。

だいたい痛み止めとか足ガチガチギブスとか、日常生活も辛いのにそんな状態で2時間半の電話はさらにツライです。しかも試験勉強中です。
ツラすぎる!つらかったので、もう一度言います。PSIでは、特別配慮つきで試験を行う際に、Web上でのクレカ支払いの方法を用意していません。電話をかける必要があります。

4.特別配慮のキャンセル

結構時間がたってしまい、骨折も少し良くなってきたころ、試験を受けました。ギブスはとれていたので松葉杖ではなく、2本の杖で支えつつの歩行で試験会場まで行きました。幸い受かったため、次の試験を予約しようとしました。

しかし、特別措置つきの試験はもう次は必要なさそうなので、特別処置の考慮はキャンセルをします。

これ、PSIのサポート用チャットで連絡したのですが、また電話をかけるように指示されました。

なので、前回電話かけたときに凄く時間がかかったため、メールでキャンセルできないのか?とごねました。これは申込がメールでできたし、クレカ関係ないのでキャンセルで電話をかけるのはおかしいと判断したからです。
ごねたら、特別配慮チームへのチケットを切ってもらえました。5 営業日以内に連絡がもらえる、とのことです。いまココ。

5.結論

PSIによる資格試験は心身健常でなくても受けることはできます。制度上は。

ただし、申し込みプロセスは、心身健常ではない個人が完走することが大変難しいものです。心身状態が芳しくないだけでも大変なのに、その状態の上にさらに複雑なプロセスを踏む必要があります。心身健常者ではない個人が申し込むようにプロセスが整備されていないように見受けられます。
なので、私は改善を求めるフィードバックをしました。

心身健常者ではなくても、試験を受けて受かってキャリアを前進させることができる世の中になりますように。

6.おまけ。松葉杖ハック

一か月ちょっと松葉杖生活で、役に立ったハニカムクッションの話をおまけにつけておきます。

足の骨を折らないことが第一ですが、もし折ってしまったらお役に立てれば幸いです。