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【詩】やがて還ってゆくもの

すべての感覚が研ぎ澄まされてゆく。
誰のものかも判然としないいくつもの声たちが容赦なく突き刺さってくる。
痛くて、どうしようもなく痛くて、その感覚はどんどん麻痺してゆく。
悲しい言葉を口にしたくない。
けれど、口にせずにはいられない。
私にはもう、この場所にいる意味を見いだせない。

予感を胸に秘めていれば、不思議と私は立っていられた。
散りゆくさだめとわかっていれば、
そして、その去り際を自分で決められるのなら、
少しは気持ちも楽になった。
とどまるのも散っていくのも隣り合わせで、それはまたどちらを選んでもいいということでもある。選ぶのは自由だ。

窓の外、木々は風に揺らされて、
一枚ずつはらりはらりとくすんだその葉が散ってゆく。
その光景はさみしくもあり、けれどどこか安堵を与えてくれるものでもあった。
どんなことにもやがて終わりがくる。
遅いか早いかの違いだけだ。
散りゆく葉はやがて土に還る。
私もそうやって、いつかゆっくりと自然に還ってゆくのだろう。
それがいつになるのか、選ぶのは私自身。
とても自由なこと。

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