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大英帝国のスパイ説

(2015.7.15)医者の診察順番待ち時間を埋めるのに,イザベラ・バードの「中国奥地紀行」を読み始める。2002年に平凡社東洋文庫から発刊された訳書の文庫版。

「中国奥地紀行」の第一章は序論であり,ここでは見聞したことから既に結論が導き出されている。曰く,「・・わが西洋文明が対面しているのが,野蛮さとか堕落した道徳観ではなく洗練された古代以来の文明であるということである。・・」

しかし,バードは別のところではこうも言っている。「中国人には・・”良心”の欠如や,正義を支持し悪をとがめるような啓発的な考え方が社会に欠けている・・」

シンクタンクの書いたレポートや,外交官がまとめた報告書みたいだ。「日本奥地紀行」(特に前半部分)を見たときは,好事家が興味本位で出かけた旅行の手記だという印象を拭えなかったが,ここではもう一個人の視点を超越している。・・イザベラ・バード=大英帝国のスパイ説に一票。

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