渡り鳥を見送る人々

セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Ottilia Lovisa Lagerlöfが書いた学校教育向け読本「ニルスのふしぎな旅」では、(地中海沿岸から?やってきて)スウェーデンのスコーネ地方からラプランドの繁殖地へ向かうハイイロガンたちの旅が生き生きと描かれている。
著者はよほど渡り鳥が好きだったんだろうなと思う。

私は子供の頃に読んだこの本(訳本)で、エーランド島あたりで群れが嵐に遭いもみくちゃにされる場面とか、翼を休める湖沼に干拓が予定されていたというエピソード、最後の場面でスウェーデンの海岸から南へ向かってバルト海を越えていく渡り鳥たちの描写とかを、今でもよく覚えている。

「ニルスの不思議な旅」が書かれた時代からは110年以上経っているけど、今も同じように渡り鳥の群れはバルト海を横断し、北へ南へと移動している。

それを仰ぎ見る人々もまた世代を越えて、古と同じように往く鳥たちを見送っているのだろう。
(2023.1.15)

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