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MDBA考

某会社が街路樹を枯らすのに使った「除草王」について調べたら、成分はMDBA(合成オーキシン)とグリホサートのカリウム塩だった。

各成分の弱点を補う混合剤であり、これは確かに現在最強の除草剤かもしれない。
農薬取締法上、「公園、庭園、堤とう、駐車場、道路、運動場、宅地、のり面、鉄道等」にしか使えないので注意喚起(2023年7月現在)。

その一成分であるMDBAは、北米で物議を醸している除草剤「ジカンバ」の主成分なのか。

私は「クズコロン液剤」でMDBAを使ったことがあるけれど、非常に強力な除草剤だった。
人間への影響は少ないと確かめられてはいるようだが、あれを農地に大面積で使うなんて、信じられない。

グリホサートのように土壌粒子に吸着後、分解されたりはしないのでは?
降雨とともに移動して、広い範囲へ影響を及ぼしそうだ。

(グリホサートが地面に落ちると土壌粒子に吸着されて不活化し、その後土壌微生物に分解されるというのも、元論文を見て納得したわけというわけではない。でも、使用したときの実経験に照らし合わせて矛盾するものではないから、当該の説明を受容している。)

本邦では非農耕地にしか使えないような農薬登録になっているけれど、そのままで止めておいて欲しい。

それにしても、農地に隣接した場所ではトラブルの元になりそうだ。

第17回の環境省中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(H21.8.21)で配布された資料に、MDBAの土壌残留性に関する調査結果があった。

フィールドでの推定半減期については最小1日から最大25日と幅が大きかったけれど、沖積土壌の埴壌土で約1~4日、火山灰土の埴土で約7~25日だったという。
https://env.go.jp/content/900541134.pdf

同じく環境省の「水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料」には、MDBA関連商品の成分について、環境中予測濃度の試算が出ている。

ここでは、北米で問題になっているというMDBAの揮発性に関する記載はない。

化合物としての蒸気圧は1.666×10⁻³Paというけれど、これがどの程度の値なのか、私にはわからない。
(2023.7.29)

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